田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

蔵の街のインペーダ―6  麻屋与志夫

2010-03-12 01:00:56 | Weblog
part9 蔵の町のインペーダ―6   芙蓉高校文芸部(小説)


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「これはわたしの仕事よ。
リュウはみていて。
こいつらは、わたしのことを知っていて襲って来たのよ」
「そうはいかない。
こいつらに誘われてここにきたのはぼくだ。
ぼくのことも、こいつらは感づいて襲って来ているるのだ」
「だったらノドをついて。そこが急所よ」
「先刻承知。まえに教わったじゃないか」
「あらわたしとしたことが、ボケたのかしら」
それには応えず、龍之介は鬼村と向き合った。
「こんなところに潜んでいたんだな。
蔵の街として、
観光のメダマとして宣伝している土蔵に、
隠れているなんて卑怯だとは思わないのか」
鬼村の鉤爪が襲ってきた。
左腕の動きは正常だ。
なんて回復力の速いヤツダ。
「おれはレンフイルドなんかじゃない。
由緒あるこの土地の鬼族だ。
ルーマニヤの吸血鬼と合体したのさ。
みたろう。この回復力を」
だったらその地元で、
どうしてこうも凶悪な行動にでるのかききたかった。
芙蓉の番長植木を襲った。
奥本を誘拐した。
Gと龍之介の住まいを襲撃した……。
そうした一連の行動には訳があるはずだ。
でもいまはそんなことをきけるムードではなかつた。
龍之介は特殊警棒を青眼に構えた。
文子は鞭を右手に、
ボウガンを左手で連射しながら、
トレンチコートのRFと目まぐるしく戦っている。
龍之介はノドにつきをいれるとみせて、
鬼村の左腕に警棒をたたきつけた。
バキっとはねかえされた。
まるで鉄の腕に切りつけたようだ。
鬼村の鉤爪がさらに伸びた。
鬼村は激怒し、呪いの言葉を吐く。
口元もみにくく歪んで、乱杭歯からは臭い汚液を滴らせている。
爪はナイフさながらの光と鋭さで龍之介の胸めがけて襲いかかってくる。
警棒でないだがはじき返された。
進化している。
龍之介の攻撃パターンにそなえて進化している。
改良してきている。
鬼村がなにかいいたそうに笑った。
醜悪に歪んだ顔の笑は不気味だ。
龍之介は警棒のグリップをひねった。
突端から剣先が現れた。



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