6月28日(水曜日)
皆、熱波に疲れきっていた。
「あの黒い鳥だ」とアシュラム。
石を投げて鳥を仕留め食べた彼は激しい腹痛と下痢で3日間、寝込んだと言った。顔はげっそりしている、彼が指差した黒い鳥は鴉ではなかった。木の下の台座に元気なく座っているエマ、あのはち切れんばかりの筋肉は削げ落ち一回り小さくなっていた。1週間以上、下痢が止らず困っていた。事情を聞いて診療所の薬を見せてもらった。1月だったと思う、ぼくの私物が一部返還されその中のウエストバックに体温計と薬が入っていた。日本を出発する前、病院に勤めているぼくの友人が薬を用意してくれた、当然、抗生物質も2~3種類あった。どの抗生物質も効かない時はこれを使えと言われた薬もあった。一度、アフリカンの具合が悪いというので様子を見に行った。熱がありそうなので体温を計らせた。彼は体温計を見たことがなかった。原因は分からないが高い熱があったので軽い抗生物質を一錠飲ませた。彼らは薬をあまり使った経験がないので薬が効き過ぎることがある。6時間後に体温を計りたいのだが夕方の施錠があってそれは出来ない。6時間後に飲むようにくれぐれも念を押してもう一錠渡した。翌朝、体温を計らせると熱は下がっていた。そんな事があったので体調の悪いエマはぼくの意見を神妙に聞いた。
「ゲップがあるか?」
「卵の腐ったような臭いがするゲップか?」
そうだ、と言うエマを連れて房へ行きFLAGYL-400という薬を飲ませた。原因は分からないがぼくも何度かこの病気に罹った事があった。ぼくはマリーに頼んでこの薬を十錠差し入れしてもらっていた。エマは良くなった。