朝、クラスに行っていたが誰も来ない。チャッカルがあるのでクラスは中止になっていたのだろうか、と考えながらCバラックに戻ってみるとショッカンが何やらごそごそやっていた。ベッドの下に40㎝立方くらいの荷物置き場がある。ぼくの荷物はビニール袋に入れそこに置いていたがその袋にショッカンは手を入れ何かを探しているようだ。ぼくが近付くと奴はギクとして
「トミー髭剃り持ってないか」
と言った。奴がぼくのパケを盗もうとしていたのは直ぐに分かった。短パンの内ポケットに入れているのを奴は知っている。最近ぼくは用心して隠し場所を変えていた、奴に何も言わなかったが危ないところだった。ぼくはスタッフをサンダーに預けてチャッカルに行った。ショッカンとセガはチャッカルには行かないとバラックに居残った。チャッカルから帰って袋を調べてみると案の定、袋の中を掻き回していた。根性の悪い奴らだ。暫くサンダーにスタッフを預けていた方が良いのか迷っている、サンダーも同じスリランカ人だ信用はできない。
昼の施錠後ぼくが何をするかセガがじっと見ていた。ぼくがトイレでスタッフを入れたのは分かっている、少し多めに入れたので効いてしまった。夜8時頃になるのにまだシックの症状がない楽だ、良い粉は長い時間引っ張ってくれる。今夕はいつものパケに変った。効きは悪いが眠る事は出来るだろう。
夕食後あるアフリカ人が寝場所の準備をしているのを見ていた。頭がどうかなっている、と思うほど神経質にやっていた。多分毎日同じ事をやっているのだろう、神経質を通り越して偏執狂的に見えてきた。ナイジェリア人だろう、心の貧しい顔をしている。心が全て顔の表情に出る訳ではないが。