日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
http://onimimicola.jimdofree.com

◎霧中(その33)

2023年12月25日 | ◎本日の想像話
「しっかりしろ」
 ミツオは動かなくなったエリーに駆け寄る。力一杯ゆすっても、エリーには何の反応もなかった。
 奥の扉が開き、多数の手下と共に、ある人物が現れた。
「次に会った時には、命はないと忠告したはずだ」
「遠山」
 彫刻刀で彫ったような粘着質の目をミツオ達に向けている。
 遠山の姿を確認した権堂は、遠山達に歩み寄り、頭を下げた。遠山はねぎらうように権堂に顎で挨拶を返した。そして懐から封筒を取り出し権堂に渡す。封筒を大事そうに受け取った権堂は、感謝の言葉を残して部屋から出て行った。
「あいつはお前達をおびきだす囮だけの役目だ。プログラムは俺が書いた。あいつには会社の看板を利用して全世界に、俺の悪巧みをばらまいてもらったというわけだ」
「エリーは誰が……」
「あの大家の息子だよ。俺たちの企みを察知したあいつがどうやら忍び込ましたらしい。今エリーが読み込んだのは、俺のプログラム実行阻止コードではない。エリー自身のアンインストールコードだ」
 無駄話はおしまいだというように遠山は手下に目で合図する。
 複数の銃口がミツオに向く。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする