昨日提示した症例の患者さん予後は完璧にグッドだったそうです。
お気付きの方も多いかと思いますが、かなら長いインプラントを用いているのが私のインプラント治療の特徴です。
何故長いインプラントを用いるのかと言うと、抜歯した直ぐ後に植立をしますので、その部位の骨が足りないので、その下の部位の骨を使うことを意図しているからです。
それも出来るだけ長いインプラントを用いれば、支えに使える骨が沢山確保出来るので、その分即時荷重を成功させることができる、と言う訳です。
私は、このような方法で長いインプラントを意図的に用いますので、誰よりも長いインプラントを良く頼むDRのようです。
昨日用いたのも、14mmとか16mmのインプラントばかりで、通常サイズである10mmとか12mmよりは長いモノである、と言えます。
長いインプラントを用いることに関しては、現時点でも賛否両論で、何が正しいのかに関しては意見が割れています。
それでも、私は即時植立即時荷重を成功させて差し上げる為には、この方法がベストである、と信じて行なって来ています。
又、長いインプラントを用いれば、力を受けることを考えるときにも有利であろう、と考えています。
しかし、反対する意見の方は、長いインプラントではいけないと言いますが、その理由は良く分かりません。
確かに下顎で長いインプラントを用いようとすると下歯槽神経を傷付ける恐れがあるので、無闇に長いインプラントは使えません。
しかし、上顎の前歯、小臼歯部位に関しては、そこまで危険な解剖学的なものはない、と思います。
なので、私は昨日のような患者さんに関しては積極的に長いインプラントを用いています。
長いインプラントを所定の位置に狂い無く植立するのには、かなりのテクニックを要します。
仕上がりを見ていると、綺麗に並んでいるように見えますが、その裏には色々な工夫、苦労があるんです。
特に、上顎の前歯の場合、定位置にしっかりと埋める為には、インプラントが前の方に出っ張らない工夫が重要です。
ところが、全ての日本人の前歯は必ず骨の前に張り付いている感じなのです。
なので、その形のままに植立すると、必ず前に出っ張ってしまうんです。
それを、骨のほぼ真ん中に位置するようにインプラントを植立するのがポイントになります。
そして、歯茎に関しては、支える歯茎の厚みが3に対して高さが2の比率になることを予測して、その歯冠との調和が造れる位置に植立する訳です。
ストローマンインプラントの場合、スタンダードなら3mm以上の高さが必要とされるので厚みは4.5mm以上、プラスのストローマンの場合なら2mm以上の高さが必要とされるので3mm以上の厚み、幅が出来るようにすれば良い、となるのです。
これらの生物学的なルールが分かっていれば、その通りになるはずですから、それに準じて補正出来るように植立する、それで1回きりの手術で全て終われることが可能になるんです。
人の体のルールを知り、それを守って手術すればその通りに結果が出る。
技術を極めると言うのは、そういうことが出来ることです。
私は、必ず将来的には皆こう言う方法に落ち着くであろう、と考えています。
10年以上して来て、私はそのことをますます確信しています。
何回もの手術をどうやって避けるのか、どう解決を図るのか、それがどう安定するように出来るのか、その答えが収束して1回限りでする時代に必ずなります。
全部が全部では勿論ありませんが、殆どの手術がそうなる日が必ず来ます!
今は殆どの方が、長いインプラントを意図的に用いることに違和感を持つでしょうが、それは今だからです。
未来にどうなるのか、私には自信があります。
だから、私は意図的に長いインプラントを使います。
PS:メーカー側にはもっと長いモノのラインアップを望みます。