田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子  28   麻屋与志夫

2008-12-07 00:21:59 | Weblog
どうして。

どうして。

ここにアデランスがいるのよ。

キヨミのきれいな脚が釣られていた。

ギブスをはめていた。

「キヨミ、これって、どういうこと」

「きみい、面会謝絶だぞ。
札が目にはいらなかったのか」

「あれくらいは読めます」

「リサコ。心配かけてゴメンネ」

「それより、どうしたのよ」

「マスコミにさわがれて。
おおげさにしたくないんだって」

キヨミがアデランスを横目でにらみつける。

「ともかく、受験シーズンだからな。
ここで本校になにか不祥事があったってことが新聞にでも載ったら。
……たいへんなことなんだからな」

きよみが意味ありげにウインクしてる。

わたしは、グシャ。

わたしは、グニャ。

張りつめていたバブル。

一気にポシャッタ。 

床にへたりこむ。

「いいね。慎重に。しんちょうにたのむよ」

「はーあい。キヨミのたのみもヨロシク」

「くれぐれも、自粛してな。
軽率な行動は慎むこと。
それから、廊下のみんなは。
はやく家にかえすこと」

最後の言葉はわたしにむけたものだった。

教頭がでていく。

額に汗。 

額に汗の粒。

アデランスって、やっぱ。

むれるのかしらネ。

清美組の面々がなだれこむ。

キヨミの話。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。




夕日の中の理沙子 27 麻屋与志夫

2008-12-06 13:42:32 | Weblog
タエコがおろおろしている。

「大田のやろう。ブッコロシテヤル」
キヨミのいまの彼。戸川さんが殺気だっていた。

「なにがあったの」

みんな、首を横にふる。

ぴかぴかにみがきあげられている。

きれいすぎる。

ヤミの廊下でみんなたちんぼしていたのだ。

誰も何が起きたのかしらない。

なにも、わからないのに、カツカツときている。

ただひとつ、わかっていることは、大田先生に暴力をふるわれたらしい。      
キヨミは、救急車ではこばれた。

上都賀病院に。   

「キヨミさんが怪我よ」 

看護婦している姉からタエコに電話があった。

タエコが戸田さんに……。  

わたしたちの、連絡網は完璧だった。  

またたくまに、廊下にあふれるほど、仲間があつまった。             

おちつかなければ。

わたしまで、まきこまれて、こうふんしてはだめ。

冷静に、れいせいに。

「ようたいわ」
「なにおちつていてるの」
「おちついてなんか、いないわよ。おちつこうとしてるだけよ」
「面会謝絶の札がみえないの」

プラスチックの板がドアに掛かっていた。

面会謝絶

バカにしないでよ。

わたし。

トサカいっぱい、怒った。

こんな表示がなによー。

キヨミとわたしたちの連帯の絆。

こんなプラスチックのプレートでたちきられてたまるもんですか。

完全にプッンときた。

「やめてぇ」

みんなの声が、わたしの後ろで起きた。

ドアを後手で閉めた。 

病室には教頭のアデランスがいた。 





one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。



ありがとう/感謝しています

2008-12-06 10:54:12 | Weblog
12月6日 土曜日
●けさはうれしいことがあった。

●日本ブログ村ランキング。ファンタジー部門でまだ二位をキープしていた。訪問者もミケタ。閲覧数は4百を超えた。

●ながーいこと小説をかいている。まだほめられたことがない。たつたひとりいます。ほめてくれたひとが。

●「おじいちゃんの小説おもしろいよ。次、また読みたくなるもの」
そうです。中学三年生になる孫娘がほめてくれました。

●あたまがくらくらするほどうれしかつた。

●むかし、同人誌の仲間に青木泰一郎としいう男がいた。自己破滅型の天才的文学青年だった。お酒の飲み過ぎで亡くなったと仄聞している。

●ほんとうなのかな? 生きていれば中上健次に匹敵するような作品のかけた男だとわたしは信じている。惜しい友をうしなったものだ。

●かれには合評会ではいつも酷評された。なつかしい思い出だ。わたしの作品には純粋な文学青年をいらいらさせるものがあるらしい。「こんなのは文学でも、小説でもない」とまでいわれた。でも、かれのいうことにはなにも反論できなかった。

