日本語のできるアシスタントを募集しようと思ってインターネットの求人サイトで募集をかけた。
次々と履歴書が送られてくるのだけど、半分くらいは今年六月卒業予定の現役の大学生からだ。中国は九月に新学期が始まり、七月に一年間の学期が終わる。
だが、大学生は「内定」をとりたくて履歴書を送ってくるのではない。「即採用」を狙って送ってくるのだ。
僕もはじめはびっくりしたのだけど、中国の大学生は四年生の後半になると就職活動を始めて、まだ学生のうちに早々と「就職」してしまう。会社の社員になってしまうのだ。どうせ授業もないのだから、早目に就職してお金を稼ぎたいということらしい。僕の勤め先ではほとんどないけど、中国の地元の企業は学生を採用して社員にして働かせているようだ。
実は、以前試しに大学四年生を採用してみたことがある。だけど、あまりうまくいかなかった。授業がないとはいえ、卒論の執筆や学校の行事があるからそのために一週間休みを取ったりするので、そうなると誰かがその人の仕事をカバーしなくてはいけない。それに卒業するまでは学生気分が抜けないから、ふらふらとしていて職場で浮いたような感じになる。やはり、きちんと卒業してきちんとけじめをつけた人にきてもらったほうがいい。当たり前といえば、当たり前のことなのだけど。
また、中国の大学新卒は離職率が非常に高い。ある調査によれば、約四割は半年以内に始めて就職した会社を辞めてしまうという。若い時はいろいろ経験して自分にあった仕事を選びたいと思うものなのだろうけど、半年でやめられてはさすがに困る。
だから、今は去年かおととしくらいに卒業して社会人を一度経験した人に狙いを絞っている。一度社会人を経験していれば仕事なんてものはしょせん雑用の山だということがわかっているだろうし、それに前の会社よりましだと本人が感じれば、それだけ定着する期間が長くなるだろうから。
面接でどんな人に出会えるのか、楽しみだ。
(2014年3月3日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第288話として投稿しました。
『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/