「9から始まる奇妙な物語」見放題配信を記念して、第2シリーズのエピソード・リストも作りました。
このシリーズの放送当時は、第1シリーズにあったQ&A企画がなかったので、
当時ウェブ上で公開されていたコメンタリーや、記事から拾った裏話をご紹介します。
今回もおすすめ度合いに合わせて星
をつけてみましたが、
このシリーズは第2話が飛び抜けていて、その他はおしなべて好き、って感じ…
実際に見てお気に入りを見つけてくださいね!
Inside No 9 Series 2 Trailer BBC Two
第1話
あらすじ:
フランスを走る寝台車の9号室。
静かに眠りたいイギリス人の医師マックスウェル(リース・シェアスミス)は、酔っ払ったドイツ人(スティーヴ・ペンバートン)や、
娘の結婚式に参列する夫婦レスとキャス(マーク・ベントン、ジュリー・ヘズモンドハルグ)が入ってくるたびに起こされてしまう。
やっと皆が寝静まった頃、バックパッカーのショーナ(ジェシカ・ガニング)が
行きずりで出会ったヒューゴ(ジャック・ホワイトホール)を部屋に連れ込んでくる。
2人が狭い寝台で事に及ぼうとした時、2段目のベッドから死体が転がり落ちてきて…
ポイント:
スティーヴが寝台車でフランスを旅行した経験がきっかけで作られたエピソード。
第1シリーズの「かくれんぼ」以来の狭い環境での撮影で、寝台車の臭いがこちらまで漂ってきそう(笑)。
臭くて下品なシーンが苦手な人にはオススメ出来ないですね…
この回は内部の様々な角度からのショットが必要だったために、寝台横の壁を何度も取り外しながら撮影しています。
寝台車セットは実際に揺らされていたため、ジャック・ホワイトホールは撮影初日に酔って吐いてしまったそう。
リース&スティーヴはキャストを想定した「当て書き」をしませんが、
ジャックは執筆途中からヒューゴ役としてイメージされていたようです。
マックスウェル医師は元々はスティーヴが演じる予定でしたが、
レス役になるはずだったリースが演じたいと希望したため、彼に譲ったそう。
第2話
あらすじ:
クリスティーン(シェリダン・スミス)は新年パーティーでアダム(トム・ライリー)と出会う。
アダムとの交際、結婚、子供の誕生、そして別離…
平凡ながらささやかな幸せにも恵まれたクリスティーンの人生に、
時折不吉な、見知らぬ男が姿を現す…
ポイント(ネタバレ含む):
ファンの評価が高い、初期の人気エピソードの一つ。
スティーヴのお気に入りでもあり、私も大好きな回です。
このエピソードのような描写や展開を見せる映画はありますが、
30分の間で無駄のない筋立てを見せるのは素晴らしい技術だと思います。
謎めいた男や投げつけられる卵、そして消防士、火花といったものが
彼女の記憶を引き出している描写も効果的。
リース&スティーヴは執筆段階で主役にシェリダン・スミスをイメージしていて、
彼らと("Benidorm"などで)共演経験があり、ファンでもある彼女は一緒に仕事が出来て嬉しかったと語っています。
トゥイッケナム・スタジオでは「寝ている男」と「幸せな人生」の2つのセットが組まれました。
シェリダンいわく、そこで作られた70年代風の「ファンキーな」アパートの内装は、
寝室も浴室も揃っていてそのまま引っ越し出来そうなほどだったそうです。
”見知らぬ人” reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 10, 2015
第3話
あらすじ:
舞台は17世紀、リトルハプンズ村でエリザベス・ガッジ(ルース・シーン)が娘夫婦から魔女だと告発される。
判事のアンドリュー・パイク卿(デヴィッド・ワーナー)は
有名な魔女ハンターのウォーレン氏(シアースミス)とクラーク氏(ペンバートン)に
エリザベスの調査を依頼し、同時に魔女裁判を利用して村に注目を集めようとする。
ポイント:
番組初の時代物。
今回アマプラで見直して、ぱっと見の印象とはずいぶん異なる
モンティ・パイソンのようなくだらなさに頭を抱えて笑ってしまいました。
魔女裁判をテーマに取り上げたのはリースで、2人は実際の裁判の資料を参考に脚本の執筆を進めていったようです。
「乳首」や「ミルク」に関するとてもくだらないと思えないセリフが、実は実在の裁判を忠実に表していたりするので、
現在の目線から見るといかに当時の魔女裁判がばかばかしいものであったのかがわかります。
エリザベスの娘婿役で出演しているジム・ハウィックはリース&スティーヴと
娘夫婦の苗字ナッターは、ペンドルの魔女裁判で絞首刑となったアリス・ナッターにちなんだもの。
途中で傍聴人が外に出されたのは、エキストラ予算の制約のためだったとか。
”世紀の魔女裁判にお集まりください” reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 8, 2015
