田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

虫ハンターリリのお手柄   麻屋与志夫

2015-08-24 10:01:43 | ブログ
8月24日 月曜日

●さくや、深夜テレビを見ていた。
カミサンがパジャマ姿で離れからやってきた。
カミサンの寝室のある離れと居間とはかなり離れている。
めったなことでは、就寝してから起きだして居間に来ることはない。
リリをだいている。

●「どうしたの」とわたしは訊いてみた。

●「リリがうるさくてネムレナイノヨ。
枕元をトコトコ歩きまわって、うるさいのよ。
それに下くちびるのあたりが赤くはれているの」
それでリリのことを叱ってしまったというのだ。
どうりで、リリはしょぼんと、うなだれている。
くびをすくめて神妙にしている。
悲しそうでもある。

●カミサンからリリを渡された。
たしかに右のアゴの上のほうが赤い。

●「リリ、ママをこまらせるなよ。
明日は模擬試験の監督がある。
早くから仕事なんだから、
ママをヤスマセテあげなさい」
リリに話しかけるときは、つい優しい言葉になってしまう。
家に迷いこんで来てからソロソロ一年になる。
手のひらにのっていた子猫はいまはすっかり大人だ。
でもいつになってもわたしの心のなかでは、リリは手のひらサイズだ。

●カミサンが悲鳴をあげている。
キッチン、
中道、
畳の部屋、
コタツとピアノのある十畳ほどの板の間をぬけ、
やっと寝室の障子をあける。

●カミサンがコウフンシテ指さすユカに10センチを超すムカデがうごめいていた。
赤黒い粘液を床にふりまきまだうごめいていた。
リリが果敢にムカデにたちむかっている。
尻尾を太くして前足でムカデをとらえている。

●それで、わかった。

●ムカデを追ってリリは部屋のなかをかけずり回っていたのだ。

●「リリがいなかったら、
わたしムカデにクワレテいたかも……。
リリがまもってくれた。
わたしをたすけてくれたのよ」

●それなのに、怒ったりしてゴメンね。
かみさんの感激ぶりはテンコモリ。
アットウテキナものだった。

●下くちびるのハレはムカデにさされたものだった。

●まいにち、裏の空き地で虫をとってくる。
「虫ハンター」とわたしに呼ばれているリリのお手柄だった。

●「さすが、虫ハンターのリリだ。ミイマを守ってくれてありがとう」



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あらすじ・内容
皆さんは、ナルトに封じ込められている「九尾」をしっていますよね。九尾のキツネは時の天皇に愛されていた玉藻の前の化生した姿です。
では、本当の九尾とは――。歴史にあらわれる「玉藻の前」は白人の金髪美人ではないでしょうか。
だから、色が白くて金色の毛だったといわれているのです。生身の人間を、それもときの権力者の寵愛を一身にあつめていた女性を那須野が原まで追いつめて射殺したとあっては、おそれおおいので寓意で表現したのです。そして、玉藻がひとりで都落ちして、那須野が原まで逃げてきたわけがありません。玉藻にしたがう部族があったはずです。
今なお、そんな九尾伝説の残る街での出来事です――。
平安の昔より続く「九尾(吸美)族VS人狼」の怨念の戦いが今蘇る。
勝利して月に吠えるのは、どっちだ!
猫の動きから「人狼(じんろう)」の出現を予感していた一人の老人がいた。
老人の予感通り人狼が出現し、民族学者の石裂(おざく)は争いの渦にまきこまれていく。
那須野を舞台に展開する千年越しの怨念の戦い。
勇猛果敢な妻は「あなたのことは、わたしが守る」といい。
長女の祥代は「お父さんのことは、見捨てないから」といってナギナタをふるって人狼の群れに斬りこんでいく。
那須野ガ原の『玉藻狩り絵巻』さながらの戦いが妻の故郷で勃発したのだ。
平安から連綿と続く「都市伝説」は平成の世にも生きていた!
痛快無比の壮絶な戦いの幕が、ここに切って落とされた――。


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