”Nemesis”
Miss Marple : Season 2
BBC 1987年2月初放送
過去に何度も観ていたのですが、先日改めてジックリ観直す機会があり、今更ですが今回初め
てこのドラマに触れてみたいと思います。
言わずもがなですが、原作はアガサ・クリスティ1971年刊行作品で、『カリブ海の秘密』の
続編として書かれた作品です。
原作はもう遥か昔に読んだのですが、今回久し振りに改めて再読致しました。
いや~、あちこち忘れているもんです。
そして、改めて読んでみてドラマの設定が原作と異なる部分が幾つかあった事に気付きました。
ジョーン・ヒクソン版は基本的に原作に一番忠実に描かれているのですが、珍しい事ですね。
キャスト:
監督:デービット・タッカー
脚本:T.R.ボウエン
出演:
ジェーン・マープル:ジョーン・ヒクソン
ジェイソン・ラフィール:フランク・ガットリフ
ライオネル・ビール:ピーター・ティンバリー
マイケル・ラフィール:ブルース・ベイン
エリザベス・テンプル:ヘレン・チェリー
ワンステッド教授:ジョン・ホースリー
その他
原作では『カリブ海の秘密』の続編とされてはいますが、特に繋がりがないので順序を気にする
事は無いと思います。
なので、BBC版でも『カリブ海の秘密』の方が後に放送されています。
『カリブ海の秘密』で自らを”Nemesis”になぞらえ、ラフィールの協力を得ながら事件を解決した
ミス・マープルでした。
しかし、病身で大富豪であったジェイソン・ラフィールが亡くなり、その遺言書の指示で彼女が動く
という経緯になります。
ラフィール氏の死を知ったミス・マープルは故人の弁護士からの手紙を受けとります。
弁護士は、ラフィール氏からミス・マープルへの調査依頼があると告げますが、調査の内容は明確
ではなく「英国の歴史建築と庭園めぐり」のバスツアーに参加する様にとだけ告げられていました。
調査の成功報酬は2万ポンドと告げられたミス・マープルは、ビックリです。
(当時の2万ポンドと言えば、今で考えると10万ポンド位の価値があるんでしょう。)
この時のマープルさん、2万ポンドあればヤマウズラ丸ごとが買いたい、そしてマロングラッセも・・・
と普通のおばあちゃまのリアクションで可愛いです)
マープルは 丁度別居してマープルの所に身を寄せていた甥のライオネルと共にツアーに参加する事
になります。
(ここが原作と大きく異なる点ですね。 原作ではライオネルは登場せず、マープルさん1人で参加
しています)
バスツアー中も、どこで何が起こるのか思い悩みながらも周囲を注目するミス・マープルは、
ツアーのメンバーの中に彼女を監視する役割の人と保護する役割の人がいる事に気付きますが、
誰がそれぞれの役割を持っているのか・・・・。
セント・アグネスの前校長であったエリザベス・テンプル(ヴェリティ―を可愛がっていた)
ワンステッド教授(犯罪心理学の教授であり、後に内務省の役人である事が分る)
マープルの自宅を偵察していた女性二人組
そしてアビー・デューシス村に着くと、マープルを迎えに来たクロチルド。
彼女は三姉妹でこの村に住んでいるが、生前のラフィールからマープルを自宅に滞在させるよう
に指示があったと。
噂話や周囲の状況から次第に分かってくることは、ラフィールの一人息子のマイケルと婚約して
いたヴェリティが結婚直前に何者かに殺害されて、その容疑がマイケルに掛けられていた事。
マイケルは素行に問題があり、この事件でも逮捕はされたものの 何とか裁判は逃れ、その後
海外へ、帰国後はホームレスの様な生活をしていて行方も分からない状態。
そして、そのヴェリティが通っていた学校の校長がエリザベスであったこと。
又ヴェリティの親代わりで溺愛していたのがクロチルドと同居している妹であること。
等から、どうやら注目すべき点はマイケルとヴェリティに関する過去の事件なのではないかと
気づいたミス・マープルは、ラフィール氏の漏らさぬお膳立てに乗り、ラフィール氏の望んだ
様に”Nemesis”となり調査を開始します。
残念ながら殺人事件は起きてしまったものの、ミス・マープルは次第に真相に近づきます。
"Guardian angels”(守護天使)達にも助けられ、事件は解決します。
最後にワンステッド教授に連れられてやってきたのは、美しく改修されたラフィール氏の邸宅
でした。
そこに待っていたのは、ライオネルの働きによって見つけられたマイケルでした。
そして、マイケルから渡されたのはミス・マープルに宛てたラフィール氏からの手紙でした。
”ありがとう、ミス・マープル
私のネメシスよ。
又会おう”
冒頭書きました様に、この作品はライオネルの登場を含み原作と幾つか設定が変わっています。
マイケルは原作の中では会話の中でのみの登場でしたが、ドラマではかなりの登場場面があり、
ホームレスの姿もそれなりにワイルドで良いんですが、最後にミス・マープルに会う場面では
ひっくり返る程の変貌で美しい姿を見せてくれます(別人か?と思う程)
他の作品でのミス・マープルは、何か事件が起こり 持ち前の好奇心から首を突っ込み、鋭い
観察眼で解決の助けをする・・・という段取りになっていますが、この作品だけは特別で、彼
女に依頼された事が何なのか、ラフィール氏の目的は何なのか思い悩みながら進行していく点で、
ミス・マープルの観察眼と正義感を信じたうえで、彼女の行動を視越し、至れり尽くせりにお
膳立てをしていたラフィール氏の予見が際立っています。
又、ラフィール氏の目的は、単に息子であるマイケルを助けたいという事ではなく、悪(罪)
は償われなければならない、正義が為されなければならないという強い意志であり、それを
なすのはミス・マープルだけだと彼女への強い信頼感があったからこそだという事ですね。
因みに、
ジェラルディン・マクイーワン版の「復讐の女神」も製作されていますが、相変わらず原作
とは大分違う内容になっています。
個人的には やはりジョーン・ヒクソン版の方が断然好きです。
唯一、
マクイーン版にはダン・スティーブンスがマイケル役で出演しているって事が注目点ではあります。
原作翻訳本はこちら
『復讐の女神』(ハヤカワークリスティー文庫)-2004/1/1
アガサ・クリスティ(著)、乾信一郎(翻訳)
(久し振りに何度目かの再読をしましたが、翻訳の古さを感じさせられます。改訂販望みます)
Miss Marple : Season 2
BBC 1987年2月初放送
過去に何度も観ていたのですが、先日改めてジックリ観直す機会があり、今更ですが今回初め
てこのドラマに触れてみたいと思います。
言わずもがなですが、原作はアガサ・クリスティ1971年刊行作品で、『カリブ海の秘密』の
続編として書かれた作品です。
原作はもう遥か昔に読んだのですが、今回久し振りに改めて再読致しました。
いや~、あちこち忘れているもんです。
そして、改めて読んでみてドラマの設定が原作と異なる部分が幾つかあった事に気付きました。
ジョーン・ヒクソン版は基本的に原作に一番忠実に描かれているのですが、珍しい事ですね。
キャスト:
監督:デービット・タッカー
脚本:T.R.ボウエン
出演:
ジェーン・マープル:ジョーン・ヒクソン
ジェイソン・ラフィール:フランク・ガットリフ
ライオネル・ビール:ピーター・ティンバリー
マイケル・ラフィール:ブルース・ベイン
エリザベス・テンプル:ヘレン・チェリー
ワンステッド教授:ジョン・ホースリー
その他
原作では『カリブ海の秘密』の続編とされてはいますが、特に繋がりがないので順序を気にする
事は無いと思います。
なので、BBC版でも『カリブ海の秘密』の方が後に放送されています。
『カリブ海の秘密』で自らを”Nemesis”になぞらえ、ラフィールの協力を得ながら事件を解決した
ミス・マープルでした。
しかし、病身で大富豪であったジェイソン・ラフィールが亡くなり、その遺言書の指示で彼女が動く
という経緯になります。
ラフィール氏の死を知ったミス・マープルは故人の弁護士からの手紙を受けとります。
弁護士は、ラフィール氏からミス・マープルへの調査依頼があると告げますが、調査の内容は明確
ではなく「英国の歴史建築と庭園めぐり」のバスツアーに参加する様にとだけ告げられていました。
調査の成功報酬は2万ポンドと告げられたミス・マープルは、ビックリです。
(当時の2万ポンドと言えば、今で考えると10万ポンド位の価値があるんでしょう。)
この時のマープルさん、2万ポンドあればヤマウズラ丸ごとが買いたい、そしてマロングラッセも・・・
と普通のおばあちゃまのリアクションで可愛いです)
マープルは 丁度別居してマープルの所に身を寄せていた甥のライオネルと共にツアーに参加する事
になります。
(ここが原作と大きく異なる点ですね。 原作ではライオネルは登場せず、マープルさん1人で参加
しています)
バスツアー中も、どこで何が起こるのか思い悩みながらも周囲を注目するミス・マープルは、
ツアーのメンバーの中に彼女を監視する役割の人と保護する役割の人がいる事に気付きますが、
誰がそれぞれの役割を持っているのか・・・・。
セント・アグネスの前校長であったエリザベス・テンプル(ヴェリティ―を可愛がっていた)
ワンステッド教授(犯罪心理学の教授であり、後に内務省の役人である事が分る)
マープルの自宅を偵察していた女性二人組
そしてアビー・デューシス村に着くと、マープルを迎えに来たクロチルド。
彼女は三姉妹でこの村に住んでいるが、生前のラフィールからマープルを自宅に滞在させるよう
に指示があったと。
噂話や周囲の状況から次第に分かってくることは、ラフィールの一人息子のマイケルと婚約して
いたヴェリティが結婚直前に何者かに殺害されて、その容疑がマイケルに掛けられていた事。
マイケルは素行に問題があり、この事件でも逮捕はされたものの 何とか裁判は逃れ、その後
海外へ、帰国後はホームレスの様な生活をしていて行方も分からない状態。
そして、そのヴェリティが通っていた学校の校長がエリザベスであったこと。
又ヴェリティの親代わりで溺愛していたのがクロチルドと同居している妹であること。
等から、どうやら注目すべき点はマイケルとヴェリティに関する過去の事件なのではないかと
気づいたミス・マープルは、ラフィール氏の漏らさぬお膳立てに乗り、ラフィール氏の望んだ
様に”Nemesis”となり調査を開始します。
残念ながら殺人事件は起きてしまったものの、ミス・マープルは次第に真相に近づきます。
"Guardian angels”(守護天使)達にも助けられ、事件は解決します。
最後にワンステッド教授に連れられてやってきたのは、美しく改修されたラフィール氏の邸宅
でした。
そこに待っていたのは、ライオネルの働きによって見つけられたマイケルでした。
そして、マイケルから渡されたのはミス・マープルに宛てたラフィール氏からの手紙でした。
”ありがとう、ミス・マープル
私のネメシスよ。
又会おう”
冒頭書きました様に、この作品はライオネルの登場を含み原作と幾つか設定が変わっています。
マイケルは原作の中では会話の中でのみの登場でしたが、ドラマではかなりの登場場面があり、
ホームレスの姿もそれなりにワイルドで良いんですが、最後にミス・マープルに会う場面では
ひっくり返る程の変貌で美しい姿を見せてくれます(別人か?と思う程)
他の作品でのミス・マープルは、何か事件が起こり 持ち前の好奇心から首を突っ込み、鋭い
観察眼で解決の助けをする・・・という段取りになっていますが、この作品だけは特別で、彼
女に依頼された事が何なのか、ラフィール氏の目的は何なのか思い悩みながら進行していく点で、
ミス・マープルの観察眼と正義感を信じたうえで、彼女の行動を視越し、至れり尽くせりにお
膳立てをしていたラフィール氏の予見が際立っています。
又、ラフィール氏の目的は、単に息子であるマイケルを助けたいという事ではなく、悪(罪)
は償われなければならない、正義が為されなければならないという強い意志であり、それを
なすのはミス・マープルだけだと彼女への強い信頼感があったからこそだという事ですね。
因みに、
ジェラルディン・マクイーワン版の「復讐の女神」も製作されていますが、相変わらず原作
とは大分違う内容になっています。
個人的には やはりジョーン・ヒクソン版の方が断然好きです。
唯一、
マクイーン版にはダン・スティーブンスがマイケル役で出演しているって事が注目点ではあります。
原作翻訳本はこちら
『復讐の女神』(ハヤカワークリスティー文庫)-2004/1/1
アガサ・クリスティ(著)、乾信一郎(翻訳)
(久し振りに何度目かの再読をしましたが、翻訳の古さを感じさせられます。改訂販望みます)
久しぶりに観たくなりました。
ありがとうございました😊😊
まーぷるは、いろいろな方が演じてますが、ヒクソンが一番いい♬
ただの村の年寄でなく、ちょっと辛辣な面が好きです。
吹替は、山岡さんが良かったです。
やはりクリスティー作品お好きなんですね。 私もクリスティー作品を読み始めたのは大昔ですし、ドラマも
随分前に視始めたものですから、時間をおいて何度も読み返し、観返ししては楽しんでいます。
時間をおくとすぐ忘れるという健忘症でもありますが、ドラマは何度も再放送してくれますので有難く観直し
できますね。 マープルさんはジョーン・ヒクソン版でなくてはならないという頑固者です。
kirakiraさんの丁寧な記事は何時も拝見して楽しませて頂入れ居ます。
コメントありがとうございました。 これからもよろしくお願いします。
私も全く同意見でして、ミス・マープルはジョーン・ヒクソンでなければなりません(何時もひつこく云います
が)原作のイメージぴったりなのはジョーン・ヒクソンですわね。
マクイーワン版、マッケンジー版はゲストに釣られて見るだけです。
確かに、ヒクソン版は、ピリッとした辛辣な面がありますね。 ただの優しいおばあちゃまでないのが良いで
すね。
このところは字幕版が観られるので嬉しい限りですが、吹き替え版は私も山岡久乃さんで覚えています。
イメージに合っていて良かったと思います。
コメントありがとうございました。
ポワロはあの人、、、思い出せない💦
が、俳優さんは決まってます。
クリスティはおっしゃるとおり、わたしも小学生から読み始め、忘れては読み忘れては読み、してます。全部読みました。今も犯人分かっても読みます。あの世界観が好きですね。
イギリスで暮らしましたが、ポワロやマープルの世界そのものでした。
モースも好きです。
また楽しみにしてます。
再度こんにちは。
そうなんですよ、ミス・マープルはジョーン・ヒクソン。 ポアロはデヴィッド・スーシェです。
私も同じくです。 トミーとタペンスはイマイチなんですが、それ以外は中学生の頃(かな?)から全部読み
まして、そして、何度も読み返します。 犯人は分かっていても(笑)細部を忘れていたりしますし・・・・。
イギリスで暮らされたんですね? ではあの世界観を実感されたことでしょう。
モースもお好きですか。モース仲間が増えて嬉しいいです。
コリン・デクスターの作品はストーリーが複雑で 個々のエピソードに関して書く余力がありませんが、又語り
合いましょうネ。