日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(920)「強選選言」と「弱選言」と「選言三段論法」。

2021-06-09 15:20:36 | 論理

(01)
「太郎かあるいは次郎が辞書をもっている」と言われるとき、「太郎が辞書をもっている」と「次郎が辞書をもっている」の二つの命題は同時に真になることが可能である。このような選言は両立的選言(選言)と呼ばれる。
「太郎は3階か5階にいる」と言われるとき、「太郎は3階にいる」と「太郎は5階にいる」の命題が同時に真になることはありえない。このような選言は排他的選言(選言)である。
論理学の「・・・あるいは・・・」は両立的選言に取り決めてある。それは論理学の体系がシンプルなものになるからである。とりわけ、∨を両立的選言の方に決めておけば、排他的選言の方は∨と&と~とによって簡単に表現できる ―(P∨Q)&~(P&Q)―(飯田賢一・中才敏郎・中谷隆雄、論理学の基礎、1994年、11頁改)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1) (P∨Q)&~(P&Q) A
1  (2)  P∨Q         1&E
1  (3)~~P∨Q         2DN
1  (4) ~P→Q         3含意の定義
1  (5)       ~(P&Q) 1&E
1  (6)       ~P∨~Q  5ド・モルガンの法則
1  (7)        P→~Q  6含意の定義
   (8) ~P∨P         TI排中律
 9 (9) ~P           A
19 (ア)    Q         49MPP
19 (イ) ~P&Q         9ア&I
19 (ウ)(P&~Q)∨(~P&Q) イ∨I
  エ(エ)    P         A
1 エ(オ)          ~Q  7エMPP
1 オ(カ)        P&~Q  エオ&I
1 オ(キ)(P&~Q)∨(~P&Q) カ∨I
1  (ク)(P&~Q)∨(~P&Q) 89ウオキ∨E
(ⅱ)
1  (1) (P&~Q)∨(~P&Q) A
 2 (2)  P&~Q         A
 2 (3)  P            2&E
 2 (4)  P∨ Q         3∨I
 2 (5)    ~Q         2&E
 2 (6) ~P∨~Q         5∨I
 2 (7)~(P& Q)        6ド・モルガンの法則
 2 (8) (P∨ Q)&~(P&Q) 47&I
  9(9)         ~P&Q  A
  9(ア)         ~P    9&I
  9(イ)        ~P∨~Q  ア∨I
  9(ウ)       ~(P& Q) イ、ド・モルガンの法則
  9(エ)            Q  9&E
  9(オ)         P∨ Q  エ∨I
  9(カ) (P∨ Q)&~(P&Q) ウオ&I
1  (キ) (P∨ Q)&~(P&Q) 1289カ∨E
従って、
(02)により、
(03)
①(P∨ Q)&~(P&Q)
②(P&~Q)∨(~P&Q)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1  (1)   (P&~Q)∨ (~P&Q)  A
 2 (2)   (P&~Q)          A
 2 (3)   (P&~Q)∨ (Q&~P)  2∨I
  4(4)           (~P&Q)  A
  4(5)           (Q&~P)  4交換法則
  4(6)   (P&~Q)∨ (Q&~P)  5∨I
1  (7)   (P&~Q)∨ (Q&~P)  12346∨E
1  (8)~{~(P&~Q)&~(Q&~P)} 7ド・モルガンの法則
1  (9) ~{(P→ Q)& (Q→ P)} 8含意の定義(Ⅱ)
1  (ア)  ~(P⇔ Q)          9Df.⇔
(ⅲ)
1  (1)  ~(P⇔ Q)          A
1  (2) ~{(P→ Q)& (Q→ P)} 1Df.⇔
1  (3)~{~(P&~Q)&~(Q&~P)} 2含意の定義(Ⅱ)
1  (4)   (P&~Q)∨ (Q&~P)  3ド・モルガンの法則
 5 (5)   (P&~Q)          A
 5 (6)   (P&~Q)∨ (~P&Q)  5∨I
  7(7)           (Q&~P)  A
  7(8)           (~P&Q)  7交換法則
  7(9)   (P&~Q)∨ (~P&Q)  8∨I
1  (ア)   (P&~Q)∨ (~P&Q)  15979∨E
従って、
(04)により、
(05)
②  (P&~Q)∨(~P&Q)
③ ~(P⇔ Q)
に於いて、
②=③ である。
cf.
実を言ふと、この「計算」は、かなり、難しかった
従って、
(03)(05)により、
(06)
①  (P∨ Q)&~(P&Q)
②  (P&~Q)∨(~P&Q)
③ ~(P⇔ Q)
に於いて、
①=② であって、
②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
「日本語」で言ふと、
①(Pであるか、または、Qである)が、ただし(Pであって、Qである)といふことはない。
②(Pであって、Qでないか)、または(Pでなくて、Qである)。
③(PとQの「真理値」が一致する)といふことはない
に於いて、
①=②=③ である。
(08)
③ ~(P⇔Q)
③  (PとQの「真理値」が一致する)といふことはない
といふことは、
(ⅰ)PとQ の、両方とも「真」であることは、無く、
(ⅱ)PとQ の、両方とも「偽」であることも、無い。
といふことである。
然るに、
(09)
(ⅰ)PとQ の、両方とも「真」であることは、無く、
(ⅱ)PとQ の、両方とも「偽」であることも、無い。
といふことは、
(ⅲ)Pが「真」であって、Qが「偽」であるか、
(ⅳ)Qが「真」であって、Pが「偽」であるかの、いづれか、一方である
従って、
(01)(07)(08)(09)により、
(10)
③ ~(P⇔Q)≡Pであるか、または、Qである。
といふ「選言(排他的選言)」であるならば、
(α)Pであるか、または、Qである。然るに、
(β)Pでない。 従って、Qである。
といふ「推論」は、「妥当」であり、
(γ)Pであるか、または、Qである。然るに、
(δ)Pである。 従って、Qでない。
といふ「推論」も、「妥当である
然るに、
(01)により、
(11)
④ P∨Q≡Pであるか、または、Qである。
といふ「選言(両立的選言)」であるならば、
(α)Pであるか、または、Qである。然るに、
(β)Pでない。 従って、Qである。
といふ「推論」は、「妥当」であるが、
(γ)Pであるか、または、Qである。然るに、
(δ)Pである。 従って、Qでない。
といふ「推論」は、「妥当ではない
従って、
(12)
(α)Pであるか、または、Qである。然るに、
(β)Pでない。 従って、Qである。
といふ「推論(選言三段論法)」であれば、
③ ~(P⇔Q)≡Pであるか、または、Qである。
といふ「選言(排他的選言)」であっても、
④ P∨Q≡Pであるか、または、Qである。
といふ「選言(両立的選言)」であっても、
両方とも、「妥当である