●いまだに小説がどういうものなのかわたしにはわかっていません。

●そのためか、読んでいただける、ということにすごくこだわります。

●わたしのつたない小説ですが読者がいるかぎり、愛読してくださる皆さんがいる限りかきつづけます。文学ジジイ。青年といってもらいたいのにね。

●まあ、それはこのとしではムリか。ともかくなんといわれても読んでくれるひとがいればかきづける。それが夭折した友への供養にもなる。そうこころを励ましている。

●いつか、だれかにほめられるような、感動をあたえることができるような小説がかけるようになるだろう。

●人生まだまだこれからだ。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。


夕日の中の理沙子 26  麻屋与志夫

2008-12-06 09:05:35 | Weblog
       

母「あなたにいっていただいて、よかったわ……。
でも、ひどいこというものね」

父「まだ若いから。
自分たちの一言が子供の人生にどんな影をなげかけるかなんて。
想像もできないのだろうな。
理沙子……、先生をうらむなよ。
先生には悪い先生はいない。
生徒にたいする認識のしかたに歪みがあるだけだ。
これが生徒のためだとおもいこむ。
それが生徒の反感をかう。
そういうことだ。
必死で勉強しなさい。
こんな街がきらいなら……いくらでも。
おまえは外にでられるのだからな……」

「わかったわ、パパ。
今日はほんとうに、ありがとう」

母「よかったわ。
あとは、受験の日に450点以上とることよ。
大田先生を見返してあげなさい」

ほら、まだ、こだわっている。

女はこわーいのだぞ。

「まかしといて。
もっととるわよ。
480点くらいとってみせるわ。
女の意地もありますからね」
 
しらなかった。

このころ、追試をうけていたキヨミがトラブっていたのだ。       
 
わたしの家の電話がけたたましくなった。

つかれていたの。
シャワーを浴びて。

すぐに寝ようとしていたやさきだった。

呼びだし音は不吉にひびいた。
 
病院にかけつける。  

外科病棟の廊下。

みんな、そろっていた。

花の清美組の仲間があふれていた。

看護婦や付添いのオバン。

の……めずらしい動物でもみるような視線。

ながい、廊下を掃くような!

スカートのグループ。

いまどきの全国の中学!!

どこにいってもみられない!!!

超クラシックな!!!!

超ロングスカート!!!!!                  

(わたしはこれだけは、ごめん。
みんなとちがう。
腰のところでおって。
ミニにしてる)

清掃(モッブ )スカートと職員室でよばれている。

ロングスカートの集団。

先輩の

せんぱいの

センパイの

senpaiの

an old‐timer
(J.E.引きました。いまどきこんなことば使うのかな? )

から譲り受けた、ありがたい。

オサガリダ。

ないがしろにはできない。

集会のあるときの制服なのだ。


珍獣の群れ。

なんだから、好奇の目もしかたないか。

なにか、めずらしい生き物でもみる目。

ETとでも遭遇したような目。   

侮蔑。

偏見。

外見だけでものの価値をきめこむ。

むかしがらの大人の目。     


「リサコどうしよう……」





one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。

ご愛読ありがとう

2008-12-05 22:24:46 | Weblog
12月5日 金曜日
●アスパラの空き箱を縦につなぎ合わせた。ちょうど本がはいる高さだ。

●それを三段に重ねた。ホリゴタツでPCを打っているわたしから見ると、カミサンが前を通過しても箱のかげになって見えない。それほど高く積み上げた。もう一段積もうと思うが、むりだろうな。

       

●「たおれてしまうわ」とカミサンにいわれた。その通りだろう。

●子どものころから上昇志向が強すぎた。上をむいて生きてきた。それではあまりにも気骨が折れる。そう気付いた。だから恋人は小柄で華奢な女性を無意識に選んでいた。いまのカミサンだ。ともかく負担がかからない。存在感が希薄だというわけではない。つねにわたしの我をとおしてくれる。いいあらそった経験がない。外食のときはべつだが。でも、和食のすきなカミサンにつきあっているのでわたしの健康状態はすこぶるいい。肉を食べたいと強固にいいはることもなくなった。

●ブログで小説を書いている。むかしであったらただ、原稿用紙をよごしているだけだ。いまでは読者がいる。ありがたいことだ。いつかは原稿料をなどと浅はかなことを思っている。

●PCで小説を書く時代がくるとだれが予想したろうか。

●わたしの小説の読者はやはり若い人がおおいとわかった。いま連載中の「夕日の中の理沙子」はおかげさまでいままでで一番人気がある。ファンタジー小説でいまのところ二位に入っている。すごくうれしい。

●やはり恋愛小説。それも中学生から高校生が登場する小説が人気の秘密らしいてとわかつてきた。

●それには、むずかしい表現はできるだけさける。やさしく書くことにこころがけている。

●学習塾の主宰者だ。まわりにはモデルはいくらでもいる。彼らの目線でとらえた小説を書いていきたい。


●上を見るのは、夕焼け空だけでいい。これからも「夕日の中に理沙子」ご愛読ください。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。

夕日の中の理沙子 25  麻屋与志夫

2008-12-05 19:28:55 | Weblog
なぐられるのがこわい。

生徒たちに襲われるのがこわい。   

そんなのないよ。

あなたたち教育者なんでしょう。

どんなことがあっても、理沙子は先生を尊敬している。

だから、ツツパリのリンチになんか負けないで。

しっかりしてよ。  

むしろ、教室の床に!

