東アジア選手権が結果、内容ともにひどく、監督替えて何とかしろ! との声がすごかったとの話。ちょっと考えを書いてみたい。
このブログでは、岡田さん就任か、という2007年末に記事を書きました(「危機?」 2007/12/3)。まだ2年以上ある、ここでじっくりいい人を選んだほうが、という趣旨。けっきょく拙速に彼が選ばれて2年、事態は予想よりもっと悪くなったように見えます。よく見るブログにも「絶望感や閉塞感が漂っている」とありました。日本サッカー、停滞、あるいは後退してるかも。
いろんな意見があっていいんですが、私には違和感があるのが、監督交替の是非を論ずるときに「すぐそこに迫ったW杯を乗り切れるか」ということが焦点になっていること。当然ではあるんですが、はっきり言えば、手遅れでしょう。ドイツ大会以上の酷いことになるかもしれない。
------ * ------
ここからでもできることはあるとか、「可能性があるかぎり」とか言うのもいいのですが、思い出したいことがあります。画像はサッカー協会のウェブからコピーしてきた「JFA2005年宣言」の一部。2015年には世界のトップ10に入るいう「約束」が書かれています。今年の大会の次、2014年のブラジルW杯でベスト8に進出する、くらいのイメージでしょうか。この宣言には「2050年にW杯で優勝する」という「約束」もあります。この宣言が出されたときには驚きましたが、遠い目標としてはこれくらい志高くありたいものです。
私の理解では、トップ10に入るとは、一時でもいいからFIFAランキングで10位くらいに達する、とか、その前後はともかく、W杯でベスト8、ということではなくて、常時10位くらいを行ったり来たりする強豪になること。現在のFIFAランクで10位前後というとアルゼンチン、イングランド、クロアチア、ギリシャ、ロシアあたり。この辺りの国と日本が対戦と聞いて、世界のサッカー好きが「いい勝負だね」というくらいになりたい、ということでしょう。
------ * ------
5年後の日本代表の主力が、若くても現在20歳前後の選手だとすると、2015年に、というのはもう困難(英国やアルゼンチンの20歳前後と比べれば瞭然)。高い目標なんだから、達成の遅れは仕方ない、でも、一つ一つの戦いは、それを目指したものでありたい。だから、こんどのW杯も、「これならきっと将来、イングランドとも互角に戦えるようになっていくだろう」と思えるような戦い方、負け方をしてきてほしかった(もう、私の中では終わってるので過去形)。
でも、今の戦い方は、勝つ確率が低い相手に、それでもなんとか勝てないか、その答えだけを探した結果そうなったのか、見ててちっともわくわくしない。まして、ベスト4なんてとてつもない達成をするため、その低い確率の目を4回、5回と出し続けなくてはいけない。それでも、今勝つところが見たい、という人はいるかもしれませんが、私はそんないわば「まぐれの連続」に興味はないし、狙ってほしくもない。目標とすべきは、そして見たいのは、強豪にも勝つ確率が40%、50%・・・という勝負ができるようになった代表です。そのために、現時点での位置に見合った目標があり、戦い方があるはず。だから今回はドイツの反省を生かして、大きな目標に向けて前進しているというところが見たかった(2009/6/18の記事に書きました)。そんなチームこそ、2018年なり、22年なりに主力になるかもしれない人たちに見せたい日本代表であって、それでこそ、トップ10も、W杯優勝も、たんなる夢想ではなくなっていくと思うから。
------ * ------
現実の指揮官が、「結果は度外視です」と言えるはずはありません。でも、「我々の長期目標に沿った強化・指揮をお願いします」と、強化委員会は言えるはずだし、言う義務がある。その目標に対して適切な人選をした上で、長期目標に沿ったその時点での達成目標を与える役割を担っている。今大会でいえば、それがベスト4であるはずはないでしょう(だって次の大会ベスト8が長期目標なんだから)。でも今の指揮官は、「とてつもなく難しい目標を、それでも達成するための解」を探すのに精一杯で、その過程で新たな才能を見出したり、大きなポテンシャルを持つ人材を組み入れられる戦術を見つけたりという、代表のスケールアップのための引き出しがあるように見えません。
だから、今回のW杯の結果より、こういう状況を生んだ、拙速なコネ人選の繰り返しを断ち切りたい(岡田さんだけじゃなく、ジーコも、オシムも含む)。そのためには・・・正直、ひどい目にあってきてもいい。協会が「やっぱり手近なところで間に合わせてはダメだ、誤魔化しはきかない」と痛切に確認するくらいに。ファンにこれだけ詰め寄られても擁護した現体制です。いよいよ結果が悪かったとき会長にも強化委員会にも逃げ場はないでしょう。たいへんな「リスク」をしょったものです。
------------
ちょっと追記:みんなそうでしょうが、私も、東アジア大会の結果だけを見てこのように言っているつもりはありません。岡田氏の起用には最初から反対だし、どの時点でも更迭するというなら賛成でした。かつて「日本はアジアのトップになった」と思った時期がありました。そこから凋落は始まっていたのでしょう。今回、結局たまたまそれなりの結果が出るかもしれない。でも、それでこの6年以上にわたる後退から目をそらさないでほしいものです。「一流の監督はお金がかかって・・・」なんて交渉もしないうちから言うなんて、「ごめんなさい2005年宣言は本気じゃありませんでした。撤回します」と言うに等しいように聞こえる。このままなら、私は日本代表への興味を失いそうです。だからといってサッカーを見る楽しみはちっとも減らないので、いいのですが。
