田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

蔵の町のインペーダ―3  麻屋与志夫

2010-02-28 10:09:28 | Weblog
part9 蔵の町のインペーダ―3  栃木芙蓉高校文芸部(小説)


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日光例弊使街道の中本陣跡。
屋敷の奥にその蔵はあった。
正面の古びてはいるが、
堂々とした長屋門をくぐると、
広い枯山水のにわがあった。
一般公開されている。
市の重要文化財に指摘されている場所だ。
自由にその庭までははいることができた。
でもそのさきは立ち入り禁止。
標識が歩みつづけることを拒んでいる。

その奥に、樹木の影に土蔵はみえていた。
黒漆喰の壁だった。
白壁がウリの観光課の宣伝なので、
通りからみえる部分だけ白壁にしたのだろう。
文子はためらわず土蔵にむかってあるきつづける。
足もとの蘚苔類がじめじめしている。
すでに薄暗くなっていた。
なにか潜んでいるよだ。
「咎められたらどうする」
「あらぁ、龍でもそんな常識的なこというの」
「不気味だし、なにかでそうだし、ヤッパこわいな」
「怖がること知ってる男のこってすきよ」

「やぁ、いらっしゃい」
不意に――。
下野高影番、
鬼村が樹木の影からわいてでた。
「よく、ぼくの家がわかりましたね。お客様として歓迎しますよ」
「きみの家? 知らなかった」
「そうか。これは失礼。
きみらはふたりとも転校生だった。
それにしても山田文子さんはどこの高校からの転校生なのかな?
いつの時代からなのかな??」
「あらわたしにも、よくはわからないのよ」
「まさか平安時代からとか??? それはないよな????……」
「そうかもしれないわよ。清盛ちゃんこと知ってるもの」
「ゲェ!!! ほんとかよ」


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