今この話題に触れるのは出来るだけ避けたいと思って、書かずに来ました。
何故なら、私はこの方を今でも素晴らしいDRだと信じていますし、それだけの業績もあるし、今回の大震災でも人には出来ない立派な仕事に従事されましたから、尊敬申し上げ、好意を強く持っているからです。
今でも信じられない、そんな筈ない、と思っていますし、万が一そんな事実があったのなら、それはその方がこれまで経験して来たことのストレスが強過ぎて、又、日々の生活でも何か問題を抱えておられ、心の闇、精神的に参ってしまっての事件だと思うのです。
そして、罪を憎んで人を憎まず、でその償いをきちんとして帰って来たのなら、黙って迎え入れ、再びその方にしか出来ない素晴らしい仕事で苦しまれている、悩まれている患者さん達の力に是非なって欲しい、償いとしてその力を正しく使っていただきたい、と心から願っています。
人は誰でも善なる心と闇の心、両方を持っていると思います。
その割合は、人によって違い、仏陀、キリスト、孔子のように善なる心の化身のような方もいれば、自分の欲望を満たし人を犠牲にして平気な顔をしている悪の権化のような人もいるでしょう。
普通の人は、たいていの場合善なる心が多く、それによって社会は成り立っているのは間違いがない、と私も思います。
しかし、インプラント業界だけではなく歯科業界、ネット内の宣伝の無秩序ぶりは、果たしてどうなのでしょうか?
少なくとも、私には一番良い言い方を駆使しても、玉石混合、本物も偽者も入り混じっている、それどころか、いつもの私のキツイ言い方をするなら、偽者ばかりが平気な顔をしてのさばっている。
それどころか、偽者であることを自覚しているならまだしも、勉強不足を自覚もせず、患者さんに迷惑を掛けるような状況を野放しにしている状況も少なくないのではないか、と思えて義憤を常に覚えずにいられません。
そんな中、今回の先生は、その実力は折り紙付きの本物であり、間違いなく次代のエース、担い手と目されていた方でした。
そんな方ですから、業界の現状に常日頃から怒りを抱え、しかし、普段は温厚な性格であり、人に当たる時にはニコニコとされて、私のように本音を臆面もなく出せてしまうような小人物ではないが故に、心の奥底に屈折する思いを抱かれていたのではないか、と想像してしまうのです。
極論を言えば、殺人と言うような最も重い罪を犯した方でも、裁判に掛けられ、事情を鑑み、罪を償ったのなら、社会復帰して再び仕事をする機会を与えられるのが法治社会です。
人は誰でも弱いものですから、時に心の闇に支配されしまうこともあるかも知れません。
しかし、それでその人物を終わらせてしまって良いのでしょうか?
手塚の書いたブッダの中で、最も身近に使えたアーナンダは、魔に取り付かれ強盗殺人を犯す登場人物として描かれています。
記憶違いかも知れませんが、アーナンダによって死んでしまった人は500人と言う、とんでもない極悪人と書かれていました。
が、やがてアーナンダはブッダの元に弟子入りし、それも最も身近に使えそのお世話をする弟子となって、旅のお供をするのです。
そして、アーナンダの働きにより、仏陀の下に弟子入りした人が500人であり、その事実にアーナンダが戦慄して感動する場面が、感動的に描かれています。
死なせた人と同じ人数の人を救う、元極悪人であったアーナンダが、と言うブッダの中でも名場面の一つ、と私が思っているものです。
今回の事件は、もし事実なら本当に残念で仕方がないことです。
しかし、私はこの方に石の礫を投げる気にはなれません。
全く罪の無き者だけが彼に石の礫を投げよ、とキリストの言葉が残っています。
そのキリストの言葉の思いが、痛いほど私にも分かります。
法的に罪はない不倫で家庭を崩壊させ、妻子を苦しめる方もこの世の中には沢山います。
実際に表にならず不倫を平気な顔をしてしている人も、現代社会ではいるでしょう。
又、時に援助交際で働き盛りの男性が捕まっていますが、男性側が常に大きな問題になっていますが、売りをしている女性側の方には全く罪はないのか、と私は言いたくなります。
こう言う色々な実際の出来事と比較して、倫理的道徳的で考えて、どちらが罪が重いのか。
大人の付き合い、金で割り切ってとか、愛があればとか、言い訳をして自分達の欲望を満たす人物達も同じようなものなのではないでしょうか。
そうは言いながら、私は人は弱いモノであるが故に、それらを全て私自身は全く罪のない立派な人物として裁くつもりもないし、そう言う欲望も人間にはあることも良く分かっているつもりです。
そう言う心の動き、人の弱さにこそ、宗教、ブッダ、キリスト、親鸞などの唱える教えが救いとなるのではないか、と思います。
今回のことも、その方が業界のトップであったからこそ面白おかしく揶揄されてしまうのかも、と思います。
それも又、悲しき人間の性サガである、と思います。
本当はこのことには触れずにそっとして置きたかったのですが、もはやそれもままならず、業界内を駆け巡っている事態に直面してしまったので、私の見解、考えを記して置きたく、今日のブログを書きました。
私は、この先生が復活し、その実力を遺憾なく発揮し、又患者さん達を沢山救う日が来るのを心から願っています。
罪を憎んで人を憎まず。
このまま潰してしまうには余りにも勿体無い人物である、と信じます。
再び、にこやかに語り合える日が来ること、海外の学会の場でマツゲン先生!と笑って声を掛けて下さる日が来ることを願って締め括ります。