死神を見た。
夜のスクランブル交差点。
雨が降っていた。
傘をさして信号を待っていた。
ドキリと心臓をつかまれたような気がした。
道路の向こう側に奴が立っている。
人の顔と顔の間に奴が見えた。
目が合ってニヤリと笑ったような気がした。
ピースサインを裏返しにして骨の手をこちらに見せた。
信号が青に変わり人々が動き出す。
傘と傘、人と人の間に奴は消えていった。
キキー
その時、車がこちらにまっすぐ突っ込んできた。
そのまますぐ脇の電柱に車は突っ込み、止まった。
パーッ!
鳴りやまないクラクションが響いた。
雨が降りしきる中、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。
(急がねばならない・・・)
そう思った。
奴と会うのは二度目だ。
一度目は半年前に入院した病院。
ガンだった。
生死の際をさまよった。
深夜、ベッド脇の隙間に死神が立っていた。
見下ろしていた。
人差し指をピンと立てた手を見せながら奴は言った。
「三度目が最後だ。
これで一度目。
まだ死なないよ。
俺が三度現れた時があんたの寿命だ」
そういって死神は消えた。
あれから半年。
自宅の寝室のベッドで眠っていた。
顔に生気は無い。
死神が枕元に現れた。
「三度目だな」
「そうだ。これで三度目だ。寿命だよ」
「そうか」
俺はゆっくりと目を閉じた。
「・・・」
死神は無言のまま俺の右手をぐっと握った。
左手に握っていたスイッチを俺は押した。
数度、体がのけぞる。
少し驚いた表情を死神は浮かべたが、そのまま俺の右手をぐいっとひっぱり、俺の魂と一緒に消えた。
寝室の奥。
タンス状の箱の扉が押し開かれた。
プシュー
エア式ダンパーが稼働し一定のスピードで扉は開き続ける。
現れたのは私。
正確には頭脳は私だが、私の姿をしたアンドロイド。
死神が現れたあの時、アンドロイドの人工知能と私の頭脳をいれかえた。
死神が連れていったのはAI。
どうしても入れ替えるスイッチをあの瞬間まで押すことは出来なかった。
私は計らざるに、永遠の命を手に入れてしまった。
夜のスクランブル交差点。
雨が降っていた。
傘をさして信号を待っていた。
ドキリと心臓をつかまれたような気がした。
道路の向こう側に奴が立っている。
人の顔と顔の間に奴が見えた。
目が合ってニヤリと笑ったような気がした。
ピースサインを裏返しにして骨の手をこちらに見せた。
信号が青に変わり人々が動き出す。
傘と傘、人と人の間に奴は消えていった。
キキー
その時、車がこちらにまっすぐ突っ込んできた。
そのまますぐ脇の電柱に車は突っ込み、止まった。
パーッ!
鳴りやまないクラクションが響いた。
雨が降りしきる中、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。
(急がねばならない・・・)
そう思った。
奴と会うのは二度目だ。
一度目は半年前に入院した病院。
ガンだった。
生死の際をさまよった。
深夜、ベッド脇の隙間に死神が立っていた。
見下ろしていた。
人差し指をピンと立てた手を見せながら奴は言った。
「三度目が最後だ。
これで一度目。
まだ死なないよ。
俺が三度現れた時があんたの寿命だ」
そういって死神は消えた。
あれから半年。
自宅の寝室のベッドで眠っていた。
顔に生気は無い。
死神が枕元に現れた。
「三度目だな」
「そうだ。これで三度目だ。寿命だよ」
「そうか」
俺はゆっくりと目を閉じた。
「・・・」
死神は無言のまま俺の右手をぐっと握った。
左手に握っていたスイッチを俺は押した。
数度、体がのけぞる。
少し驚いた表情を死神は浮かべたが、そのまま俺の右手をぐいっとひっぱり、俺の魂と一緒に消えた。
寝室の奥。
タンス状の箱の扉が押し開かれた。
プシュー
エア式ダンパーが稼働し一定のスピードで扉は開き続ける。
現れたのは私。
正確には頭脳は私だが、私の姿をしたアンドロイド。
死神が現れたあの時、アンドロイドの人工知能と私の頭脳をいれかえた。
死神が連れていったのはAI。
どうしても入れ替えるスイッチをあの瞬間まで押すことは出来なかった。
私は計らざるに、永遠の命を手に入れてしまった。