今は父と主人と私と老犬の3人と1匹の静かな家族の食卓ですが、以前は我が家も大家族でした。
最初は主人の両親や義弟夫婦も交え、最大10人家族の時代を10年過ごしました。
次に私の両親と同居し、7人家族で6年過ごし、その後自分たちの家を手にして5人と3匹の犬で10数年。
娘たちは次々に嫁ぎ、犬2匹も旅立ち、今の暮らしになりました。
思えば、子育ての真っ最中におじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らせたことはとても幸いな出来事でした。
共働きの私たちにとって、どれだけお互いの両親の存在が大きかったか計り知れません。
食事作法も自然と普段の生活の中で祖父母から学びました。
お箸の持ち方、残さず食べる、肘をついて食べない、きちんと正座して(座卓での食事でしたから)最後まで立たないでいただく。
そんな当たり前の事だけど、その当たり前の事って急には身につかないものです。
もし、我が家が核家族だったら、おそらく、それらの食事作法は飛ばして、とにかく早く食べさせ、とにかく早く片付けることしか頭になかったでしょう。
そして、家族が揃って食べる時間がどれだけ大切なコミュニケーションの場であるか、なんて考える余裕もなかったと思います。
そして、もっと大きな経験は、幅の広い年齢層が集結している食卓で学ぶ人間関係。
祖父母を慕い、お年寄りを敬う気持ち、集団生活の中での自分のあり方。
それは彼女らが社会人になったときにより発揮されてきたように思います。
そんな食卓風景を残したい。
私はその思いを形にしたいという思いがつのり、こうして食に関わる事業へと発展していったのでした。
「昔日本の食卓」風景をこれからも残し続けてもらいたいと思うのです。