クマルがやって来た。ケダルとクマルは同じカーストの出身者だ。カーストは中間より少し下のクラスだろうか。結婚も友達付き合いもカーストで決まる。スンダルは彼等と付き合うことはない。ぼくが食事に行く時、もしスンダルとケダルを一緒に誘ったらどちらかが断わる。同じ席に着くことを嫌がる、カーストが違うからだ。ケダルとクマルはぼくと一緒に飲みに行く。3人でよく祭りや遊びに行った思い出がある。彼等の家へ食事に誘われて一緒に食べたこともある。クマルの家は貧しい。お母さんは既に亡くなり無職のお父さんと婚期が近い妹、それに小学生くらいの弟と末妹がいる。どうして生活をしていくのか、心配してもぼくには何も出来ない。彼等は彼等なりに精一杯生きている。そんな彼等をみながらぼくは何をしていたのだろうか。
「いつまでカトマンズにいますか?」
「来週、1度日本へ帰ります。でもまた戻ってきます」
「そうですか・・・」
もし無事に帰国できたとしても二度とカトマンズへは戻ること不可能だろう
彼等はそのことを理解しているのかもしれない、しかしだれもそのことに触れない。
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