―「昨日(令和03年06月13日)の記事」を書き直します。―
(01)
古典論理の含意(質料的含意)は次の2つを満たす。
(1) ~P├ P→Q 偽なる命題は任意の命題を含意する。
(2) Q├ P→Q 真なる命題は任意の命題から含意される。
ルイスは、これは「含意」という言葉の日常的な意味に反しているとして、「質料的含意」とは異なる「厳密含意」という含意をもつ理論を提案した(2020年度後期哲学演習I 厳密含意の論理(1) [修正版]、京都大学、大西拓郎:ユーチューブ、3分50秒頃)。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1 (1) ~P A
1 (2) ~P∨ Q 1∨I
3 (3) P&~Q A
4 (4) ~P A
3 (5) P 3&E
34 (6) ~P&P 45&I
4 (7) ~(P&~Q) 36RAA
8 (8) Q A
3 (9) ~Q 3&E
3 8 (ア) Q&~Q 89&I
8 (イ) ~(P&~Q) 3アRAA
1 (ウ) ~(P&~Q) 2478イ∨E
エ (エ) P A
オ (オ) ~Q A
エオ (カ) P&~Q エオ&I
1 エオ (キ) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 2カ&I
1 エ (ク) ~~Q オキRAA
1 エ (ケ) Q クRAA
1 (コ) P→Q エケCP
(サ)~P→(P→Q) 1コCP
シ(シ)~P& P A
シ(ス)~P シ&E
シ(セ) P→Q サスMPP
(ソ)~P&P→ Q シセCP
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ~P├ P→Q
② ├ ~P&P→Q
といふ「連式(Sequents)」は「妥当(Valid)」である。
従って、
(03)により、
(04)
例へば、
① バカボンのパパは天才ではない。 が故に、バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「連式(Sequents)」は「妥当(Valid)」である。
然るに、
(05)
②(バカボンのパパは天才ではないが)その上、バカボンのパパが天才である。
といふことは、「矛盾」であるため、「偽」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」からは、
② 太陽は西から昇る。
といふ「命題」は、「導出」されない。
然るに、
(07)
1 (1)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。 A
2(2) 太陽は東から昇る。 A
12(3)バカボンのパパは天才ではない。 12MTT
従って、
(06)(07)により、
(08)
②(バカボンのパパは天才ではないが、その上)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」は、
② バカボンのパパは天才ではない。
といふことを、言っているに、過ぎない。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
古典論理の含意(実質含意)が、
(1) ~P├ P→Q 偽なる命題は任意の命題を含意する。
としても、「問題は生じない(No problem)」。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1 (1) P A
1 (2) ~Q∨ P 1∨I
3 (3) Q&~P A
4 (4) ~Q A
3 (5) Q 3&E
34 (6) ~Q&Q 45&I
4 (7)~(Q&~P) 36RAA
8 (8) P A
3 (9) ~P 3&E
3 8 (ア) P&~P 89&I
8 (イ)~(Q&~P) 8アRAA
1 (ウ)~(Q&~P) 2478イ∨E
エ (エ) Q A
オ(オ) ~P A
エオ(カ) Q&~P エオ&I
1 エオ(キ)~(Q&~P)&
(Q&~P) ウカ&I
1 エ (ク) ~~P オキRAA
1 エ (ケ) P クDN
1 (コ) Q→ P エケCP
(ⅱ)
1 (1) P A
1 (2) Q∨ P 1∨I
3 (3) ~Q&~P A
4 (4) Q A
3 (5) ~Q 3&E
34 (6) Q&~Q 45&I
4 (7)~(~Q&~P) 36RAA
8 (8) P A
3 (9) ~P 3&E
3 8 (ア) P&~P 89&I
8 (イ)~(~Q&~P) 3アRAA
1 (ウ)~(~Q&~P) 2478イ∨E
エ (エ) ~Q A
オ(オ) ~P A
エオ(カ) ~Q&~P エオ&I
1 エオ(キ)~(~Q&~P)&
(~Q&~P) ウカ&I
1 エ (ク) ~~P オキRAA
1 エ (ケ) P クDN
1 (コ) ~Q→ P エケCP
従って、
(10)により、
(11)
① P├ Q→P
② P├ ~Q→P
といふ「連式(Sequents)」は、両方とも、「妥当(Valid)」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
P=ナポレオンである。
Q=フランス人である。
として、
① ナポレオンはフランス人である。故に、月が青いならば、 ナポレオンはフランス人である。
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青くないならば、ナポレオンはフランス人である。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(13)
① 月が青いならば、 ナポレオンはフランス人である。
② 月が青くないならば、ナポレオンはフランス人である。
といふことは、
① 月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
② 月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ、ことである。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① P├ Q→P
② P├ ~Q→P
といふ「連式」は、両方とも、
① ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(15)
② P├ Q→P
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ「推論」は、当然、「妥当」である。
従って、
(11)~(15)により、
(16)
② ナポレオンはフランス人である。故に、月が青かろうが、青くなかろうが、ナポレオンはフランス人である。
といふ「意味」に解する限り、
② P├ Q→P
といふ「質料的含意のパラドックス」は、実際には、「パラドックス」であるとは、言へないことになる。
従って、
(01)(16)により、
(17)
古典論理の含意(実質含意)が、
(2) Q├ P→Q 真なる命題は任意の命題から含意される。
としても、「問題は生じない(No problem)」。
従って、
(01)(09)(17)により、
(18)
古典論理の含意(実質含意)が、
(1) ~P├ P→Q 偽なる命題は任意の命題を含意する。
(2) Q├ P→Q 真なる命題は任意の命題から含意される。
としても、「問題は生じない(No problem)」。