ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第14話   旅人とマラリア・・・3

2015-10-07 | 第14話 旅人とマラリア

聖地ベナレス、ガンジス河に近い馴染み宿は3軒とも満室で断られた。どこでも良いから早くベッドで横になりたいとW君、そこへ客引きが来た。ガンジス河沿いに2ヵ所ある死体焼き場の下流側の近くの宿だった。風向きによっては死体を焼く独特の臭いが部屋に入ってくる。
夕食に出掛ける前、W君に体温を計らせた。38度、抗生物質を使うには迷う体温である、もう一晩様子をみますと言う彼にぼくも同意した。夕食後ガンジス河畔を散歩し宿へ戻ったぼくは顔を真っ赤にした異様なW君を見た。体温を再度計らせると40度を少し超えている。ぼくは大声でマネージャーを呼んだ。緊迫した状況を理解した彼は息子をドクターの所へ走らせた。 
 ドクターはすぐに来てくれ、その診断は5分を必要としなかった。マラリア。W君の発症の兆しは思えば3日前にあった。危険な症状に陥っているのだろう、至急この薬を買って来なさい。ドクターはぼくにメモ紙を渡した。すでに夜、ベナレスの裏路地は恐怖の迷路だ。
「ぼくが案内する」と マネージャーの息子。
ホテルを出ると彼は急いだ。薬屋が閉まる時間を知っているのだろうか1軒、2軒、3軒だが薬はなかった。州境を越えてここはウッタル・プラディシュ州、マラリアの危険度が低いのかその薬を薬屋は常備していなかった。店仕舞いをしていた4軒、5軒目も「ない」もしあるとしたら大学の医局だろうと教えてくれた。
広いキャンパスの中をオート力車で尋ねながら走る。ある建物の前に力車を停めると、リキシャワーラーにここで待つように指示し彼は玄関ロビーから奥への廊下を急ぎ足で進んだ。数分後、彼は白い紙包みを手にし部屋の中から出てくる「戻ろう」と言った。
1時間半は経っている、ぼくらは黙ってオート力車に乗った。


パキスタン国境ペシャワールからカブールへ向かう 山賊がでるというカイバル峠
えらい汚い画像だねぇ へぇ~えらいすんませぇん

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第14話   旅人とマラリア・・・2

2015-10-06 | 第14話 旅人とマラリア

 明日、早朝の列車でガヤからベナレスへ移動する。その為ガヤ駅近くに宿をとった。W君を夕食に誘ったが、食欲がないと言う。食事を終え駅で急行乗車券2枚を買ってホテルへ戻った。ドアーを開けると咽かえるような蚊取線香の煙、その中で毛布に包まって横になっているW君。死んだ蚊を潰すと糸を引くどす黒い血だった。かなり前のものだろう。煙が息苦しくてぼくはチャイを飲みに外へ出た。
 出発の朝。準備をしていたぼくはW君に声を掛けた。
「ぼくも出発します」
もし同行者の足を引っ張るようなら、ひとり残って体力の回復を待って旅を続けなければならない。彼のバックパックはどうみても20kgはあるだろう、弱った体力を苦しめる。ものを所有することから人間の苦悩が始まる(ブッタ)
救いを求める甘さがあるなら旅は続けられない。誰も救いの手を差し延べはしない。旅は心の旅の中から生まれる。
ガヤ~ベナレスは約4時間の列車の移動だ。大混雑で難儀するインドの列車しか知らないぼくにとって初めての体験になった。車中はガラーンとし、W君は風邪でしょうか?と言いながら風邪薬を飲んで横に置いたバックパックに身体を寄せた。

 
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ミャンマー国境     マネーと鴨

2015-10-05 | チェンライ・ミャンマー国境


スリランカ 何処だか忘れた

横にいる奴はうるせぇ~手錠をがちゃ々と鳴らしやがって脅かしてくる。
後ろを見るとドアーの前に立った奴は自動小銃というものなのだろう、銃口を天井に向け横の取っ手を上下に動かしぼくを見張っている。
「パスポートを出せ」 と言われてもないものはないのだ。ホテルへ置いてきた。
「アィ ハブン パスポート ノウ」
「ワッ ワッミ~ン」 ワッミ~ン? 意味などない。今日はやばい場所へ行く、ドル、小切手、パスポートはホテルの重いベットの下に隠してきた
連れて行け~と怒鳴って命令でもしたのだろう二人がにじり寄ってくる。
「プリーズ ウェィト ウェィト ボス」 我々は話し合うべきだ、必ず良い方法を見い出せるだろう。
英語でそれらしいことを言ったのだが伝わっているかどうか不明だ、とにかく時間稼ぎで喋ることだ。
ユーキャンゲッ グッドマネ~ アィド オールレディ サムシン イィッ。
変な文脈の中で最も重要だと思われる マネ~という単語がボスの心を刺激したのか、彼の態度に変化が現れた。
マネ~かぁ~・・・ そういうことなのか奴らの目的は、だとすれば今回の全体像が見えてくる、タイのチケット売り場、国境ゲートの警備隊もだ。
黙って通らせて帰りにとっ捕まえる、まるで絵に描いたネギを背負った鴨をおいらは真面目に演じていたのだ。
「ハウマッチ」
「テェン タウザァン」 
「ノ~ノ~ツゥーマァッチ タウザァン オンリィ~」
机の上をどぉ~と拳骨かまして「ネェバァ~ ダウン」と叫びやがった
額の開きは大きいがお互いにサバをよんでいる。すったもんだと30分程もやっていたが決着をみた。
2000バーツふんだくられたぼくの敗北で幕を引いた。

