日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(921)「前件否定の誤謬」と「質料含意のパラドックス」。

2021-06-10 20:43:42 | 論理

―「含意の定義」の証明。―
(01)
(a)
1     (1) ~P      仮定
1     (2) ~P∨ Q   1選言導入
 3    (3)  P&~Q   仮定
  4   (4) ~P      仮定
 3    (5)  P      3
 34   (6) ~P&P    45連言導入
  4   (7)~(P&~Q)  36背理法
   8  (8)     Q   仮定
 3    (9)    ~Q   3
 3 8  (ア)  Q&~Q   89連言導入
   8  (イ)~(P&~Q)  3ア背理法
1     (ウ)~(P&~Q)  1478イ選言除去
    エ (エ)  P      仮定
     オ(オ)    ~Q   仮定
    エオ(カ)  P&~Q   エオ連言導入
1   エオ(キ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  ウカ連言導入
1   エ (ク)   ~~Q   オキ背理法
1   エ (ケ)     Q   ク二重否定
1     (コ)  P→ Q   エケ条件去
(b)
1  (1)    P→Q  仮定
 2 (2) ~(~P∨Q) 仮定
  3(3)   ~P    仮定
  3(4)   ~P∨Q  3選言導入
 23(5) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 24連言導入
 2 (6)  ~~P    35背理法
 2 (7)    P    6二重否定
12 (8)      Q  17肯定肯定式
12 (9)   ~P∨Q  8選言導入
12 (ア) ~(~P∨Q)&
        (~P∨Q) 29連言導入
1  (イ)~~(~P∨Q) 2ア背理法
1  (ウ)   ~P∨Q  イ二重否定
従って、
(01)により、
(02)
① ~P  ├ ~P∨Q
② ~P∨Q├ P→Q
③ P→Q├ ~P∨Q
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
② ~P∨Q├ P→Q
③ P→Q├ ~P∨Q
である。
従って、
(03)により、
(04)
「番号」を付け直すと、
①   P→Q
② ~P∨Q
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
然るに、
(05)
① P=天気が良い。
① Q=釣りに行く。
であるとして、
①(P→Q,~P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行く。)
②(P→Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行かない。)
③(P→Q, P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行く。)
④(P→Q, P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行かない。)
といふ「推論」は、
①(~P∨Q,~P├  Q)
②(~P∨Q,~P├ ~Q)
③(~P∨Q, P├  Q)
④(~P∨Q, P├ ~Q)
といふ「推論」に「等しい」。
然るに、
(06)
「二重否定律」により、
③ P≡~~P
④ P≡~~P
であるため、
①(~P∨Q,~P├  Q)
②(~P∨Q,~P├ ~Q)
③(~P∨Q, P├  Q)
④(~P∨Q, P├ ~Q)
といふ「推論」は、
①(~P∨Q, ~P├  Q)
②(~P∨Q, ~P├ ~Q)
③(~P∨Q,~~P├  Q)
④(~P∨Q,~~P├ ~Q)
といふ「推論」に「等しい」。
然るに、
(06)により、
(07)
① ~P≡R
② ~P≡R
③ ~P≡R
④ ~P≡R
であるとして、
①(~P∨Q, ~P├  Q)
②(~P∨Q, ~P├ ~Q)
③(~P∨Q,~~P├  Q)
④(~P∨Q,~~P├ ~Q)
といふ「推論」は、
①(R∨Q, R├  Q)
②(R∨Q, R├ ~Q)
③(R∨Q,~R├  Q)
④(R∨Q,~R├ ~Q)
といふ「推論」に、「等しい」。
然るに、
(08)
①(R∨Q)
といふ「選言」は、
①(Rであるか、または、Qであるか、いづれか一方である。)
といふ「意味」ではなく
①(Rであるか、または、Qであるか、または、その両方である。)
といふ「意味」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
①(R∨Q, R├  Q)
②(R∨Q, R├ ~Q)
③(R∨Q,~R├  Q)
④(R∨Q,~R├ ~Q)
といふ「推論」は、それぞれ、
①(Rであるか、または、Qであるか、または、その両方である。然るに、Rである。故に、Qである。)
②(Rであるか、または、Qであるか、または、その両方である。然るに、Rである。故に、Qでない。)
③(Rであるか、または、Qであるか、または、その両方である。然るに、Rでない。故に、Qである。)
④(Rであるか、または、Qであるか、または、その両方である。然るに、Rでない。故に、Qでない。)
といふ「推論」に、「等しい」。
然るに、
(10)
R=日本人である。
Q=男性である。
として、
①(R∨Q, R├  Q)
②(R∨Q, R├ ~Q)
③(R∨Q,~R├  Q)
④(R∨Q,~R├ ~Q)
といふ「推論」は、それぞれ、
①(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人である。故に、男性である。)
②(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人である。故に、男性でない。)
③(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人でない。故に、男性である。)
④(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人でない。故に、男性でない。)
といふ「推論」に、「等しい」。
然るに、
(10)により、
(11)
③(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人でない。故に、男性である。)
