だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

『ライフ・イズ・コメディ~ピーター・セラーズの愛し方』を観る

2005-01-21 | movie/試写会・映画祭など
200501210313.jpg
(マルクス兄弟だとかモンティ・パイソンとかは別として)
私が一番好きな喜劇俳優、ピーター・セラーズ(以下、PS)。

まだ周りも私もinternetなんて活用していない頃、
方々のレンタルビデオショップを行き来して彼の作品を探しまわったものですが、
まさか、彼の人生の映画を観られることになるとは、
その頃には考えもつきませんでした。


ピンク・パンサーのクルーゾー警部で有名なPSですが、
私はイギリスの知る人ぞ知る怪優というイメージが強く
(私が観て初めて好きになったPS映画は『マ☆ウ☆ス』という
 でたらめでおかしな映画だったし)
それほど大衆的な存在ではないような気がしていたからです。

ですが、この映画を見ると、これを作った人間がどれだけこの寂しい天才俳優を愛し、
優しい目で描こうとしているのが分かります。
そう、PSは、私を含め、多くの人にとって特別な存在であることを
今回の試写会で知ることが出来たのでした。

映画は伝説的な人気ラジオ番組の「グーン・ショウ」収録場面から始まります。

(ここからネタバレ。)
本家・クルーゾー警部!(←これは本物。)
芸能一家に育ち、舞台や戦時中の慰問で芸をいたのち、
すでにラジオではスターだったピーター。
我が家には、可愛い妻子と両親が待っている暖かい家庭…があるようで、
その実、彼の頭の中は「どれだけ役になりきれるか」ということと、
大好きな車のことなどなど、自分のことでいっぱい。

得意の変装&物まねで、映画の世界でも有名になり、立派な家を買って、
楽しい家族の風景をフィルムに収めてはいても、
本当の所、妻子のことは二の次なのでした。

女にも目がないらしく、共演したソフィア・ローレンに入れ込んで、
(妄想愛だけど…)子供に
「お前達も愛しているけど、
 それよりソフィアをもっと愛してるんだ」
と言う始末。
(結局フラレるし。)
自分も奥さんも自暴自棄になって、お互い不倫の末、離婚。
傷心から大好きなママのところへ帰って添い寝してもらうPSなのでした。

その後、霊媒師から「最高のパートナーはB・E」と言われて、出逢ったのは
18才年下のスウェーデン人の女優・ブリット・エクランド(B・E)。
…実は、霊媒師はブレイク・エドワーズ(B・E)が、
PSと『ピンク・パンサー』の続編をやるために彼のイニシャルを伝えたのですが。

結局しぶしぶ出演した『ピンク・パンサー』の続編はヒット、
ブリットとは出会って二週間で電撃結婚し、
幸福な毎日が続くように見えたその時、
彼は激しい心臓発作に襲われるのです。

笑顔が素敵ですが、目はいつも笑ってないような気がする…(←これも本物のPS。やばい、素敵だ!)
前評判を、色々なところで読んだり聞いたりしていたのですが、
(J・ラッシュはPSそっくりだけれど、軽妙な部分までは演じきれなかったとか)
私は、思っていたよりも面白いと感じました。
実物よりもシリアスに描かれてしまったのは、
彼の人生を、ファンの目に映されるスターとしてではなく、
一人の悲しい男として見せるためにはよかったんだと思えます。
PSファンが観ると、知られざる私生活にショックを受けるという話も聞いてましたが、
むしろ、以前よりも好感が持てたくらいです。

なんて愛しい人だろう!と(笑)。

やっぱり彼は映画の中の人間だったんだ!と納得いったというか…。
あんな芸達者なんだから普通の人間なわけないでしょう。
欠けた部分があるからこそ、
彼はあそこまで俳優として仕事にのめりこむことが出来たはずなのです。
いや、のめりこみ過ぎて欠けてしまったのか。

この映画では、マザコンだとか、女好きだとか、ダメな部分に注目させてるけれど、
実際、彼は生きてる間に何十本もの映画に出ているし、
自分でTV関係者の物まねをして売り込みをしたりもしてる。
そのエネルギーが心臓に負担を与えていたんじゃないかと思えるくらい、
彼は真剣に仕事を愛していて、同じように周りの人たちも愛したかったはずだと思う。

J・ラッシュは似ている中でも特に声が似ていてゾクッときました。
(でも、外見はそんなに似ているかなー?
 変装したPSに似せて変装するとそっくりだけど。
 似てる似てないの問題じゃないですが。
 あえて言わせてもらえば、本物の方が、もちょっと男前だと思いますけどね☆)

そして、PSよろしく
登場人物に自らを語らせる粋な演出はとっても楽しかった。

思い出すだけでしんみりしちゃいます。

出てきた二人の奥さん(E・ワトソンとS・セロン。実際は4人奥さんがいたのですが。)
も可愛かったし、一緒に組んだ二人の監督、B・エドワーズとS・キューブリックも印象的だった。

この映画で、PSを愛する心を再認識しました。
PSのために、なんとかの中心で愛を叫びたいです。

そういうわけで、早速今まで買い渋っていた
『ピンク・パンサー』シリーズのDVDボックスを買ってしまいました(苦笑)。
今さらなのに、先着特典のタンブラーを貰えてラッキー!
ドキュメントで映画の復習も出来ちゃった!
(やっぱ実物はもっと素敵だと思う…)
これからしばらくの深夜12時台はPS漬けの毎日になりそう…うっしっし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする