リシケシのインド人は皆チラムを吸うのが好きだ。参道の入口にちょっと店構えの良いタバコ屋がある。店番をしているのは20代の若者だ。いつ見ても仕立ての良いインド服を着ているのでカーストも高いのだろう、リシケシの町から毎朝ガンガ沿いの小道を歩いて店へ通っている。ぼくは朝の瞑想が終り朝食がすんで別館下へ行くのが毎朝8時頃だ。ババ達は朝起きるとすぐチラムを吸っているようだが、ぼくにとっては今日初めてのチラムとなる。チラムの用意ができ、さあスタートだという時に頃合いを見計らったようにタバコ屋の兄ちゃんが別館下に来るようになった。ぼくは兄ちゃんの店で時々タバコを買っていたので顔は知っていた。彼は悪い人間ではないのだがタバコの値段を誤魔化したり、端が破れ使うことができない紙幣をお釣りの間に挟んだりと悪賢いところがある。まあこの程度のことはどのインド人でもやることなので彼が特別ずるい人間だというわけではない。店を持ちある程度の財産があるとそうなるのだろうか、その点、別館下のババ達のようにぎりぎりまで貧しいと人間は素直になれるのかもしれない。仏陀はものを所有することから人間の苦悩が始まると言ったらしが、サドウのように何も物を持たず修行三昧に生きるのが良いのか、出店のババや両替ババのように悲しい程にみみっちい商売に愚痴をこぼしながらも逞しく生きたら良いのかぼくには分からない。だがそこにサドウとババには紙一重の生き方の違いがある。
別館下にはサドウが生活をする広い場所と下流側に4本の柱で囲まれた6畳くらいの狭い小屋のようになった部分がある。出入り自由の広い場所でサドウは寝起きをしているがサドウのものを盗む者など誰もいないし又そのような金目のものを彼らは持っていない。しかし出店のババの荷物は合計すると500ルピーくらいの価値がある。これがババの全財産でそれをババは盗難から守らなければならない。その為にババは小屋で寝起きしている。
昨夜 寝酒として焼酎コップ半分を5分の水割りにして飲んだ
釣り場の呑み助から焼酎は体を冷やすと聞かされていたのだがそれを忘れていた
夜中3度もトイレへ行き眠剤も寝酒も効かず朝を迎えた 体がだるく頭がぼっとしている
Nさんが心配して電話をくれた ホルモンを買ってあるから来い
元気が出そうだ 夕方ホルモンを食べて呑む それしかない