19
ミイマの病室の天井を破って侵入したV。
ミイマは冷静な声で語りかけた。戦いの前の静けさを思わせる。
「病院にめいわくかけられない。外に出ましょう」
「望むところだ」
バリンと天井をつき破って茨木童子が消える。
「あいつ、なに聞いているの」
天井の破損個所を恨めしそうに見上げるミイマ。
「それなに? 百子」
「流星錘」
「翔子。わたし、コタやルイに死なれて悲しかった。責任感じてた。悔しかった。十字手裏剣がきかない敵だった」
「暗器の名は――?」
翔子はわざとぶっきらぼうにきいた。
百子の感傷を断ち切るためだ。
たしかに大勢の仲間に死なれで百子は暗くなっている。
「りゅうせいすい」
ビュンと長い紐の先の錘(すい)がVの喉を打った。
ドバッと青い血が噴いた。
ケヤキ並木の梢までふきあがった。
「いつまでも同じ武具で戦うとは思わないで」
百子がいさましくVにむかって叫ぶ。
まるでそれが合図であったかのように、みよ!!! クノイチ48のガールズの手元を!!!!!!
鎖鎌。
梢子棍(しょうしこん)と打撃武器。
射程武器の半弓。クロスボウ。
諸葛孔明の発明と伝わっている連射のきく諸葛弩。
Vとの戦いで百子は学習した。
古典的な武器であってもまだ効果がある。
いや古い武器だからこそ効果があるのだ。
日本古来の鬼がその主要メンバーであるV軍団には効果があるのだ。
すっかりさまがわりした攻撃にVはたじたじだ。
「錘にも矢尻にも銀をつかった。刀エクササイズで稼がなきゃね」
百子がようやく活気づく。
妖空間に閉じこめられて、活人画のように動かない原宿の賑わい。
クリスマスまえのど派手なエルミネイション。
静止した女には、恋人がVであったことなどわからない。
あわや、血をすわれ。
Vの餌食になるのを救われたこともわからない。
やがて、妖空間が開ける。
となりに恋人がいない。
何人が悲鳴を上げるのだろうか。
肩を並べ、手をつないでいた恋人がVであった。
そんなことをしらずにみんなが生きていけるように、わたしたちは戦っている。
翔子も百子も同じ思いだ。
いや、ここ、まさに戦乱の巷で戦っているみんながそう思っている。
ミイマは茨木童子と戦っている。
童子は弟を殺された恨みがある。
ミイマにはGGを殺された恨み。
お互いの、怨念のぶっかりあいが火をふく。
ミイマは美少女。
童子は草食系のイケメン。
だが怨念の猛々しさが死闘をくりひろげている。
ミイマの傷は完全には癒えていない。
純がサポートしている。
玲加がミイマを襲おうとするVをばら鞭で撃退する。
翔子も駆けつける。
GGがいないのだけが寂しい。
麻衣の班。
昇格してクミがルイの跡を継いだルイの班がたたかっている。
クミは班の名前をかえることには反対した。
いっまでも、ルイの名前を残したい。
銀の打撃。
銀の矢尻で攻め立てられ、Vは浮足立っている。
絶叫。
苦鳴。
断末魔の叫び。
Vからもクノイチガールズからも上っている。
今宵また無名のまま、少女の命が原宿の路上できえる。
遠くで鳴っていた雷鳴が近寄ってきた。
空には稲妻が。
地上には戦いの雄叫び。
そして――純が――。
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ミイマの病室の天井を破って侵入したV。
ミイマは冷静な声で語りかけた。戦いの前の静けさを思わせる。
「病院にめいわくかけられない。外に出ましょう」
「望むところだ」
バリンと天井をつき破って茨木童子が消える。
「あいつ、なに聞いているの」
天井の破損個所を恨めしそうに見上げるミイマ。
「それなに? 百子」
「流星錘」
「翔子。わたし、コタやルイに死なれて悲しかった。責任感じてた。悔しかった。十字手裏剣がきかない敵だった」
「暗器の名は――?」
翔子はわざとぶっきらぼうにきいた。
百子の感傷を断ち切るためだ。
たしかに大勢の仲間に死なれで百子は暗くなっている。
「りゅうせいすい」
ビュンと長い紐の先の錘(すい)がVの喉を打った。
ドバッと青い血が噴いた。
ケヤキ並木の梢までふきあがった。
「いつまでも同じ武具で戦うとは思わないで」
百子がいさましくVにむかって叫ぶ。
まるでそれが合図であったかのように、みよ!!! クノイチ48のガールズの手元を!!!!!!
鎖鎌。
梢子棍(しょうしこん)と打撃武器。
射程武器の半弓。クロスボウ。
諸葛孔明の発明と伝わっている連射のきく諸葛弩。
Vとの戦いで百子は学習した。
古典的な武器であってもまだ効果がある。
いや古い武器だからこそ効果があるのだ。
日本古来の鬼がその主要メンバーであるV軍団には効果があるのだ。
すっかりさまがわりした攻撃にVはたじたじだ。
「錘にも矢尻にも銀をつかった。刀エクササイズで稼がなきゃね」
百子がようやく活気づく。
妖空間に閉じこめられて、活人画のように動かない原宿の賑わい。
クリスマスまえのど派手なエルミネイション。
静止した女には、恋人がVであったことなどわからない。
あわや、血をすわれ。
Vの餌食になるのを救われたこともわからない。
やがて、妖空間が開ける。
となりに恋人がいない。
何人が悲鳴を上げるのだろうか。
肩を並べ、手をつないでいた恋人がVであった。
そんなことをしらずにみんなが生きていけるように、わたしたちは戦っている。
翔子も百子も同じ思いだ。
いや、ここ、まさに戦乱の巷で戦っているみんながそう思っている。
ミイマは茨木童子と戦っている。
童子は弟を殺された恨みがある。
ミイマにはGGを殺された恨み。
お互いの、怨念のぶっかりあいが火をふく。
ミイマは美少女。
童子は草食系のイケメン。
だが怨念の猛々しさが死闘をくりひろげている。
ミイマの傷は完全には癒えていない。
純がサポートしている。
玲加がミイマを襲おうとするVをばら鞭で撃退する。
翔子も駆けつける。
GGがいないのだけが寂しい。
麻衣の班。
昇格してクミがルイの跡を継いだルイの班がたたかっている。
クミは班の名前をかえることには反対した。
いっまでも、ルイの名前を残したい。
銀の打撃。
銀の矢尻で攻め立てられ、Vは浮足立っている。
絶叫。
苦鳴。
断末魔の叫び。
Vからもクノイチガールズからも上っている。
今宵また無名のまま、少女の命が原宿の路上できえる。
遠くで鳴っていた雷鳴が近寄ってきた。
空には稲妻が。
地上には戦いの雄叫び。
そして――純が――。
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