日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎霧中(その19)

2023年12月06日 | ◎本日の想像話
 次の日、ミツオは東方室Aに再び足を運んだ。無人のロビーを進む。先日の受付ロボがカウンターからすべるようにやってきた。
「本日はどういったご用件でしょうか」
 ミツオは胸ポケットをまさぐる。
 コードが印刷された名刺大のアクリル板をとりだす。受付ロボの前に差し出し、読み込ませる。
 このアクリル板は、大家の元に息子の死後届いたものだ。生前に送付したものだろう。息子からの最後のメッセージだとミツオは直感した。
 アクリル板を認識したロボの様子に変化が現れる。ミツオを促すようにロボが動き出した。あわてて後に続く。別室に案内され、ミツオが入室すると後ろでドアが閉まる。
 ロボは顔を上げて、空間に映像を照射した。
 ミツオは声を失う。
 空間に現れたのはエリーだった。

コメント
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