第4話
あらすじ:
アンディ(スティーヴ)は話し相手を必要とする人のための「悩み相談ホットライン」で働き始める。
上司のジョージ(リース)や、話好きな同僚リズ(ジェーン・ホロックス)、
実際的なジョアン(ニッキー・アムカバード)に教わりながら電話対応に慣れていくアンディ。
そんな時、薬を過剰摂取した10代の女の子からの電話を受けて…
ポイント:
第1シリーズで演出を務めたデヴィッド・カーが参加出来なかったため、
リース&スティーヴ自身が演出家デビューを果たしたエピソード。
4視点の防犯カメラの映像で構成され、2日半で撮影を終えています。
前述の通り、普段あまり「当て書き」をしない2人は、
この回に関しては、もともとはリースがアンディを、スティーヴがジョージを演じるのが
「納得の」キャスティングだと考えていましたが、
いつもと違った配役にするためにあえて逆にしたようです。
リズを演じたジェーン・ホロックスのセリフは、ほとんどがアドリブ。
新人が「ウッド・グリーンから送られてきた」というセリフは、
「リーグ・オブ・ジェントルマン」に登場するキャラ、ポーリーンが
舞台版ではウッド・グリーンの職業安定所の講師だったため、
元々は「ウッド・グリーンのポーリーンから」と言わせようとしていたらしい。
個人的にコールセンター勤務経験があるので、いろんな意味で怖いエピソードでした。
我慢できずにデスクの下でおしっこしたことはありません!
”ジョージとアンディはこのエピソードの演出家でもあります” reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 20, 2015
第5話
あらすじ:
高級志向で潔癖気味のアンジェラ(クレア・スキナー)は
79歳の誕生日を迎えた母マギー(エルシー・ケリー)のためにパーティーを準備。
一方、夫のジム(スティーヴ)はイタズラ好きの義兄パット(リース)に日頃の仕返しをしようと
紙で出来たケーキの下に隠れ、驚かせようと企む。
アンジェラの姉でパットの妻のキャロル(ロレイン・アッシュボーン)はアルコール依存症。
何も知らずにマギーがパーティーを楽しむ中、アンジェラは姪のケイティー(イヴ・ゴードン)やジムに絡み始め…
ポイント(ネタバレ含む):
こちらもリース&スティーブの共同演出回。
一番最初に書かれた脚本で、BBCのプロデューサーはシットコム・シリーズの第一話にふさわしいと考えていましたが、
2人はこの話をシリーズ化する気にはならず、保留に。
最終稿に至るまでは、小包にマギーが隠れている設定が、娘夫婦がケーキに隠れることになったり、
ケーキに誰も入っていないことがわかるエンディングからさらにシーンを追加したりと、いくつか変更があった模様。
うまくいかない家族のパーティーを描いた物語は、英国の芝居のプロットとしておなじみ。
スティーヴは劇作家のアラン・エイクボーンの影響を受けていると明かしていて、
私はやけを起こしたアンジェラが酒ではなくて本当に日焼け止めをガブ飲みしてるのかと思っていました。(笑)
”素晴らしい紹介文。(自分で言うのもなんだけど)これもいい話。スティーヴと僕がまた演出してる” reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 18, 2015
第6話
あらすじ:
姉の紹介で霊媒師のタルボット夫人(アリソン・ステッドマン)を訪れたティナ(ソフィー・マクシェラ)。
ヴィクトリア朝の屋敷の中でハイヴス(リース)に誘われ夫人と対面する。
降霊の儀式を始めると、テーブルの上のろうそくは激しく燃え、
引き出しが勝手に開閉し、人形の赤ん坊が泣き出して…
ポイント(ネタバレ含む):
いやみな怒りんぼキャラが得意なリースの本領発揮回。
Séanceはフランス語で「交霊会」の意味。
タイトルは第3話に出演しているデヴィッド・ワーナーが、映画"From Beyond the Grave"で発したセリフから拝借。
ハイヴスと言う名前はローレル&ハーディの喜劇に使われた執事の名前から。
S1第6話「地獄降り」で使われたのと同じ、ハートフォードシャーにある屋敷アボッツ・ラングリーで撮影されています。
どんな結末にするかは執筆開始段階では分からず、決まるまでは15〜20の候補があったそう。
ちなみにリースと夫人役のアリソンは「ミス・マープル:無実はさいなむ」で共演しています。
”ハイヴスとメアリーはあなたを歓迎しています” reece shearsmith (@ReeceShearsmith) April 27, 2015
第3シリーズ(日本未配信)のリストはこちら、
リース&スティーヴの出世作「リーグ・オブ・ジェントルマン」についてはこちらをどうぞ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます