ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

今年から本気で治療にかかるべき、日本の病(やまい)

2015-01-23 22:23:24 | 徒然の記

 NHKのニュースを見ていると、今年から本気で治療にかかるべき、日本の病(やまい)が何であるのかよく分った。

 イスラム国による、身代金要求事件の報道の背後に、その病が容易に理解できる形で現われていた。

 誘拐された後藤氏が授業を行っていた学校での、インタビューだった。中学生だったか、高校生だったか、眼鏡をかけた、まだあどけなさの残る女生徒が、涙をこらえて喋っていた。

「後藤さんの意思を継いで、私も将来は、世界で困っている人たちのため、尽くしたいです。」「こんな事件があったから、本気でそう考えるようになりました。」

 その次に出てきたのは、この学校の先生だったか、あるいは氏の関係する、NPO法人の女性メンバーだったか、彼女も又涙声で語っていた。

 「とても優しくて、立派な方でした。」「誰にでも、隔てなく接してくれる方で、素晴らしい人でした。」・・。

 正確な内容は忘れたが、要するに、氏が立派な人物であったことを、切々と訴える映像だった。

 私は実際の氏を知らず、マスコミの報道で得た知識しか持っていないが、NHKが、登場者に誉めさせるほどの人物なのかにつき、素朴な疑問を抱く。
 危険地域だから行かないようにという、外務省の警告を無視し、無謀な潜入をした思慮の足りなさを、簡単に無視して良いのかということだ。宗教、民族、政治と経済が複雑に絡まった地域に、「世界は一つ、人類は兄弟。」という、日本でしか通用しない安易さで行動した結果が、どうなったか。

 「すべて、自己責任です。」と、いくら彼が大見得を切っても、いざ拘束されて身代金を要求され、しかも200億円をこえる大金を、「日本」に支払えと脅され、氏はどんな責任が取れるというのか。政府というより、日本の国と国民に対し、途方もない負担と、苦しみを与えている彼の短慮について、NHKは、少し語るべきでないのか。

 氏の意思を継ぎたいと、女生徒に語らせ、あたかも、それが立派な覚悟でもあるように伝えているが、国民の中から、第二第三の後藤氏が生まれてくることを、NHKは是としているのだろうか。

 氏が、善良なボランティアの人間だったとしても、イスラム国に好意を寄せることは、彼らに虐殺され、拉致された、少年少女の親たちからみれば、後藤氏も、憎むべき敵にしか思えないであろう。善意も正義も善行も、見る立場が変われば、スッカリ違ったものになるということを、NHKは報道を通じて、国民に伝える使命があるはずだろうに。

 拘束されたら何であれ可哀相だ。可哀相な人は救わなくてならない。可哀相な人に涙する者は、すべて正しく立派なのだと、そんな薄っぺらな人情報道から、NHKは何時になったら卒業できるのか。

 NHKがそうだから、あの女生徒を教えている教師も、同じ仲間だと推察できる。
「志が立派でも、周囲の状況をキチンと判断せず、行動したら、結果は間違ったことになります。」と、そんな常識を教えていないことは、一目瞭然である。彼女の親や兄弟たちは、こんな教育しかできない学校に、恐怖感を覚えるのではなかろうか。

 つまり、日本の病の一つは、「平和と反戦」を唱えていさえすれば、世界に平和が訪れると本気で信じてしまっていることだ。

 二つ目は、社会の木鐸とか良識とか自称しているマスコミが、率先してその病に罹っていることだ。三つ目は、政治家、教育家、文化人など、名称はどうでもよいが、社会のリーダーと言われる立場にいる人々が、その病に罹っていることだ。

 四つ目は、これが一番厄介だが、社会のリーダーたちの中には、他国から金銭の支援を得て、日本を裏切る言動をマスコミで堂々と行っていることだ。

 だからこそ、後藤氏の誘拐に雪崩うつ、そのマスコミが、北朝鮮に拉致された、200人とも300人とも言われる被害者には、悲しみの報道もせず、取り上げもせず、何十年間放置してきたか。

 日本マスコミの独りよがりな、薄っぺらな、唾棄すべき、歪んだ人道主義こそが、今年から、本気で治療にかかるべき、日本の病(やまい)であると、今宵は自信を持って断定する。

 しかしこの断定の、何という虚しさか。自分の非力が、悲しくなってくる。

コメント (4)
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