ぶらぶらと歩いてホテルへ戻ると真っ暗だ。灯りは受付に置いてあるローソクだけ、昨日の夜は電気が点いていたのでぼくは忘れていた。カトマンズで生活していくにはローソクと懐中電灯は必需品なのだ。カトマンズの人口は増え続けている。以前はインドラ・チョークを中心とした旧市街だけだったが、新市街であるタメル地区の開発が急ピッチで進んでいる。電気の需要に供給が追いつかない、そのため新、旧市街を一日交代で電気の供給を止めるのだ。それも日常生活で最も必要な時間帯である18時から20時に停電する。無茶苦茶な話しだがしょうがない。ぼくはホテルを出て雑貨屋へローソクを買いに行った。広場の店でローソクと煙草を買っていると、さっそくチビが駆けて来てぼくのシューズにじゃれついて遊ぼうとする。可愛い奴だ。チビの頭を撫でながら「元気にしてたか、チビ?」とぼくが話しかけるがチビはしょぼくれた顔をしていた。ぼくがホテルへ歩いて行くとチビはじゃれながらついてくる。しかしホテルへ入る通路にくるとチビはぴたりと止まる。通路の中からぼくがいくら呼んでも絶対に入ってこない。チビは犬なりに人間の領域へ入ってはいけないという事を知っているのだろう。
1月9日、夜デリーを出発して今日12日まで心が休まる時はなかった、疲れた。でも15日(月)までの2日間は少し休めそうだ。チェーシングをしても楽しくない。それは気持ちの奥にある逃亡の緊張感が弛緩しないからだ。
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