ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

三橋氏の著作

2015-07-03 17:26:57 | 徒然の記

 三橋貴明氏著「本当はヤバくない日本経済」(平成21年刊 ( (株)幻冬社 )と、「国民の教養」(平成23年刊 扶桑社)、の二冊を読んだ。

 氏は、昭和44年に熊本県で生まれ、都立大学(現・首都大学東京)を卒業し、外資系企業等に勤務した後、中小企業診断士として独立する。平成22年に、自民党公認候補として衆議院選挙に立候補し、落選するという経歴も持っている。

 経済のみならず、学問・芸術の活動においても、政府が余計な干渉をしなければ、「見えざる手」の力で、すべてが巧く行くと、先日読んだフリードマンは、ケインズの「限りない自由主義」を讃えていた。

 三橋氏は、無制限な自由や、経済のグローバリズムを正しくないと言い、国や民族を破壊する、自由主義者に異を唱える。

 「膨大な借金を抱えた日本は、やがて財政破綻する。」、「日本の年金制度は、崩壊する」、「日本の公務員は、多過ぎる。」、「日本の治安は、悪化している」、「日本の貿易依存度は、大きい。」、「日本の国際競争力は、凋落の一途だ。」

 と、私たちは長年にわたり、こうしたマスコミの報道に接して来た。何をする術も無いのに、日本はどうなるのかと、一人前に心配だけはしてきた。

 三橋氏は、これらの意見がどのように間違っているか、数字データを元に分析してみせる。それによると、政府は、都合の良いデータだけ集め、やっかいな数字を引っ込め、マスコミと共に、国民を騙しているということらしい。そういうことができるのなら、氏にしても、自分に都合の良い数字を集め、自説を展開できると、卑しい推理ができなくも無い。

 しかし私は、そんなひねた疑問にとらわれず、素直な気持ちで本を読んだ。

 「日本は、右傾化している。」「日本は駄目だ。」「日本は、世界で孤立している。」「日本は、劣った国だ。」と、マスコミが日々政治面で掻き立てているが、そっくり同じことが、経済の報道でも行われていると、三橋氏が教えてくれた。

 日本の公務員は多すぎず、日本の犯罪発生率は、世界のどの国と比較しても、断トツに少ない。日本の貿易依存度は25%しかなく、韓国は87%、ドイツ70%、中国50%、イギリス42%、ロシア41%である。世界の主要国中で、日本より貿易依存度が少ない国はアメリカ(21%)とブラジル(18%)の二国だけだ。

 平成 22年度の数字だが、こうしたデータを示されると、確かに、マスコミの報道はおかしい。社会の木鐸として、早めに警鐘を鳴らしていると言い訳をしそうだが、マスコミの論調は、日本が破滅し、破綻することを望んでいるように聞こえてならない。

 どこまで氏の主張が正しいのか、今は理解できないが、日本を大切にする立場から、意見を述べていることだけは分かる。

 日本が、世界一の債権大国であることや、世界一の技術立国の一つであることなど、多くの長所を教えてもらった。日本の素晴らしさをドンドン発展させて行くと、やがて日本だけが世界一となり、中国や韓国・朝鮮は、劣等国になりかねない。氏の主張には危うさもあるが、これだけマスコミが、日本駄目論を展開している今は、希少価値がある。私のような感情論でなく、数字を元に、客観的な意見を述べるのだから、立派だと思う。

 フリードマンの著書もそうだったが、氏の本も、有価物回収の日のゴミとせず、本棚に残しておくこととする。

 いつかもう一度読み返して、どちらの意見が正しかったのか、確かめてみたいからだ。けれどもそんな日が果たして来るのか。その日が来る前に、自分の命の方が尽きてしまうのではないかと、かすかな不安がある。

 100才まで生き、本を読むと決めているが、強気の陰にある弱気、楽観の彼方に見え隠れする悲観、とでも言えば良いのか。本人の予定と現実は、常に乖離する。( 三橋氏の元気さと、前向きな思考に敬意を表したい。)

コメント (6)
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