インプラントの相談の内容に読むと、まだまだ痛くなった、腫れた、これで大丈夫なのだろうか、怖くなった、と言う質問が後を絶ちません。
確かに、骨の中に穴を掘って、チタンで出来たネジを捻じ込む治療なのですから、痛そうなイメージを持たれるものですし、腫れたりするのもある程度は仕方がない、と取られるものであることは否定出来ません。
しかし、腫れたり痛んだりする原因を知り、それへの対策をきちんとするならば、現在のインプラント治療はそんなに腫れあがるものではありませんし、痛んで夜寝れないなんてことはまず考えられないようにも出来るものなのです。
現実に、私自身はそういう治療を専門的にやり続けて来て10年になりますし、他の先生方からどう言う風にすれば良いのでしょうかか、と良く質問を受ける身なので、今回はその工夫について解説をしてみましょう。
まず腫れる原因ですが良く勘違いをされるのですが、腫れるのは骨ではありません。
正確に言えば、骨を取り巻いている歯茎、特に骨膜が腫れたり痛んだりする大きな原因なのです。
そこに血腫が出来たり、歯茎の切開、縫合が雑であればあるほど、当然痛みは出ますし、大きな手術をすればするほどそれは大きくなります。
簡単に言えば、それを小さくすれば腫れも痛みも極小さくなる訳です。
つまり、小さな術野で精密で丁寧な手術をすることで、かなり痛みや腫れはコントロールできることになります。
シンプルに骨のある部位だけでインプラントを植立することが出来れば、そんなに痛まないし腫らさないで済む筈、と言うことです。
非常に単純で分かり易い話ですが、これが意外に現実にそうしようとすると難しいものなのです。
何故なら、歯茎で覆われている骨の形態は、歯茎が覆っていると良く分からないのです。
しかも、インプラント周囲には角化歯肉と言う健康な歯茎がある程度必要になります。
この角化歯肉の真下に十分な骨があれば話はとても簡単です。
ところが、そうとも限らないのです。
CTレントゲン写真で精密に計画を立てて、その通りに植立するのがベストなのですが、その骨の形態と歯茎の角化歯肉の状態がぴったりと一致することは稀です。
なので、一般的には、角化歯肉に切開を入れて、歯茎を捲り骨を露出させて、骨の形態に合わせて計画通りに良い位置へ植立し、そのインプラントの周囲に角化歯肉が取り巻くように縫合するようになります。
そうすると当然、本来の形態と違いますから、その処置が適切でないと、色々な部位に隙間が生じ、そこに血腫とかが出来て、腫れたり痛んだりの患者さんを苦しめる結果になるのです。
それでは、私はどうしているのか、と言うと、前にも出している写真ですが、こう言うことをしています。
角化歯肉の状態を事前に把握して、その幅で切開線は決めます。
そして、殆どの場合歯を失って顎の骨の土手が痩せている場合頬側の方の吸収が起きている訳ですから、歯茎を動かして頬側に寄せます。
骨の形態もCTで把握していますから、内側の方から触診をしてCTとの整合性を整えて骨の形態、歯の欲しい位置でインプラントホール形成をします。
そうすると、写真のようにインプラントが立つことによって歯茎を頬側に寄せて立たせることが可能になります。
こういう手術をすると、極小さい手術をするだけで済んでしまいますので、患者さんは痛まないし、殆どの方が腫れません。
この手術の仕方が出来ると、従来の手術の仕方に比べて3分の1以下の侵襲、本当に上手にできると10分の1程度で出来るようになります。
だから痛まないし腫らさないのです。
私自身はこの方法を10年極めようと頑張って来ました。
お蔭で、今では殆どの手術でこの方法で出来るようになりましたので、患者さんを苦しめることが極端になくなりました。
簡単に概念だけと1例だけの解説で済ませてしまっていますが、実は色々と細かいノウハウがあり、それなりに大変難し手術方法ではあります。
元々の原法は、師匠のDR.ラムの直伝です。
それを日本人向けに改良し、工夫して、どうすれば良いのか、ノウハウを蓄積して来て言えるものなのです。
今回出している写真は、その概念を理解していただくのに丁度良いものでした。
更に言えば、私の場合、即時荷重、その日のうちに綺麗に仮歯を入れられる確率が、90%を軽く超えるので、仮歯があることが傷口を保護することにも繋がり、GBR骨造成したり、歯茎再生させたりするのを保護して痛んだりするのを避けられるのです。
ここら辺に、私独自のもの、痛がらせない、腫らせない、治癒期間でも辛くない、と言う治療が可能な理由があります。
極小さい手術による低侵襲手術と即時荷重、審美処置が全て密接に関わっているのです。
どの一つが欠けても、私の提唱している痛まない腫れない辛くないインプラント治療は達成出来ないでしょう。
しかも、私はこれらの手術を常にライト付きの10倍の強拡大鏡で、裸眼と変わらないスピーディな処置で行っています。
10倍の緻密さで極丁寧な、繊細で綺麗な処置をスピーディに行う、だからこそ、治りも早いし、患者さんも辛くないのです。
これが10倍の拡大鏡です。
私が世界で1番初めに注文したものです。
ここまで色々と工夫を重ね、人一倍どころか何倍もの努力を積み重ねて来ました。
そして、その成果も挙げて来ました。
ですから、細君にまで思いっ切り叱られる位、私は自分が積み重ねて来た実績、経験し出来ることには、傲慢と言われるほどの自信があります。
元来、相当に用心深く、注意深く、スタッフにまで院長は小心者ですからと説明される治療スタイルの人間だからこそ、積み上げたものには間違いがない、と確信が持てていますし、反面分からない方から見られると、傲慢で自信満々に映るようです。
しかし、自分が言っていることは本当のこと、真実を言っている、と言う不動の自信は、持てるのです。
家内にまで傲慢と叱られ、スタッフから小心者と患者さんと伴に笑われる私ですが、だからこその自信があるのです。
こんな私ですら出来たことなので、私よりも器用で頭の良い先生方は、10年も掛からずに出来るようになると思います。
そして、インプラント治療のイメージを根本から変えたい、そう願うのです。