といふ「推論」は、明らかに、「妥当(Valid)」であるが、
①(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人である。故に、男性である。)
②(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人である。故に、男性でない。)
④(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人でない。故に、男性でない。)
といふ「推論」は、明らかに、「無効(Invalid)」である。
従って、
(05)~(11)により、
(12)
①(P→Q,~P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行く。)
②(P→Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行かない。)
③(P→Q, P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行く。)
④(P→Q, P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行かない。)
といふ「推論」に於いても、
③(P→Q, P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行く。)
といふ「推論」は、明らかに、「妥当(Valid)」であるが、
①(P→Q,~P├  Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行く。)
②(P→Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行かない。)
④(P→Q, P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行かない。)
といふ「推論」は、「無効(Invalid)」である。
然るに、
(13)
②(P→Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行かない。)
の場合は、あるいは、「妥当(Valid)」であると、思へないでもない。
然るに、
(14)
②(P⇔Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、そのとき限って、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行く。)
といふ「推論」であるならば、「妥当(Valid)」であるが、そうではないため、
②(P→Q,~P├ ~Q)≡(天気が良ければ、釣りに行く。天気が悪い。故に、釣りに行かない。)
の場合は、「前件否定の誤謬(the fallacy of denying the antecedent)」といひ、「誤謬」であるため、「妥当(Valid)」ではない。
然るに、
(01)により、
(15)
もう一度、確認すると、
(a)
1     (1) ~P      仮定
1     (2) ~P∨ Q   1選言導入
 3    (3)  P&~Q   仮定
  4   (4) ~P      仮定
 3    (5)  P      3
 34   (6) ~P&P    45連言導入
  4   (7)~(P&~Q)  36背理法
   8  (8)     Q   仮定
 3    (9)    ~Q   3
 3 8  (ア)  Q&~Q   89連言導入
   8  (イ)~(P&~Q)  3ア背理法
1     (ウ)~(P&~Q)  1478イ選言除去
    エ (エ)  P      仮定
     オ(オ)    ~Q   仮定
    エオ(カ)  P&~Q   エオ連言導入
1   エオ(キ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  ウカ連言導入
1   エ (ク)   ~~Q   オキ背理法
1   エ (ケ)     Q   ク二重否定
1     (コ)  P→ Q   エケ条件去
であって、それ故、
① ~P├ ~P∨Q├ P→Q
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当(Valid)」である。
然るに、
(16)
① ~P├ P→Q
といふことは、
① Pが、「偽」であるならば、
① P→Q(Pであるならば、Qである。)
といふ「仮言命題」は、「真」である。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(16)により、
(17)
例へば、
① バカボンのパパは天才である。
といふ「命題」が「偽」である。といふ「世界」に於いて、
① バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」は、「真」である。
従って、
(01)~(17)により、
(18)
③(天気が良ければ、釣りに行く。天気が良い。故に、釣りに行く。)
③(日本人であるか、または、男性であるか、または、その両方である。然るに、日本人でない。故に、男性である。)
といふ「推論」が、「妥当(Valid)」であるためには、例へば、
① バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」が、「真」であることが、「必要」となり、こうした「事情」を、「質料含意のパラドック(The paradox of material implication)」といふ。
然るに、
(19)
① バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。
といふ「仮言命題」が、「真」であったとしても、
① バカボンのパパは天才ではない(?)が故に、
① バカボンのパパは天才である。
といふ「命題」は「真」ではなく、「」である。
従って、
(19)により、
(20)
(ⅰ)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。然るに、
(ⅱ)バカボンのパパは天才である。従って、
(ⅲ)太陽は西から昇る。
といふ「推論」は、「マチガイ」であって、
(ⅰ)バカボンのパパが天才であるならば、太陽は西から昇る。然るに、
(ⅱ)バカボンのパパは天才ではない。従って、
(ⅲ)太陽は、西からは昇らない
といふ「推論」は、「前件否定の誤謬(the fallacy of denying the antecedent)」である。