つぼみな日々

いろんな花の蕾をもっていたい。たくさんの花を咲かせたい。
言葉を紡ぎたい私のブログです。

私だけの宇宙

2013-07-21 17:08:41 | 日記
完全な荷造りができないまま、そんなことはよくあることのようで、引っ越し屋さんはテキパキと私の荷物を運び出して行った。

荷物の搬出の最終段階になって、ベッドの奥にしまい込んだ箱から昔買ったインザルームのボックスシーツが出てきた。
良いもの持っていたんだなあと感心する。

ガランとした部屋を見れば何か思うだろうと思っていたのだけれど、前日に3時間しか寝ていなかったためその時点で既に言い知れない疲労感しか感じることができなかった。
ある程度綺麗にしようと雑巾なども準備してあったが、全くそんな体力がなくクイックルワイパーをざっとかけることしかできなかった。

ふらふらと新居に自転車を走らせ、新居への搬入が始まった。
「これはどこに置きますか」という引っ越し屋さんの問いかけに場所など決めていないものがほとんどだったので、適当にその辺に積んでくださいとお願いする。

新しくしたベッドを組み立ててもらっておいて本当によかった。
寝られないかもしれないという恐怖は抱かずに済んだ。

あの狭い部屋にこれだけの荷物が入っていたのかと、段ボールに囲まれて呆然とする。
明日は10時に旧居の引き払いの立会いがある、そのあと伊豆に行かねばならない。
バラバラに積み上がった物たちを見て泣きそうになりながら、ひとつずつ、ひとつずつ、と自分をなだめながら片付ける。

遅くに、天井のライトの取り付けをお願いした方が来てくれる。
もう本当にありがたい。

そのまま片付けを進めながら、ご飯を食べていなかったので一緒に外に出る。
ロックンロールに触れた人間がその大部分を捨てて生きていけるのだろうか。
それを最上位に置くのは確かにとても難しく骨の折れることで、というか、最上位に置き続ける方法がわからないからそれに比重を置いて生きて行こうとするのだ。
というような話を私が若干噛み付く形で言い、「それはその通りだ。もっと突き抜けてほしい。でももっとバカでいい」とひたすらに返される。

新居に帰り、多少酔ってはいたけれど一番ネックだった食器類を少しでも片付けておこうと、お皿やらグラスやらを3倍くらいになったシンクに並べもくもくと洗っていく。
さすがに力尽きたのでシャワーを浴びて寝ることにする。
街灯が煌々と明るく、真っ暗にはならない。

翌日、明るい部屋で自然に目が覚める。
前の部屋は陽が当たらなかったからこういうことはなかった。
朝日というのはいつどんなときも、どんなときでも、明るいものである。

疲労感を引きずったまま、電車で伊豆高原へ向かう。
車中、読みさしになっていた「アーユーハッピー」を読む。

けいこの還暦祝いで半日を過ごして、帰路、また一人になって即座にイヤホンを耳に突っ込む。
あぁ、一人になりたかった、よかった、と本当にほっとする。

家に着いたらまた片付けをしよう。




だいじょうぶだよ

2013-07-19 02:33:24 | 日記
いよいよ引っ越しの日。
自転車で10分程度の距離への移動だからだろうか、ここから去る淋しさのようなものが全くない。
自分でも不思議なほどに。
部屋は好きなものに囲まれた私の城だったし、広さは足りてはいなかったものの設備には満足していた。
私の人生の中で最も大きな変革と言っていいことも、この街、この部屋にいるときに起きた。

4年弱住んだ部屋だし、この街でよく飲んだ。
それによる思い出や感慨など、もう少しあってもいい気はするのだが、しかしながら淋しさも名残惜しさも全然感じられないのである。

またそうしたいときにはいつでも、私はこの街に戻ってくることができる。
そういう安心感のようなものがあるにはある。
しかしそれにしても、愛着や情のようなものがもう少しあってもいいのではないだろうかと自分のあまりにもあっさりとした感情に驚いている。

以前、引っ越した際は東京を離れるときだったから、名残惜しさと切なさと淋しさではち切れんばかりだった。
ただ、あのときも部屋や街に対する愛着というのはさほどなかったのかもしれないと思う。

今住んでいる街は人に話すと大抵羨ましがられる。
都心も都心、ど真ん中で各地へのアクセスも良好。
以前テレビドラマに使われたこともあって知名度も高い。
飲み屋やカフェも多数あって、街並みの風情などは外部から作り込まれいているものと元からあるものがそれぞれに独立して存在する面白みのある街だ。
ただ生活の物価は高い。

私はこの街に対して、アクセス以外のメリットをさほど感じてなかったのかもしれない。
元々お店を開拓するというような精神はあまり持ち合わせていないし、街の風情は私の居心地のプラスαにはならなかった。
好きなのだけれど、それほど好きではないのだと思う。

