思い出トンネル
6
GGはなんども講談社にはモチコミをした。
いまとなってはなつかしい思い出だ。
「このへんだ……」
モチコミの原稿はもちろんことわられて、がっくりと落胆して池袋まで歩いた道だ。
墓地の付近なので数十年たっているのに、さほどの変化はない。街並みがかわっていない。さらに、霊園を囲む有刺鉄線の外側。樫の木のこんもりとしげった街灯の光も届かない薄闇に場所にあった。倒れかけた小屋。なぜそこに朽ちかけた小屋があるのか。存在していることそのものが曖昧な小屋。それでも入口の木製の扉には鍵がかかっていた。真っ赤に錆ついている。いつもあのころ、気になっていたいまで言えば、ミステリースポットだ。扉をあけて探検したい誘惑にかられた場所だ。その扉の前に立っている。
この小屋が、この扉そのものがGGの思い出の中では象徴的存在だった。結婚するまではなんとか文学賞をもらい、暖簾分けをしてもらい、小説家として一本立ちしたかった。雑誌のしごとはときおりあったがじぶんが喰っていくのにやっとだった。
(あのとき、都落ちをしないで、小説を書き続けていたら……どんな作品を書きあげていたろうか)
回想から覚めた。
トンネルからぬけだしていた。
洞穴の内部にはなにもなかった。
ただ、
街の歩道から墓地にぬける穴だった。
だが、月光に照らしだされた墓地には、
ただ、
ならぬ凶悪なモノがまっていた。
プチしていただければ作者の励みになります。
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GGはなんども講談社にはモチコミをした。
いまとなってはなつかしい思い出だ。
「このへんだ……」
モチコミの原稿はもちろんことわられて、がっくりと落胆して池袋まで歩いた道だ。
墓地の付近なので数十年たっているのに、さほどの変化はない。街並みがかわっていない。さらに、霊園を囲む有刺鉄線の外側。樫の木のこんもりとしげった街灯の光も届かない薄闇に場所にあった。倒れかけた小屋。なぜそこに朽ちかけた小屋があるのか。存在していることそのものが曖昧な小屋。それでも入口の木製の扉には鍵がかかっていた。真っ赤に錆ついている。いつもあのころ、気になっていたいまで言えば、ミステリースポットだ。扉をあけて探検したい誘惑にかられた場所だ。その扉の前に立っている。
この小屋が、この扉そのものがGGの思い出の中では象徴的存在だった。結婚するまではなんとか文学賞をもらい、暖簾分けをしてもらい、小説家として一本立ちしたかった。雑誌のしごとはときおりあったがじぶんが喰っていくのにやっとだった。
(あのとき、都落ちをしないで、小説を書き続けていたら……どんな作品を書きあげていたろうか)
回想から覚めた。
トンネルからぬけだしていた。
洞穴の内部にはなにもなかった。
ただ、
街の歩道から墓地にぬける穴だった。
だが、月光に照らしだされた墓地には、
ただ、
ならぬ凶悪なモノがまっていた。
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