あぐらでもかいて!!

おれはきみたちのために!!!

きびしくやってきたのだ!!!!
   
それをうらむなら。

なぐれ。

なぐってくれ。

くらいのひらきなおりができないものなのですか、先生。

こんなのって、いや。

管理教育絶対反対。 

髪のばすこと、ロングヘヤー、賛成。

制服反対。

すごくいや。

それなのに、この街のひとは。

正常な状態で卒業式ひとつできないのに。

平気なのだ。

しまいには、ここは神の沼は。

日本でいちばん住みいい街だ。

なんて、いいだす。

ゲゲゲ……。

コンナコト、あんなこと。

小説家になれたらかきたいことイッパイアル。

あるノダ。

だから、ツツパッテイル。

ナマイキだ。

などなど、いわれていても。

勉強だけは泣きながらがんばっているのだ。

理想と現実のギャップ。

本音とタテマエ。

カオスのこの世をしっかりと。

この中学生生活をみきわめておきたい。

レポーターのおばさん。

定期試験を廃止した日本一進んでいる神沼の東中学なんだから。

正確に現実を取材して下さいな。 

ちょっとマイクつきつけて……。

生徒の声をきいたくらいで。

現実をきりとったなんでおもわないでください。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。

夕日の中の理沙子 24  麻屋与志夫

2008-12-05 10:59:34 | Weblog
三者懇談。
しきりなおし。
前回結論がでなかったからだ。
どうにか父が担任のミス大田を説得してくれた。
やっぱ、父親は偉大だ。

女は子宮でかんがえる。
感情をむきだしにする。 

でも、ママと大田が噛み合ったらすごいだろうな。
母だったらミス大田と口論になっていたろう。
父と母だと、まあこんな調子だったろう。

父。
大田「川村理沙子さんは……
(フルネームで呼ばれたときはヤバイんだ)
……成績はいいですよ。
でも、高校入試は当日の試験の結果だけではありませからね。
内申書がものをいいますから。
反抗的でしたから……あまり内申書はよくありません」
父「そこを、なんとかよろしくお願います。
理沙子もいままでのこと、あやまりなさい」

母だとこうなるのだ。
母「でも内申書をお書きになるのは先生なんでしょう」
大田「もちろん、そうですよ」
母「だったら、内申書がよかない。
……ではなくて。
先生が悪く書くってことですよね」

母のこの一言で、なにもかもパーになってしまっただろう。
ほんとうは、母が正しい。

3年も担任だったのに、自分の教え子の悪口書くなんて、最低だわ。

ゆるせないってかんじ。

クラスのYなんか。
卒業式にはただではミス大田をかえさないって息巻いている。

だいたい、この街は狂っている。

毎年卒業式には休む先生がいる。

謝恩会にも欠席する。

こそこそ逃げ出す先生もいる。

まあ、女教師は比較的安全圏にいる。

男の先生なんか、こてんぱになぐられてしまう。

毎日の授業がうまくいっていれば、こんなことは起きない。

ほんとに、生徒を導く気で教育してきたのだろうか。

試験廃止なんてかっこつけているけど!!
ほんとはもう試験なんかやれる雰囲気ではなくなっているのだ。            
ああ、現実を暴露してしまった。
この罪は重いぞ。

中世だったら異端審問会にかけられる。

非虻利他。

東芝のルポ、おじさん、ボケたんとチャウカ。
変換キーをおしたらなんだかへんな漢字がならんでしまった。     

火あぶりだ。

もうしらない。PCかうわよ。おじさんとも、これまでよ。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。

夕日の中の理沙子  23 麻屋与志夫

2008-12-04 16:58:30 | Weblog
デートのたびに、にがてな英語を教えてもらった。
「ねえ、わたしが5教科ぜんぶ、成績わるかったら……つきあってくれなかったぁ」
「そんなことないさ。成績なんてかんけいない」

あまり英語ができないので、おどろいているだろうと心配できいてみた。

しらずしらずコケテッシュな声をだしていた。

コウジは宿題をだすほどの熱のいれようだった。

うれしかった。

つぎにあうまで、彼のことかんがえながら英語の勉強ができた。

これで成績があがらなかったら、わたしはほんまに、アホヤナ。

コウジは商科の学生なのに、体育系なのに、英語すごい。

英字新聞だって、読んじゃうんだから。

おかげで、わたし新教育の模試で宇都宮操女子高の合格圏にはいれた。

宇操女高って、県内トップの女子高校だ。

50点しかとれなかった英語が95点。

トータルで、420点。

これなら、いちおう合格圏のAランクだ。

合格率80%。

やったぁ、てなものよ。                       
 
コウジったら……。
わたしの成績をすごくよろこんでくれた。

そして……わたしのこと、きれいだ。
すきだ。
愛してる、だって……ウフフフ。

3月3日 
おなじ日。おなじ日づけでまたまた書く。
コウジとセブンdaysも会っていない。
telしてもすぐ切られてしまう。
勉強がんばってな、ガチャリってかんじ。
やっぱりおこってるんかな。
マジデおこらせてしまったのかな。

