田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

鹿沼の雪  麻屋与志夫

2010-02-03 13:01:23 | Weblog
2月3日水曜日

●プログです。
●2日。雪の朝でした。

         

子どもみたいにはしゃぎました。
カミサンを誘って黒川河畔にでかけました。
昔のように、二の字二の字の下駄の跡などという情緒は望めません。
でも車輪の後がなんぼんもついている舗道の景色をたのしみました。

●古賀志山は、まだ斑に雪がのこっていたました。
「よくとれたかしら」とカミサンの声が寒風の中で透明なひびきをつたえてきました。

         

●枯れススキが雪をかぶって川面に向かって伏せているようでした。
その茎のまがったようすがまたおもしろいなと感銘しました。

●鹿沼を離れていると、いつもおもいだすのはこの黒川べりの風景です。

●鹿沼に滞在しているときは、できるだけこの河川敷の公園を歩くことにしています。
たのしいです。
鹿沼を離れていった塾生たちもたぶんこの風景をおもいだしているだろうな、などとカミサンと話し合いながらの9874歩の散歩でした。


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吸血鬼攻め込む  麻屋与志夫

2010-02-03 10:22:08 | Weblog
part4 吸血鬼攻め込む   栃木芙蓉高校文芸部

18

血色の夕映えの中を龍之介は走った。
一刻も早く翔太Gに報告したかった。
「そうか、外来種だったか。
やはり攻めこむとしたら栃木だったか」
というのがGの応えだった。
宇都宮の立体駐車場での闘争報告をうけてもさして動揺はしていない。
なんらかの超能力のあるGだ。
本人はそんなことはおくびにも出さないが、
ずっと一緒に暮らしている龍之介にはわかっていた。
それに剣の道に精進する過程でそう悟った。
いくら音なしの剣といわれても相手に打ちこまれれば受けなければならない。
打ちこまれる箇所が一瞬前にわかるのだ。
大菩薩峠の盲目の剣士、龍之助のファンで孫に龍之介とつけたくらいだ。
介としたのは芥川の愛読者でもあるからだ。
だから、文芸部に入ったという報告もGをよろこばせた。

「蛾を憐れみて、灯を点ぜず」
Gは全幅の和紙に筆をふるっていた。
剣を筆にかえた。
晩年の武蔵を真似ているわけではない。
若い時から書には励んでいたらしい。
だって、玉川堂は先々代からの知りあいらしい。
「そうですか。あの翔太さんの孫ですか」
と百歳ちかそうな老人が店の奥から龍之介の顔をみにでてきた。

「わかるか龍。
たとえ相手を倒しても、慈悲のこころだけはわすれるな。
この菜根譚の句は蘇東坡の詩からとつたのだが、
この句の前が『ねずみが飢えないように、ご飯を残しておいてやり』というのだ……。
ネズミを猫にかえてもいいし……」
「鬼にかえてもいいんじゃないの」
といいながら、玉藻さんが部屋に入ってきた。
障子をあけた気配などない。
スウッと障子を透かして幽霊のような現れかたをする。
でも足はまちがいなくついている。
「玉藻さん」
「なあに龍之介」
「監察官ってなんですか」
 うっと、玉藻が絶句した。
「吸血鬼の監察官ってどういう役職なのですか」
 あっ、ウッとおどろいている。
「どこでその言葉を……」
「ぼくのクラスの転校生が、山田文子がその監察官だと外来種の吸血鬼にいわれていました」
「そうか。やはり来たか」
とGが玉藻にかわっていう。




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