ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・18

2013-03-07 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

 1月5日、裁判所への出頭のとき私物とお金の返還許可が出されるだろう。弁護士は当然来ている筈だ。塀の中で動けないぼくの代わりに弁護士や大使館との折衝をしてくれる信用出来る人間がどうしても必要だ、フィリップスに頼んでみよう。
 刑務所内には鏡もガラスもない。鏡の破片を持っていたインド人がいたので頼んで見せてもらった。自分の顔を久し振りに見て照れ笑いをした。痩せこけた顔にギョロとした目、髪も髭も白いものが増えた。白髪混じりの鼻髭に長く延びた鼻毛が突っ込んでいる、見苦しいおっさんの顔だ。
 ショッカンに粉が入ってグループ内がギクシャクしている。スリランカ人とぼくとアミーゴ、三者三様上手くいかないだろう。ディクソンはぼくに気を使ってくれているが顔はスリランカ人グループの方を向いている。それはしょうがないことだ。亀裂は日毎大きくなってきている。早くグループを離れた方がベターだ、用がある時だけ御互い利用すれば良いのだから、その方が上手くいく。ショッカンの粉の残りは1gぐらいだろう、今のペースで吸い続ければ3~4日で終る。月曜日にもう一度粉が入ると言っているが分からない。もし入らないと奴の吸い方からみてもシックは厳しそうだ。今のショッカンを見ていると頭が狂っている、キックによる躁の後に深い猜疑心で荒れる。粉をやるとそんなふうに変わるジャンキーがいることをぼくは知っている。何をするか分かったものじゃない。
コメント
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