日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その17)

2024年02月18日 | ◎本日の想像話
 佐々木は両手の指をパチパチさせながら踊るような足取りで進んでくる。
「動物病院からここに直行するとは思わなかった。命中した俺の追跡装置に、あんた達気づいてないだろう。まあいい、探偵様これからどうするね」
 佐々木はミツオを視界の端におきながらカウンターの隅に腰掛けた。佐々木には動じず、ミツオは口を開く。
「ひとつ聞いても良いか」
「なにかね」
 佐々木はゆっくりとした動きで道明寺が出した酒をあおる。
「あんたは、何が目的で親分をおどしている?」
 佐々木はリズムを刻むように体を左右にゆすりながらミツオを見る。
「どうしてそう思う」
 ミツオはタバコに火を点けた。煙と共に言葉を吐き出す。
「道明寺一人で、山岡を脅すネタは集まらない。ネタがあったとしてもサンシローにネタをインプットすることは道明寺には不可能だ」
 佐々木は一瞬うつむいた。そしてミツオの目をまっすぐ見る。
「そこまで分かっているあんたに、どうして俺が仕事を依頼したのかは考えないのか」
 佐々木の姿がミツオの前から消えた。正確にはミツオの背後に立っていたエリーの「あっ」という声で、エリーを見るために振り返るミツオ。その直後、佐々木の居た位置から爆裂音が聞こえた。もう一度振り返ると、佐々木は忽然と姿を消していた。 そしてエリーも消えていた。
 道明寺が口を開く。
「サンシローを山岡親分から取り返すほか、あなたには道が無いようです」

コメント
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