田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

番長襲名/ガントレット4 麻屋与志夫

2010-03-27 09:39:38 | Weblog
part11 番長襲名/ガントレット4 栃木芙蓉高校文芸部(小説)



53

ヌンチャックが襲ってきた。
叩きつけられる棍をかわして、
龍之介は敵の利き腕を切り下げた。
ヌンチャックを握ったままの腕が、
夜空にとんだ。
絶叫とともに男はバランスを崩した。
回転しながら倒れた。

番長はタンボ槍の男と戦っていた。
稽古用の槍の先に綿か布をまきつけて衝撃を和らげるものではなかった。
白い光がはなって真槍が番長を攻め立てている。
突くとみせて横に薙ぐ。
番長の腕から血が流れている。
それでも番長の威厳と怒りのためか。
一歩も退かずいずいと間合いを詰めている。
鋭い突きが番長の腰につきたった。
槍のほうがリーチが長い。
特殊警棒では敵にとどかない。
無念の形相で番長は投げた。
男の胸板に正確にヒットした。
警棒の半ばまで男の肉にくいこんだ。

「おれにはかまうな。机、ウチの副番たちが全滅だ。墓地で倒れている」

それだけいうと番長は倒れた。
痛みを必死でこらえている。
並みの男なら失神している。

「こっちはかたつけた」

「そうかい」
文子と戦っている大沢がふり返って龍之介に応えた。
「かたつけただと。あれをみろ」
下館がにやにやして余裕の声で叫んだ。
どうしたことだ。
番長がさきほど走ってきた墓地の狭路を、
ぞろぞろと男たちがやってくる。
ゾンビだ。
いやちがう。
かまれて従者にされた芙蓉高校の副番の哀れな姿だ。
いやまだ完全にはRFにはなりきっていない。
だが、ひととしての意識を欠いた副番の群れは、
龍之介と番長に襲いかかってきた。


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