「今からそちらに行く」
エリーはミツオからの指示で車を道明寺の働くバーに向けた。
その建物は奇妙な雑居ビルだった。 一見、骨組みだけの建物に見えた。テナントの中が丸見えなのだ。
人々がひしめきあっているのが外から確認できる。
エリーとミツオは地下へと続く階段へ足を向ける。地下は、地上と同じ構造で、やはり中は丸見えだ。ドアを開けるまでもなく、カウンターの中でグラスを拭く道明寺と目が合った。ミツオはドアを肩で押し開け、細長い店内を進む。客は一番奥まったテーブルに老人が一人だけいた。グラスの酒を凝視して動かない。
「治療中のサンシローをこの目で見たぞ。あの処置は、生体記憶体だな」
ミツオは道明寺に食ってかかるようにせき立てた。
「サンシローはただの猫じゃない。半分機械で、半分は人工有機物。よく出来ているでしょう」
道明寺はしれっとミツオに説明する。
「よほど大事なものをサンシローに記憶させているな。山岡興業へのゆすりのネタか?」
ミツオはここにくるまでに想像したことを道明寺にぶつけた。
エリーはミツオからの指示で車を道明寺の働くバーに向けた。
その建物は奇妙な雑居ビルだった。 一見、骨組みだけの建物に見えた。テナントの中が丸見えなのだ。
人々がひしめきあっているのが外から確認できる。
エリーとミツオは地下へと続く階段へ足を向ける。地下は、地上と同じ構造で、やはり中は丸見えだ。ドアを開けるまでもなく、カウンターの中でグラスを拭く道明寺と目が合った。ミツオはドアを肩で押し開け、細長い店内を進む。客は一番奥まったテーブルに老人が一人だけいた。グラスの酒を凝視して動かない。
「治療中のサンシローをこの目で見たぞ。あの処置は、生体記憶体だな」
ミツオは道明寺に食ってかかるようにせき立てた。
「サンシローはただの猫じゃない。半分機械で、半分は人工有機物。よく出来ているでしょう」
道明寺はしれっとミツオに説明する。
「よほど大事なものをサンシローに記憶させているな。山岡興業へのゆすりのネタか?」
ミツオはここにくるまでに想像したことを道明寺にぶつけた。