13
ミイマの体はいま宵闇色にそまっていた。
なにを想っているのだろうか。
「わたしには愛する子どももいる。
孫までいるの。
わたしたちには、ひとと結ばれる可能性があったの……。
それに気がついてから……長いこと待った。
わたしの属性を怖がらず受け入れてくれる男性があらわれるまで。
わたしに心を読まれても、
心を操作されてもまったく気にしない、
良人となるべき男性とめぐりあうまでに……千年が過ぎた。
でも待った甲斐はあった。
孫までいるのよ。
あなたたちにも、その可能性は十分にある。
そう、あなたたちだって変われる。
他種との混淆が成りたつ時代にもなっているのよ。
わたしたちだけではなく
――iPS 細胞の研究がさらにすすめば、
人類の改造までできちゃうはずよ。
残るは意識の問題なの。
あなたたちは、
直接人体から血を吸わないと生きていけないなんて思いこまないで」
テツもトオルもキョトンとしている。
翔子は吸血鬼が呆然とするさまをはじめて見た。
全然さまになっていない。
吸血鬼はやはり牙をむいて、
鉤爪もあらわにひとに襲いかかってこそ、
吸血鬼なのだ。
ミイマは必死で説得しているけど効果はない。
難しすぎるわよ。
仲良くしましょう。
くらいの交渉がいいのに。
だって、ほらミイマあぶない。テツがミイマを襲った。
「いいわよ。
わたしの喉笛を噛みちぎったら。
どうなるか、わかってるんでしょうね」
テツがたたらを踏んだ。
おっとっと……いうふうに踏みとどまった。
「テツ。引こう」
「トオル!! おれは逃げるのはいやだ」
と悔しがるテツの腕をつかんでトオルが霊園にむかって後退する。
「どうしてわからないの」
ミイマが悲しそうにバラの鞭をだらりと下げる。
鞭の先がこきざみにふるえていた。
「いつの日かわかりあえるときがくるから」
GGがミイマをなぐさめている。
いい関係だわ、おたがいが信頼しあっている伴侶をもててしあわせね。
と翔子は心のなかでつぶやいた。
ミイマはれ千年に一人のGGにめぐり会えた。
わたしには、いま純がいる。
翔子はあらためて純を見た。
バチッと鬼切丸をさやに納めたところだった。
「助っ人にかけつけて、ありがとう」
「なぁに、翔子。それいうなら純にいったら」
ミイマが笑っている。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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ミイマの体はいま宵闇色にそまっていた。
なにを想っているのだろうか。
「わたしには愛する子どももいる。
孫までいるの。
わたしたちには、ひとと結ばれる可能性があったの……。
それに気がついてから……長いこと待った。
わたしの属性を怖がらず受け入れてくれる男性があらわれるまで。
わたしに心を読まれても、
心を操作されてもまったく気にしない、
良人となるべき男性とめぐりあうまでに……千年が過ぎた。
でも待った甲斐はあった。
孫までいるのよ。
あなたたちにも、その可能性は十分にある。
そう、あなたたちだって変われる。
他種との混淆が成りたつ時代にもなっているのよ。
わたしたちだけではなく
――iPS 細胞の研究がさらにすすめば、
人類の改造までできちゃうはずよ。
残るは意識の問題なの。
あなたたちは、
直接人体から血を吸わないと生きていけないなんて思いこまないで」
テツもトオルもキョトンとしている。
翔子は吸血鬼が呆然とするさまをはじめて見た。
全然さまになっていない。
吸血鬼はやはり牙をむいて、
鉤爪もあらわにひとに襲いかかってこそ、
吸血鬼なのだ。
ミイマは必死で説得しているけど効果はない。
難しすぎるわよ。
仲良くしましょう。
くらいの交渉がいいのに。
だって、ほらミイマあぶない。テツがミイマを襲った。
「いいわよ。
わたしの喉笛を噛みちぎったら。
どうなるか、わかってるんでしょうね」
テツがたたらを踏んだ。
おっとっと……いうふうに踏みとどまった。
「テツ。引こう」
「トオル!! おれは逃げるのはいやだ」
と悔しがるテツの腕をつかんでトオルが霊園にむかって後退する。
「どうしてわからないの」
ミイマが悲しそうにバラの鞭をだらりと下げる。
鞭の先がこきざみにふるえていた。
「いつの日かわかりあえるときがくるから」
GGがミイマをなぐさめている。
いい関係だわ、おたがいが信頼しあっている伴侶をもててしあわせね。
と翔子は心のなかでつぶやいた。
ミイマはれ千年に一人のGGにめぐり会えた。
わたしには、いま純がいる。
翔子はあらためて純を見た。
バチッと鬼切丸をさやに納めたところだった。
「助っ人にかけつけて、ありがとう」
「なぁに、翔子。それいうなら純にいったら」
ミイマが笑っている。
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