田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

千年目の恋/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-09-20 10:02:04 | Weblog
13

ミイマの体はいま宵闇色にそまっていた。
なにを想っているのだろうか。
「わたしには愛する子どももいる。
孫までいるの。
わたしたちには、ひとと結ばれる可能性があったの……。
それに気がついてから……長いこと待った。
わたしの属性を怖がらず受け入れてくれる男性があらわれるまで。
わたしに心を読まれても、
心を操作されてもまったく気にしない、
良人となるべき男性とめぐりあうまでに……千年が過ぎた。
でも待った甲斐はあった。
孫までいるのよ。
あなたたちにも、その可能性は十分にある。
そう、あなたたちだって変われる。
他種との混淆が成りたつ時代にもなっているのよ。
わたしたちだけではなく
――iPS 細胞の研究がさらにすすめば、
人類の改造までできちゃうはずよ。
残るは意識の問題なの。
あなたたちは、
直接人体から血を吸わないと生きていけないなんて思いこまないで」

テツもトオルもキョトンとしている。
翔子は吸血鬼が呆然とするさまをはじめて見た。
全然さまになっていない。
吸血鬼はやはり牙をむいて、
鉤爪もあらわにひとに襲いかかってこそ、
吸血鬼なのだ。
ミイマは必死で説得しているけど効果はない。
難しすぎるわよ。
仲良くしましょう。
くらいの交渉がいいのに。
だって、ほらミイマあぶない。テツがミイマを襲った。
「いいわよ。
わたしの喉笛を噛みちぎったら。
どうなるか、わかってるんでしょうね」
テツがたたらを踏んだ。
おっとっと……いうふうに踏みとどまった。
「テツ。引こう」
「トオル!! おれは逃げるのはいやだ」
と悔しがるテツの腕をつかんでトオルが霊園にむかって後退する。
「どうしてわからないの」
ミイマが悲しそうにバラの鞭をだらりと下げる。
鞭の先がこきざみにふるえていた。
「いつの日かわかりあえるときがくるから」
GGがミイマをなぐさめている。
いい関係だわ、おたがいが信頼しあっている伴侶をもててしあわせね。
と翔子は心のなかでつぶやいた。
ミイマはれ千年に一人のGGにめぐり会えた。
わたしには、いま純がいる。
翔子はあらためて純を見た。
バチッと鬼切丸をさやに納めたところだった。
「助っ人にかけつけて、ありがとう」
「なぁに、翔子。それいうなら純にいったら」
ミイマが笑っている。



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ああ、美神ミューズよ/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-09-20 03:00:09 | Weblog
9月20日 月曜日

●ああ、美神ミューズよ。
あなたに見放されてから、暗黒の道を歩きつづけています。
元はと言えば、わたしが悪いのです。
「もの言わぬ神の意志」――を伝えるような高踏的な文学に憧れました。
才能もないのにバカですよね。
わたしが悪いのです。
それから、『ヌーヴォーロマン』の秋波に惑わされ、
同人誌『現代』を主宰するなどのあなたへの冒涜をくりかえしました。
小説を書いて暮らしていきたいとねがっているのに、
誰にも読んでもらえないような、
読者を拒絶するような小説を同人誌に発表しつづけました。
慙愧の至りです。
反省サルの姿勢。

●これではいけない。
こんなことでは自滅する。
と気づきました。
そしてカムバックまで5年と期限をきってブログで小説を書きだしました。
コメントもポツリポツリ。
……その日の訪問者と、閲覧者に喜んだり悲しんだり。
手探りで書きつづけています。
そして、昨日インポイントが70入りました。
これは、わたしにとっては事件です。
ホラー怪奇小説のジャンルで名実ともに一位に躍進しました。
うれしいです。
ポイントをプチュンしてくださったみなさんありがとう。
ほんとうにうれしかったです。

●発表の場がブログなので自己規制を厳しくしています。
わたしの小説の読者のなかには小学生もいます。
昨日、
書けなかったのは『血を吸うのをやめたら』は、
もっとスプラッターしたかったのです。
血が飛び散るようなことを濃密に書きたかったのです。
猟奇的な描写を濃厚にしていきたいのです。
でも、それはブログという公の
――だれでも読めるブログだからこそゆるされることではありません。
友成純一ばりの描写はだめですよね。

●ああミューズ、詩の美神よ。
雑誌に小説が再び書けるチャンスをあたえてください。
それにはこの場で、ブログ小説を書きつづけなければならないのですよね。
そして美の神ミューズがほほ笑んだように感じているのは、
うれしくてこのような私事を書き連ねているということは、
あなたこそ美神ミューズなのだとわかりました。
これからも悩みながらも『さすらいの塾講師』を書きつづけます。
よろしくご愛読のほどおねがいします。

●ああ美の女神ミューズよ、
北関東の北の果て、
舟形盆地の小さな町のボロ家で、
深夜に起きだしてパソコンに向かっている、
哀れな忘れられた作家に憐れみを。




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