第八章 日常のなかの恐怖
1
初冬のけぶるような氷雨が降る新宿。
傘もさしていない。
両手をポッケにいれている。
前かがみに、俯いてゆらぎただよう人びと。
――歌舞伎町だ。
異様な姿の人の群れ。
霧雨のようになってきた。
雨は上るのかもしれない。
でも人の動きには変化がない。
ただなにか青白い影が彼らのシルエットにダブって見える。
憑かれているものがいる。
操られているものがいる。
彼らであって、彼らではなくなっている。
そんな群衆の中をvividな動きで移動していく女の子。
クノイチ48のチームだ。
だが、100人は超えている。
黒の長めのレインコート。
「翔子。純とまた共闘出来てうれしいでしょう」
先頭をいく百子が、翔子にだけ聞こえる声で言う。
「小山田副総理が自殺するなんて、かんがえられないよ。日名子さんに護衛が集中していたのに……。まさかね……」
ガードするべきは日名子ではなかった。
父の副総理のほうだったのだ。
自殺の経緯も動機も報道されていない。
マスコミは沈黙を余儀なくされている。
政局は大混乱。
解散総選挙が噂さされている。
「純たちのほうが、さきにつくかしら」
「わたしたちは、オブザバーで、参戦するななんて失礼よね」
それで百子はイジになってチーム全員に招集をかけたのだ。
コマの奥のゲーセンの路地にとめてあるバイクに向かっている。
目指すは新大久保、百人町。
同じ雨の中、こちらは車で新大久保へ。
GGとミイマと玲加。
『刀エクササイズ』のメンバーが百人町を目指していた。
「わたしたちは参戦しなくてもいい。敵の姿をひとりでもおおくの関係者にみておいてもらいたい。そう、勝則君がいっていた」とGG。
「陸自の異能部隊、百々さんからも同じ連絡よ」とミイマ。
全員が目指しているのは『在京ルーマニア人協会』だ。
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初冬のけぶるような氷雨が降る新宿。
傘もさしていない。
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憑かれているものがいる。
操られているものがいる。
彼らであって、彼らではなくなっている。
そんな群衆の中をvividな動きで移動していく女の子。
クノイチ48のチームだ。
だが、100人は超えている。
黒の長めのレインコート。
「翔子。純とまた共闘出来てうれしいでしょう」
先頭をいく百子が、翔子にだけ聞こえる声で言う。
「小山田副総理が自殺するなんて、かんがえられないよ。日名子さんに護衛が集中していたのに……。まさかね……」
ガードするべきは日名子ではなかった。
父の副総理のほうだったのだ。
自殺の経緯も動機も報道されていない。
マスコミは沈黙を余儀なくされている。
政局は大混乱。
解散総選挙が噂さされている。
「純たちのほうが、さきにつくかしら」
「わたしたちは、オブザバーで、参戦するななんて失礼よね」
それで百子はイジになってチーム全員に招集をかけたのだ。
コマの奥のゲーセンの路地にとめてあるバイクに向かっている。
目指すは新大久保、百人町。
同じ雨の中、こちらは車で新大久保へ。
GGとミイマと玲加。
『刀エクササイズ』のメンバーが百人町を目指していた。
「わたしたちは参戦しなくてもいい。敵の姿をひとりでもおおくの関係者にみておいてもらいたい。そう、勝則君がいっていた」とGG。
「陸自の異能部隊、百々さんからも同じ連絡よ」とミイマ。
全員が目指しているのは『在京ルーマニア人協会』だ。
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