(今から思えばこの程度で済んだものだ)
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ミャンマー国境  国境警備隊に連行???

2015-10-02 | チェンライ・ミャンマー国境


1900年代 メーサイから見た国境ゲート

制服を着た二人の男がぼくの両脇に身体を寄せてきた。
「何なんだ こいつ等は・・・」
両腕を持つと目の前に建つ小屋の方へ歩き出す。中へ入ると奥の大きな机に向かって座っている男がいた。
肩と襟章が光っている、軍服か?すると奴等は国境警備隊か?まだぼくには事情が理解できないのだ。
「お前はどこから来た」 生意気な奴だ、命令調である。
「日本だ」 何故ここへ連れてこられたのか・・・ 様子を見るしかない。
「ミャンマーへ入国するにはラングーンから入国しなければならない」まあ そうだろうなぁ~
「ィエッサ~」
「ミャンマーへ入国するにはビザが必要である」  まあ 必要だろうなぁ~
「ィエッサ~」  と答えてやっと状況が見えてきた。
「パスポートを出せ」  確定的だ。
ぼくは密入国し国境警備隊に逮捕、連行され取調べを受けている、そんな絵が見える、ネガティブだ。朝、飲んだLSDの夢うつつの破片が羽ばたいて飛ぶ。 やべぇ~んじゃねぇ~のぉ~  おいらぁ しらねぇ~

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タイ北部   チェンライ・ミャンマー国境・・・1

2015-10-01 | チェンライ・ミャンマー国境
チェンマイへの列車の旅は快適だった。出発前のジョイントが列車の揺れに心地よい。トイレの中でスタッフをスニッフする。
ドラッグによって求める音の違いが分かってきた。ソフトからLSDまではロックで十分だ、しかしスタッフではその音に乗っていけない、ストーンの深さ、質が異なっている。カオサンで買ったテープの中に3本だけジャズがあった。ソフトでジャズはちょっときつい、しかし今、ジャズとのバイブレーションの波長が絡み合っている、ジャズにはまってしまいそうだ。
チェンマイから約10日間、ケシ畑を求めて北西部を旅し12月30日チェンライに着いた。すぐTGのオフィスへ行き1月1日のフライトを15日に変更する。楽しくなりそうな予感あり。
チェンライで荷台を改造した三菱、トヨタ等のネームが入ったトラックをチャーターし、朝LSDを飲んでミャンマー国境の町メーサイへ向かう。荷台に座って道路を見ているとLのせいか猛烈なスピードを感じる。
小川が国境線で橋を渡ればミャンマーだ。チケット売り場で5バーツ払うと紙切れを渡され、それを持って入国した。


土産物売り場をひやかしながら回っていると ギィョ~ォ~とし足をとめた。壁には大きな一枚皮の虎がおるではないか、しげ々と見入っていると店番をしている痩せこけたおやじが こりゃ商売になると思ったのか声を掛けてきた。こりゃなんだと聞くと、おやじは左右の手に一本づつそれを掴み口の両端に立てると ガァォ~~と叫びやがった。おやじの顔の方がよっぽど怖かった。なんぼやと聞くと彫った牙は300、牙だけだと200バーツだと言う。二本300バーツで買ってしまった。バザールで飯を食べて、さて帰ろうかと橋に差し掛かるところで問題が起きた。




九州北部は強風と雨でやることがない 午後 昨日録画した「サイコ」ヒッチコック作品を観た
「鳥」の記憶は曖昧だ しかし基線は異なっているように思えた
70年代インドへ行く前 カロルス・カスタネダ(ペルー生まれ米の人類学者)の作品を読んだ
「分離したリアルティ」ぼくは影響を受けている 
ヒッチコックはこの作品で分離していくリアルティを表現しょうとしたのではないのか?1960年代だ
脳神経経路の分岐点 そこからリアリティが分離する ぼくはそれを疑似脳と表現した 
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