このブログでは、岡田さん就任か、という2007年末に記事を書きました(「危機?」 2007/12/3)。まだ2年以上ある、ここでじっくりいい人を選んだほうが、という趣旨。けっきょく拙速に彼が選ばれて2年、事態は予想よりもっと悪くなったように見えます。よく見るブログにも「絶望感や閉塞感が漂っている」とありました。日本サッカー、停滞、あるいは後退してるかも。
いろんな意見があっていいんですが、私には違和感があるのが、監督交替の是非を論ずるときに「すぐそこに迫ったW杯を乗り切れるか」ということが焦点になっていること。当然ではあるんですが、はっきり言えば、手遅れでしょう。ドイツ大会以上の酷いことになるかもしれない。
------ * ------
ここからでもできることはあるとか、「可能性があるかぎり」とか言うのもいいのですが、思い出したいことがあります。画像はサッカー協会のウェブからコピーしてきた「JFA2005年宣言」の一部。2015年には世界のトップ10に入るいう「約束」が書かれています。今年の大会の次、2014年のブラジルW杯でベスト8に進出する、くらいのイメージでしょうか。この宣言には「2050年にW杯で優勝する」という「約束」もあります。この宣言が出されたときには驚きましたが、遠い目標としてはこれくらい志高くありたいものです。
私の理解では、トップ10に入るとは、一時でもいいからFIFAランキングで10位くらいに達する、とか、その前後はともかく、W杯でベスト8、ということではなくて、常時10位くらいを行ったり来たりする強豪になること。現在のFIFAランクで10位前後というとアルゼンチン、イングランド、クロアチア、ギリシャ、ロシアあたり。この辺りの国と日本が対戦と聞いて、世界のサッカー好きが「いい勝負だね」というくらいになりたい、ということでしょう。
------ * ------
5年後の日本代表の主力が、若くても現在20歳前後の選手だとすると、2015年に、というのはもう困難(英国やアルゼンチンの20歳前後と比べれば瞭然)。高い目標なんだから、達成の遅れは仕方ない、でも、一つ一つの戦いは、それを目指したものでありたい。だから、こんどのW杯も、「これならきっと将来、イングランドとも互角に戦えるようになっていくだろう」と思えるような戦い方、負け方をしてきてほしかった(もう、私の中では終わってるので過去形)。
でも、今の戦い方は、勝つ確率が低い相手に、それでもなんとか勝てないか、その答えだけを探した結果そうなったのか、見ててちっともわくわくしない。まして、ベスト4なんてとてつもない達成をするため、その低い確率の目を4回、5回と出し続けなくてはいけない。それでも、今勝つところが見たい、という人はいるかもしれませんが、私はそんないわば「まぐれの連続」に興味はないし、狙ってほしくもない。目標とすべきは、そして見たいのは、強豪にも勝つ確率が40%、50%・・・という勝負ができるようになった代表です。そのために、現時点での位置に見合った目標があり、戦い方があるはず。だから今回はドイツの反省を生かして、大きな目標に向けて前進しているというところが見たかった(2009/6/18の記事に書きました)。そんなチームこそ、2018年なり、22年なりに主力になるかもしれない人たちに見せたい日本代表であって、それでこそ、トップ10も、W杯優勝も、たんなる夢想ではなくなっていくと思うから。
------ * ------
現実の指揮官が、「結果は度外視です」と言えるはずはありません。でも、「我々の長期目標に沿った強化・指揮をお願いします」と、強化委員会は言えるはずだし、言う義務がある。その目標に対して適切な人選をした上で、長期目標に沿ったその時点での達成目標を与える役割を担っている。今大会でいえば、それがベスト4であるはずはないでしょう(だって次の大会ベスト8が長期目標なんだから)。でも今の指揮官は、「とてつもなく難しい目標を、それでも達成するための解」を探すのに精一杯で、その過程で新たな才能を見出したり、大きなポテンシャルを持つ人材を組み入れられる戦術を見つけたりという、代表のスケールアップのための引き出しがあるように見えません。
だから、今回のW杯の結果より、こういう状況を生んだ、拙速なコネ人選の繰り返しを断ち切りたい(岡田さんだけじゃなく、ジーコも、オシムも含む)。そのためには・・・正直、ひどい目にあってきてもいい。協会が「やっぱり手近なところで間に合わせてはダメだ、誤魔化しはきかない」と痛切に確認するくらいに。ファンにこれだけ詰め寄られても擁護した現体制です。いよいよ結果が悪かったとき会長にも強化委員会にも逃げ場はないでしょう。たいへんな「リスク」をしょったものです。
------------
ちょっと追記:みんなそうでしょうが、私も、東アジア大会の結果だけを見てこのように言っているつもりはありません。岡田氏の起用には最初から反対だし、どの時点でも更迭するというなら賛成でした。かつて「日本はアジアのトップになった」と思った時期がありました。そこから凋落は始まっていたのでしょう。今回、結局たまたまそれなりの結果が出るかもしれない。でも、それでこの6年以上にわたる後退から目をそらさないでほしいものです。「一流の監督はお金がかかって・・・」なんて交渉もしないうちから言うなんて、「ごめんなさい2005年宣言は本気じゃありませんでした。撤回します」と言うに等しいように聞こえる。このままなら、私は日本代表への興味を失いそうです。だからといってサッカーを見る楽しみはちっとも減らないので、いいのですが。