ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅・逃亡・・・21

2017-09-20 | 5章 ジャンキーの旅  逃亡

 午後、迎えにきてくれたスンダルのバイクで彼のアパートに行った。日本から荷物を送った時に使ったダンボール箱と2つのビニール袋にぼくの荷物は纏められていた。荷物の多くは衣類と本でそのまま彼に保管してもらうことにした。ぼくの安全が確かめられカトマンズに戻ってくるまでの間、とぼくは彼に言ったがもうここへ戻ってくることはないだろう。ぼくが日本へ持ち帰る物は別のビニール袋に入れた。友人からの手紙やノートそれに約150gの金と日本円だけだ。お金を調べてみると約1200ドルが不足していた。カトマンズの電話普及率は低い。一般市民には手が出せないほど高いと聞いた事がある。店に電話は必要だろうがアパートにも電話を引いていた。バスルームにはホットシャワー用の電気製品があり、何の目的で借りたのか別に広い事務所を用意していた。それらは全てぼくのお金から支払われたのだろう。ぼくの逮捕を知り保管したぼくの荷物の中を調べていたら、ネパール人の彼にとっては高額なお金が入っているのに気がついた。彼はデリー刑務所に収監されているぼくがカトマンズへ帰ってこられるだろうか、帰って来られないかもしれない。ぼくのお金を前にして彼は煩悶し、お金を使うことに迷い苦しんだに違いない。お金を使ったスンダルをぼくは責めることが出来ない、ぼくは何も言わなかった。ぼくがトリブバン国際空港から離陸するまで彼の助けがどうしても必要だ。ストーブと灯油用ポリタンクを持って彼のバイクの後部シートに乗ってぼくはホテルへ戻った。
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