田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

書きつづけなければならない。――夜明まで。 麻屋与志夫

2010-09-14 18:06:59 | Weblog
9月15日 水曜日
●ブログ村のファンタジー小説から、ホラー怪奇に移転した。やはりわたしの小説にはホラーとか怪奇、伝奇、恐怖――小説、という言葉がふさわしいらしい。のっけから、古い表現でごめんなさい。初からトップにランクされた。もちろん浮き沈みの激しい世界だ。瞬間的なものかもしれない。これは転居してきたものへのご近所さんの温情なのでしょう。ビギナーの幸運、とじぶんを戒めがんばりますので恐怖小説の愛好家のみなさんよろしくおねがいします。

●北関東の極み、前日光高原にある舟形盆地の小さな町で小説を書きつづけてきました。よもやこの歳になるまで、三度目のカムバックを果たすことが出来ないとは思いませんでした。前途に恐怖の大魔王が収穫の大きな鎌をふりあげているようで怖いです。そうなのです。わたしにはあまり時間が残されてはいません。

●古いブログを読んでいただければ幸いです。でも忙しいかたのために略歴を書きます。
 二十代で久保書店の「灯」「抒情文芸」その他の少女雑誌に、いまでいうjuvenile novel(少年少女小説)を書いていました。麻屋与志夫のほかにも、いくつもペンネームで小説や随筆を書きました。ただ、雑誌debutは果たしたものの文学賞とはまったく無縁でした。

●書きづけることはできても、大きく言えば時代のneedsに応えられるよう傑作を生み出せませんでした。わたしの希望がささやか過ぎたのかもしれません。原稿料でなんとか生きていければそれでいい。棒ほど願って針ほどかなう。という諺があります。わたしの希求が小さかったので、いつのまにか忘れられた作家に成ってしまいました。それに両親の病気という不運なできごとが突発し、東京の仲間から身を引き、都落ちを余儀なくされました。

●あれから何年が経過したのでしょうか。一日として、小説のことを考えない日はありません。一日として、カムバックを想わない日はありません。

●書きつづけなければならない。――夜明けまで。

●一番怖いのは、読者の顔が見えないことです。東京と田舎を行き来して生活していますが、若い人がどんな小説をよみたがっているのか、よくわかりません。どうぞコメントなどお寄せいただき、励ましとご贔屓のほどおねがいします。


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赤ワイン/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-09-14 06:41:27 | Weblog
8

その恐怖は平家物語より、
奈良時代よりさらに古い。
ひとが人となった頃から引きずってきたものだった。
それがなぜ怖いかというと、
じぶんの命にかかわるほどの恐怖であり、
痛みを伴う恐怖だからだ。
その恐怖をいまそこにあるものとして信子とカレンが感じている。
早く助けてあげなければ。
どこにいるの? 
恐怖を感じているだけならまだいい。
血を吸われているかもしれない。
ともかくふたりを拉致したのは吸血鬼なのだ。

生臭くカビ臭い。
異臭を放つ薄闇の廊下を音を立てずに走る。
百子はクノイチだから走っても音がしない。
翔子は夢道流の後継者だ。
そしていまだにあらゆる術を技を学ぼうとする。
百子の忍者走りが翔子のものになっている。

廊下の行き止まり。
大きな木製の扉がある。
開く。
真っ暗だ。
おくのほうでなにか引きずっているような音がする。
そっと扉をくぐる。
ぱっと明かりがつく。
人体に反応してついた。
そしてそのさきは――飲み屋横丁という雰囲気だ。

濃厚赤ワイン。
新鮮赤ワイン。
人工でない生ワイン。
とりたてしぼりたての!! 
赤ワイン。

翔子はゾクッと身震いした。

「エゲツナイ。いやなコピーね」

百子も赤ワインということから想像するのは翔子と同じイメージだ。

「はやく、ふたりを探さなければ」
 
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