カトマンズに着いたのは夜中の12時を過ぎていた。約10時間の行程だった。1分でも早く少しでも遠くへ国境から遠ざかりたい、その事だけを考えていた。インド警察が追って来るということは考えられないのだが、それでも遠くへより遠くへ逃げておきたかった。逃亡者のぼくにとって100パーセントの安全なんて何処にもない。もしあるとすればトリブヴァン国際空港から飛び立ったときだ。
スノウリを出発して暫らくは平坦な道路をインドの国境に沿うようにして東の方向へ走る。この道路をどこまでも進むとネパールの東端にあるインドとの国境の町カカルビッタに続いている。この町からインドに入国しダージリンやシッキムを旅したことがある。道路は山の裾野と平野の境にある。途中から左へ進路を変えると、いよいよ急な上り道になった。大人4人と荷物を積んだ古いバンは苦しそうに喘いでいる。この時間帯では対向車は殆どない。カトマンズやポカラ等の都市からインド国境へ向かう長距離バスがこの道路を下って来るのは深夜から早朝になる。
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