あまりさびしいのでまた万葉集……。

春雨に衣はたく通らめや七日し降らば七日来じとや

会いたいのに、会いにきてくれない。

つれないのね、コウジ。






one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。

夕日の中の理沙子 22 麻屋与志夫

2008-12-04 06:59:43 | Weblog
幸せな日常にわたしは生息していたのだ。

ぜんぶ!

キョミの食べた二人前をいれると!!

イチマンエンちかかった!!!

彼が払ってくれた。

「ほんとはさあーそれがぁ……ねらいだったんだよね。
おなかはーすくうーし、金はねえし。
ちょっとリッチなかんじの神商ボーイがくるじゃん。
リサコのこと……こうしてぇ肩寄せしてったら。
うまいぐあいに……どんとかれの胸に。
ニヤミスじゃない。
ヤッターッテ、感激ものよね。
ミタカ、わたしの神商おとしの妙技」

ナポリタンをおかわりしたキヨミが翌朝。
HMの時間に担任の大田が休講なので、(注。3年生だけは担任アリ)
レクチーデスクに半身にかまえて一席ぶったものだ。

わたしはポー。
わたしはポー。

かれの厚い胸との接触をおもいだし。

こちらは熱く胸をときめかし……。

ポーとなっていた。

ほほを桜色にそめたりして……。

ポーっとなっていた。

彼れのマッチョな胸の感触がまだわたしのほほにのこっている。

よかったな。

いいなぁー。

すごい、出会いをつくってくれた。

キヨミのalways、いつもいつもの、空きっ腹にTHANKS。

それからの……ハーフイヤーときたら夢のようだったなー。





one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。


吸血鬼作家の休日  麻屋与志夫

2008-12-03 09:40:45 | Weblog
12月3日 水曜日
●また(11月15日のこの欄参照)宇都宮の東公園にいってきた。おととい月曜日のことだ。先月の半ばにおとずれたときはまさに公孫樹並木の黄葉のまっさかりだった。ふりそそぐ晩秋の陽光にきらきらひかりながらむすうの葉が空を黄色く染めていた。

      

●こんどは、ざんねんながらちらちらとちる黄金色の葉をながめようというもくろみは叶えることはできなかった。

●でも両側の公孫樹からまいおちた葉が舗道を黄色の絨毯としていた。ひとかげもなくせまりくる冬のトランクイリテイ、静寂をしみじみと覚えた。この単語はたぶんディン・R.クーンツのストレンジャーズにでてくるモーテルの名前で覚えたのだと思う。「静かな宿」という翻訳ではきぶんがでないので訳者はカナがきにしたのかなとかんがえたきおくがある。記憶ちがいだったらごめんなさい。

       

       

       

       

●このへんで告っちゃおうかな。どうも学生とのつきあいがおおいので、わかものことばがでてしまう。告白するとわたしのブログや小説をかざってくれるピクチャはすべてカミサンによるものです。メカ音痴のわたしはカメラを手にしたこともありません。彼女のブログは「猫と亭主とわたし」です。わたしのブログのブックマークをクリックしてぜひごらんください。バラや風景写真がすばらしいですよ。

●あるきつかれたふたりはベンチにすわり静謐なときのながれに身をゆだねました。

●初冬の葉の落ちつくした公孫樹の枝がはるか中天につきささるようにのびています。

●沈黙。

●「妻よ。すでにわたしたちは、かたることはかたりつくした。しばしこの宇宙の沈黙に沈みこもう」

●そんなセリフをかきたくなった。吸血鬼が棺のなかで長い冬眠期にはいる場面でつかえそうなセリフではありませんか? ね……。

●わたしたちのベンチの前をふとひとかげがとおりすぎた。老婆がときどきかがみこんで銀杏をひろっていた。

●「銀杏は茶碗蒸しにいれるとおいしいんだよな」沈黙はわたしの俗っぽいことばで、やぶられた。

●「わたしもおなかすいたわ」カミサンは沈黙をやぶったわたしのことばをとがめることもなくいったものだ。いつも、このカミサンのやさしいことばですくわれる。冬眠などするどころでない。吸血鬼作家のいじにかけても怖いはなしをかきつづけなければ。

●さて、とわたしはベンチからこしをあげた。これから宇都宮餃子館にいってニンニク餃子をたらふくたべて吸血鬼避けをしてから小説をかきだそう。なにをしてもなにをみても吸血鬼。にむすびつけてしまうわたしなのでありました。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。