日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
http://onimimicola.jimdofree.com

◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その20)

2024年02月21日 | ◎本日の想像話
 左目に眼帯をつけた男は、上から下までミツオを見る。この男の眼帯に覆われ目は、金属探知機の機能を有している。何の反応も無いはずだ。武器は持っていない。
「安心しろ丸腰だよ。入れろって親分に言われたんだろ。入るぞ」
 ミツオは男を上から下までなめ回すように見返した後、鉄扉を肩で押し開いて中に入る。
 眼帯の男がそれもそうだと、いざなう素振りを示しながらミツオを先導する。興味なのか、男は何度も振り返りつつミツオを案内する。地下に続く階段を降りた。奥へと続く廊下があり、突き当たりのドアを男はノックした。
「連れてきました」
 しばらくの沈黙のあと、低い声が聞こえた。
「入れ」
「失礼します」 
 眼帯の男が先導して部屋に入る。
 マホガニーの大きなテーブルの奥に山岡はどっしりと座っていた。
山岡は葉巻のけむり越しにミツオを見ている。
「昨夜の騒動は聞いているぞ。あれはお前だろう」
「はい」
 病院への侵入を隠そうとしないミツオに山岡は少し驚く。
「病室の様子を自分の目で見て、親分が何をしようとされているかが分かりました」
 山岡は眉をぴくりと動かした。
「本当か?」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする