なぜ突然、こんなタイトルかと言いますと、次に書こうと思っていたブログ記事の内容が、酒税法的にキワどいものだったからです。
酒税法とは、読んで字のごとく、酒の税に関する法律です。
日本では現在、酒税の安定した徴収・確保のために、個人の酒造りを禁じています。
「造った酒を個人で楽しむ分ならいい」と思っている方も多いようですが、自家消費目的だろうが販売目的だろうが、無許可での酒造りは違法です。
この法律ができた明治はじめ頃から、酒税は長らく国の税収の柱(明治32年には地租を抜いて第一位)でしたが、今は全体の3%程度でしかありません。自家醸造を禁じることにどれほどの意義があるのか、物議の種になっています。
さて、次に書こうと思っていた事というのは「酒種まんじゅうづくり」なのですが、その製造工程の途中でできるものは、いわゆる「もろみ=酒母」の初期状態であり、当然アルコールが発生します。
というよりは、後で詳しく書きますが、昔ながらの方法でパンやまんじゅうを膨らませるのには、天然酵母の活性化=アルコール発酵が欠かせないのです。
(*アルコール発酵:酵母菌が糖質を炭酸ガスとアルコールに変える作用のこと)
というわけで、ブログにアップする前に、念のため酒税法に目を通しておこうと思って、見てみてびっくりしました!
では、今回関係している部分を少し引用してみましょう。
まずは、無許可でお酒を作ったらどうなるか。
『第九章 罰則 より第五十四条
第七条第一項又は第八条の規定による製造免許を受けないで、酒類、酒母又はもろみを製造した者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。』
では、酒税法のいうところの、「酒類」とはなんなのか。
『第一章 総則より(酒類の定義及び種類)第二条
この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上の…*ここでは関係ないので省略)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。』
んん!? 1%以上で違法!?なんじゃそりゃあ!!
あのですねえ、アルコール発酵なんてものは、地球上あまねく存在する「自然現象」なんです。
なにしろ酵母菌(どこにでもいる)と、糖分と水分があれば、お酒は勝手に湧いてくるのですから、酒づくりなんてものは、人類の営みの中でも最も原始的な部類のものなはずです。
だって本来ブドウをつぶして置いておいたものがワインだし、
麦芽、あるいは焼いたパンを水に浸しておいたものがビールだし、
炊いたご飯を水に浸しておけば、それが日本酒です。
(なんと、生玄米を水に浸しておくだけでもアルコール発酵が起きることをうちで確認しました)
そんな地球が人が、生きてりゃ当たり前に起こるようなことを法律で禁じている国とは一体何なんでしょうか?
ちなみに、アルコール1%ってどんなものかなあと思って少し調べてみましたが、1%未満と言うと栄養ドリンクの「タフマン」「チョコラBB」とかだそうです。
つまりは、アルコール臭がしていたらもうやばいってことですよね。たぶん。
というわけで、天然酵母を起こしたことのある方なら、あの匂いはもうアレであることがお解りいただけるかと思います。
つまり、わたくしのしたこと(酒種まんじゅうづくり)は、この法律を文面の通りにとらえるのなら違法ということになります。
ところが、ということはですよ。現行の酒税法だと、世の中の天然酵母を自分で起こしてパンを焼いている人や、パン屋さんは、み~~んな違法!罰金!ということになってしまう可能性があるのです。
こりゃあおかしい!というわけで、税務署に問い合わせてみることにしました。
↑去年の6月にやった自家製苺の酵母起こし。
苺を潰して置いておくだけで、ものすごい勢いでアルコール発酵します。
酒税法原文はこちら→http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO006.html
国税庁「酒税が国を支えた時代」~酒税法の改正の歴史
→http://www.nta.go.jp/ntc/sozei/tokubetsu/h22shiryoukan/01.htm
(つづく)