メールが来た。
「今からそっちにいってもいいか?」
メールがきた。
送り主は不明。
またか、暇な奴だ・・・
以前もそんなことがあった。
同級生の悪ふざけ。
送り主不明で送られるメール。
無料メールのアカウントを取得してのイタズラ。
試験期間中の今、明日も試験。
共闘戦線を張るか、もしくは足のひっぱりあいか・・・
たいがい、いつも後者になる。
「いいよ」
まあ、明日の試験はどうにでもなれ。
そんな気持ちで返信した。
自分の分のコーヒーが出来上がり、どんぶりに注ぐ。
マグカップは一つしかない。
ブーン、ブーン
メールの着信。
「今、駐輪場についた」
あいつのためにコーヒーをつくる。
アルコールランプに火をともす。
沸騰がはじまり、水はお湯になり、液体は上のガラス玉に上り、琥珀色になり、下のガラス玉に落ちる。
ノックノック。
扉をたたく音。
マグカップにコーヒーを注ぐ。
マグカップから湯気が上る。
ガチャ
「よう」
挨拶しながらドアを開けた。
誰もいない。
首をだして廊下の左右を確認する。
無人。
無音。
(おかしいな・・・)
そう思いながらドアを閉め、室内にもどる。
こたつの上にはコーヒーの入ったどんぶりと、空のマグカップ。
(えっ、空になっている)
ブーン、ブーン
メールが届く。
震える手でボタンを操作する。
「ごちそうさま。また行きます。あの世より」