風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

卒業半年前に入社 ~中国の新卒就職事情(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第288話)

2015年05月27日 08時45分45秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 
 日本語のできるアシスタントを募集しようと思ってインターネットの求人サイトで募集をかけた。
 次々と履歴書が送られてくるのだけど、半分くらいは今年六月卒業予定の現役の大学生からだ。中国は九月に新学期が始まり、七月に一年間の学期が終わる。
 だが、大学生は「内定」をとりたくて履歴書を送ってくるのではない。「即採用」を狙って送ってくるのだ。
 僕もはじめはびっくりしたのだけど、中国の大学生は四年生の後半になると就職活動を始めて、まだ学生のうちに早々と「就職」してしまう。会社の社員になってしまうのだ。どうせ授業もないのだから、早目に就職してお金を稼ぎたいということらしい。僕の勤め先ではほとんどないけど、中国の地元の企業は学生を採用して社員にして働かせているようだ。
 実は、以前試しに大学四年生を採用してみたことがある。だけど、あまりうまくいかなかった。授業がないとはいえ、卒論の執筆や学校の行事があるからそのために一週間休みを取ったりするので、そうなると誰かがその人の仕事をカバーしなくてはいけない。それに卒業するまでは学生気分が抜けないから、ふらふらとしていて職場で浮いたような感じになる。やはり、きちんと卒業してきちんとけじめをつけた人にきてもらったほうがいい。当たり前といえば、当たり前のことなのだけど。
 また、中国の大学新卒は離職率が非常に高い。ある調査によれば、約四割は半年以内に始めて就職した会社を辞めてしまうという。若い時はいろいろ経験して自分にあった仕事を選びたいと思うものなのだろうけど、半年でやめられてはさすがに困る。
 だから、今は去年かおととしくらいに卒業して社会人を一度経験した人に狙いを絞っている。一度社会人を経験していれば仕事なんてものはしょせん雑用の山だということがわかっているだろうし、それに前の会社よりましだと本人が感じれば、それだけ定着する期間が長くなるだろうから。
 面接でどんな人に出会えるのか、楽しみだ。




(2014年3月3日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第288話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/


店によってちがうタバコの値段(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第285話)

2015年05月20日 15時00分45秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 
 中国では店によってタバコの値段が違う。
 僕はいつも「中南海」という銘柄の八ミリグラムのタバコを吸っているのだけど、今住んでいる広州の近所のコンビニではひと箱七元(約百十五円)なのに、近所のタバコ屋で買うと六・五元ですむ。タバコ屋でカートン買いすれば、さらにほんのすこし割引してくれる。これが広州郊外の工業団地のタバコ屋になるとひと箱六元で売ってくれる。同じタバコなのだけど、近所のコンビニと郊外のタバコ屋ではひと箱の値段が一元(十六・五円)も変わってしまう。
 同じ銘柄のタバコの値段の違いは、店舗の地代などが値段にも反映しているからなのだろう。日本はどこへ行っても同じ銘柄のタバコは同じ値段だから、同じ銘柄のタバコの値段が変わることはありえない。中国のほうがコストに正直で資本主義的だ。全国どこでも同一銘柄同一価格という日本のほうがよっぽど社会主義的なのかもしれない。

 


(2014年2月22日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第285話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/


杭州旅行2

2015年05月17日 19時00分15秒 | フォト日記


杭州旅行の写真のつづき。

塔のうえから見た銭塘江。




鉄橋は二段式になっていて、上が道路、下に鉄道が走っている。
向こうには杭州の街の高層ビルが見える。




塔。13階建てになっている。




塔のそばでは踊りの舞台があった。




寺の境内にある仏像。





杭州旅行の写真は以上です。


杭州旅行1

2015年05月16日 14時11分01秒 | フォト日記

杭州へ旅行した時の写真。
杭州は上海から高速鉄道(新幹線)で1時間半ほど乗ったところにある。

1泊旅行だったのだけど、最初の日は雨だった。





 雨に煙るこんな感じも幽玄でいいかなと。







虎跑という名の泉。
昔、修行僧が泉を求めていたところ、虎が出てきて泉を掘ったのだとか。
そんな伝説があるそうだ。







左はレンコン汁。右は龍井緑茶。おいしかった。








西湖を散策した。
有名観光地だから、とにかく人が多かった。



まるで聖徳太子のように(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第284話)

