オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

ホンキの作曲術(応用編)~(3)転調する

2014-10-10 | 作曲術

さて好評の作曲連載『ホンキの作曲術』(基礎編)~(応用編)も残すところあと2回となりました。
ちょっとは皆さんの曲作りのヒントになればいいな~と思ったりしています。
難しい専門用語もたまに出てきますがそこは自分でググってもらって、調べる楽しみ、知る楽しみを知ってもらったら、と思います。


では前置きはこれくらいで、さっそく本題に入りましょう。
曲の雰囲気を変える手法で「転調」があります。
これも曲に「アクセント」をつける方法ですが、転調は作曲の中でも少しだけ高度な技術になってきますね。


クラッシックの「ソナタ形式」などの曲は転調のやり方はほぼ手法が決まっていますが、ポップスには特にこれと言った決まりはありません。
何調から何調に転調しても自由なんですが基本の転調を知っていると便利なので一応まとめておきます。
さらに転調の基本的なやり方も押さえておけばよりスムーズに転調できます。
主な転調の種類は以下の通り。


平行調転調(調号が同じ調への転調)
 ハ長調(Cメジャー)→イ短調(Aマイナー)
  きゃりーぱみゅぱみゅ「つけまつける」(中田ヤスタカ作詞・作曲)など

同主転調(主音はそのままで長調から短調へなどの転調)
 ハ長調(Cメジャー)→ハ短調(Cマイナー)
  久保田早紀「異邦人」など

属調転調(V度上、下への転調)
 ハ長調(Cメジャー)→ト長調(Gメジャー)
  MISIA「飛び方を忘れた小さな鳥」(鈴木雄大作詞・作曲)など

短三度転調(短三度上、下への転調)
 ハ短調(Cマイナー)→イ長調(Aメジャー)
  ポリス「メッセージ・イン・ア・ボトル」など

 ハ長調(Cメジャー)→イ長調(Aメジャー)
  渡辺美里「マイレボリューション」(小室哲哉作曲)など

 ハ長調(Cメジャー)→変ホ長調(Eフラットメジャー)
  スキマスイッチ「奏」など

半音上げ転調(全体的に半音上がる転調)
 イ長調(Aメジャー)→変ロ長調(B♭メジャー)
  スキマスイッチ「ボクノート」など


こうして見ると転調のある曲っていっぱいありますよね。
逆に転調のない曲を探すのが難しいくらいです。


さて転調する時には通常「ツーファイブ」と言われるコード進行を用いると転調がスムーズになります。
転調先の調のV度のコード(ドミナントコードとも言う)、さらにそのV度のコード(転調先の調のII度のコードになる)(ドッペルドミナントコードとも言う)を使って、II−V−I 流れで転調先のコードに着地させます。


もちろん「ツーファイブ」を使わない突然の転調もアリだし、それ以外の変わった「一度上げ」「長三度上げ」などの転調もあります。転調は自由ですが、あくまでこれも曲の「アクセント」ですから「やりすぎ注意」です。
いろんな曲の転調方法を聴いてメロディとコードで無理なく転調を取り入れられるようにしたいものです。


このあたりは具体的に音を聴いてもらいながら解説した方がわかりますね。
11月16日の作曲セミナーを楽しみにしていて下さい。


転調が美しい曲の代表と言えばこれ。
ラフマニノフの「ヴォーカリーズ」




メロディとコードがどんどん流れるように自然に転調を続けて行きます。ここまで転調を繰り返すともう最初が何調だったか忘れそうですね。
高度な技術です。でもこういう転調のしかたも勉強してみるといいですね。


いかがだったでしょうか?
あなたのお気に入りの一曲も実は「転調」を含んでいるかもしれないですね。
ひょっとしたらそこが好きでお気に入りの1曲になってるのかもしれないです。
どういう転調をしているのかよく聞いて、自分の曲作りの時に最初はそれを真似てみるのもいいと思います。わからない人はコードに詳しい人に尋ねてみてください。
曲作りに新たな展開が見えるかもしれないですよ。


ということで『ホンキの作曲術』(応用編)も次回で最終回です。
次回はその(4)イントロ、間奏、エンディングにもひと工夫 です。
いよいよクライマックスですね。お楽しみに。