上海在住の日本人の友人が日本の役所での手続きのために一時帰国した。その時、彼は日本のある格安航空会社のチケットを買った。往復で一五〇〇元だ。一般の航空会社のチケットなら往復二五〇〇元から三〇〇〇元強はするのでかなりお得なはずだった。
彼は木曜日に上海から格安航空会社のフライトに乗って関空へ行き、金曜日は地元で手続きをすませ、土曜日に上海へ戻ろうとした。
搭乗開始時刻になってカウンターの前に並んだ。しかし、いっこうに搭乗手続きが始まらない。一時間ほど立って待った挙句、その航空会社は上海側の天候理由によってフライトを取り消しますと通告した。
そのフライトのキャンセル分の料金は返ってくるが、ほかのケアは一切なし。その航空会社は一日一便しか飛んでいないので、ほかの便への振り替えもなければ、市内への送迎もなく、かなり遅い時間だったが、もちろんホテルの手配などもなかった。なんのケアもしないから格安でチケットを売っているわけだけど。
あいにく、土曜日の夜とあって大阪市内の安めのホテルはどこも満室。神戸行きのバスがまだ走っていたのでそれに乗って神戸三宮のホテルに泊まり、大急ぎでネットで翌日のフライトのチケットを買った。日曜日にまたキャンセルになれば困る。月曜日から仕事だ。それだものだから、一般の航空会社のチケットにした。
結局、チケットを買いなおしたおかげで往復合計四五〇〇元くらいかかってしまった。ほとんど当日券を買う羽目になったから、帰りの便がえらく高かった。最初から一般の航空会社のチケットを買った場合に比べて、二、三万円高くついた計算だ。日曜日の別の航空会社の飛行機はきちんと飛んで、ぶじに上海へ戻ってこられた。
飛行機がきちんと飛んでくれれば問題ないが、キャンセルになったら大変だ。主に国際線用の上海浦東空港も、主に国内線用の上海虹橋空港も過密スケジュールなので、いったんなんらかの原因で遅れが発生すると取り返しのつかない状況になることがしばしばある。とくに夜遅い便はキャンセルになりやすい。
日本へ帰る時に格安航空会社の便にしようかなと考えたこともあったけど、キャンセルのリスクがあるから考え物だなと思った。時間に余裕がある時だったらいいけどね。
(2017年4月20日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第398話として投稿しました。
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