2015年05月14日 07時45分45秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 
 中国を深く理解している日本人の諸先輩方から今まで色んなことを学んだ。Gさんもそんな一人だ。
 Gさんは数年前、僕の上司だったのだけど、この人は凄かった。中国駐在暦通算十数年、中国ビジネスのつわものである。
 まず中国語が半端なく上手だった。もともと外語大で中国語を専攻していただけあって、非常に流暢な中国語を話す。発音も正確だし、中国語の言葉の選び方も的確で、わかりやすくてきれいだ。以前、僕のアシスタントをしていたアニメちゃんが、
「いやー、すごいですねぇ。言葉の選び方がいいですよぉ。聞いていて気持ちいいですからぁ。中国人より上手ですぅ」
 と舌を巻くほどだった。
 中国人の考え方も熟知していた。
「すみません。こんなことで困っています」
 と僕が相談を持ちかけると、
「野鶴、中国ではね――」
 と、それから答えがぽんぽんと三つ四つ返ってくる。
 やっぱりそうだったのかと僕の胸のなかのもやもやが晴れたり、言われてみればたしかにそうだと納得したりする。僕の理解力が足りなくて、
「Gさんはどうしてあのことを強調していたんだろう」
 と不思議に思うこともあったりするのだけど、後になって、
「なるほど、Gさんはこのことを言っていたんだな」
 と合点の行くことも多々あった。
 日本の様々な企業から大勢の社員が中国へ派遣されているけど、中国のことを理解している人はほとんどいない。彼らは中国が好きで中国へ行っているわけではなく、会社の命令で中国へ赴任しただけのことだし、彼らにとって現場であるはずの中国よりも日本の本社の方へ顔が向くのもごく自然なことだから仕方なのだけど、それだけにGさんのように中国を理解しているビジネスマンは貴重な存在だ。
 外国を理解――とくに中国のように日本とは真逆の考え方をする国の人たちを理解するのはそんなに簡単なことではない。Gさんの話は論理的で明晰だ。いっしょに顧客訪問をした時、Gさんが豊富な中国体験をもとに、かつロジカルに顧客へ案件の提案をしていると話の途中からお客さんの顔つきが変わって真剣に耳を傾けるようになることが何度もあった。こうすればお客さんを説得できるのだなと傍で見ていて僕は非常に勉強になった。もちろん、なんだかんだいって中国が好きだから理解しようとするわけでもあるのだけれど、Gさんは自分の論理力を鍛え、論理的に把握しようとすることで中国という一見混沌としてみえる国への理解を深めてきたのだと思う。
 Gさんは中国語(北京標準語)だけではなく、英語と広東語も話せた。今から十数年前、Gさんは広東のある街に駐在したのだけど、当時は広東人の現場作業者で北京標準語を話せる人は少なかった。そこで、彼らとコミュニケーションをとるために独学で覚えたそうだ。
 十数年前といえば、中国はまだ発展し始めたばかりで、今のように便利ではなかった。当時は外国人が住んでいい場所は限定されていて、一般のマンションには入居できない。その街には政府が外国人居住用に許可したマンションもなかった。Gさんはホテルのごく普通の部屋に二年間住み続けて事務所へ通ったそうだ。きつい生活だったと思う。
 その事務所には二十人ほどのスタッフがいて、中国語、広東語、英語、日本語と四つの言語が飛び交っている。Gさんはそれをすべて同時に聞き分け、誰がどんな話をしているのか、すべて把握していたという。
 ――聖徳太子みたいだな。
 とその話を聞いた時、僕は思った。
「若かったし、気が張っていたんだろうね。おじさんになった今じゃもうそんなことをやろうと思ってもできないけど」
 お酒を飲みながらこの話をしてくれたGさんは笑っていたけど、たぶん、猛烈なプレッシャーのなかで仕事をしていたのだと思う。そうでなければ、部下が話している四つの言語の内容をすべて把握しようとはしないだろう。「中国」に体当たりでぶつかってずいぶん苦労されたに違いない。
 中国を理解している振りをする人は大勢いるけど、Gさんのような「本物」にはなかなか出会えない。彼との出会いはほんとうに貴重だった。仕事に厳しかったから僕はへとへとになったけど、Gさんの下で働いていた一年間はとても充実した日々だった。
 


(2014年2月14日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第284話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
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サンフランシスコ旅行4~モンテレー国立公園

2015年05月10日 20時00分15秒 | フォト日記

 モンテレー国立公園はサンフランシスコから車で二時間半ほど南へ行ったところにある。


 

 水族館。
 なかには、素手で貝や海藻を触ってもいい展示があった。
 映画『スタートレックⅣ』の撮影で使われた。


 

 水族館のペンギンの部屋。




 近くの埠頭にはあしかがたくさん泳いでいた。






 国立公園の海岸。海も空もきれいだった。気持ちよかった。



 海岸に住んでいるリス。
 人懐っこくて、すぐに近づいてくる。






 きれいな花が咲いていた。




 ハリーポッターの作者の別荘なのだとか。




 海辺のゴルフ場。毎年、プロの大会が開催される。


 サンフランシスコ旅行の写真は以上です。

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