もしかしたら新居に住むことによってそう思うようになるのかもしれないけれど。
まつげパーマをしにこの街のサロンにまた来るかもしれないし、ギター教室にもまた来るかもしれない。
距離というのは、往々にして人間関係を築くのに妨げになるものだけれど、実際にはどんな関係もどちらかからの能動的なアプローチからしか成り立たないものと思っているので、その点はそうしたければ行動を起こすのみである。

新居のある街に今私が感じているしっくり感が、実際に住んで根付くと良いなと思う。


花玉。
ぎゅうぎゅう、まんまる。



明太子おにぎり

2013-07-17 23:17:22 | 日記
奥田民生の曲を聴いてから、“圧倒的な男子力”が私にないことに悩んでいる。
悩んでいる、というよりは、嘆いている、だろうか。
ロックンロールは性別問わず人間のものであるけれど、ロックンロールの世界のほとんどは男性で構成されている事実がある。

もちろんヒロトとマーシーにも“男子力”があって、あとは真心ブラザーズのそれも結構強い。

私が最初に洋楽ロックを聞き始めた頃のパンクロックは、思えばこの“圧倒的な男子力”のようなものが顕著なものが多いように思う。
JETもハイヴスもセックス・ピストルズもザ・(インターナショナル)・ノイズ・コンスピラシィもオフ・スプリングもハスキング・ビーもダムドもハイスタも。
邦楽ロックも混じってしまった。

ブログにも何度か書いているけれど、私は別に自分の性について悩んでいるわけではない。
そして、全ての意味で男女平等だとも露程も思っていないし、それを全くもって望んでもいない。
明らかに、ないものねだりの範疇で、嘆いているのである。

ただ、その“圧倒的な男子力”の中には、あまりにも楽しくて、あまりにもバカらしくて、あまりにも気持ちの良くて、単純純粋にアホで、直接的な意味で性的に男子で、というようなことがある気がするのだ。
それは、ロックンロールの大きなおまけ、のようなこと。
それが、女子である私には本当に実体験できないことに嘆いているのである。

私は言動以外の趣味嗜好の部分は割と女子的であったりする。
花が好きなのは別に女性ならではでもないけれど、インテリアの方向性は完全に女子的であったりはする。
しかし、私の思うエレキギターは男子のもので、私は私の思うようにはエレキギターは弾けないのである。

ロックンロールの大きなおまけ。
欲しいなあ。


コミュニケーションとは難しいもので、私はどちらかと言うと人に対して押したり引いたりという駆け引きのようなことが苦手なタイプだ。
思っていることを、情報量を調整せずにそのまま全部出すか、もしくは全く言わないかどちらかしかできない。
自分が思っていることが、相手にとっても正しいとは毛頭思っていないけれど、相手がどう思っているかわからない状態では自分の正しさを適用してしまう。
それが相手にとって正しくなかったことを、相手もしくは第三者からの指摘がないと気づけない。

私は怖がりだから、人に噛み付いたりはしないけれど、相手のことが分からなければ分からないほど、全力で自分を守ろうとする。
それが裏目に出ていることもある。

ある程度受け入れたり飲み込んだり待ってみたりすることで、コミュニケーションは面白くなると思うよ、お前のコミュニケーションは唐突だと、そんなことを言われたことがあるけれど、そうかもしれないと想像もできるけれど、でもそれが私にきちんと根付いて実践するに至れない。
その方が円滑だと認識しながらも身体に拒否される。
割り切ることができない人間なのだと知る。

優秀なサラリーマンになりたいかと言われたら、別に本当になりたくないと思ってしまっているどうしようもない自分がいる。
興味のないことに主体性を全く持てなくなってしまった私は、申し訳なさこそ感じるけれど、こうして蝕まれることがあるのかもしれないと身体で思う。
自分では大して苦にしていないことも、身体が全力で自分を守っている場合がある。

人は勝手だ、私も勝手だ。

対価をもらっている以上、私はその対価分の割り切りを自分で決めなければいけない。
今の私の状態は、現状においては全く“優秀”にはなれないし、危険のように思われる。

こんな花と光に包まれることができるのであれば、私は小さな虫にでもなりたい。



絶対にそうじゃない

2013-07-16 01:08:31 | 日記
引っ越し前に、新居に新しい家具を先んじて各購入先から搬入する。
暑い中、そして通りところ、友人は手伝いに来てくれて、私が机の4本脚を取り付けている間に重たいベッドを全部一人で組み立ててくれた。

今住んでいるところの倍近くの広さになる。
段ボールを片付けるのも、一時的に荷物を置いておくのも広いというのは本当にやりやすい。

古い建物だから、スイッチとか黄ばんでいるし、昔何かに使っていたのであろう得体のしれないものは随所にあるし、敷地内ゴミ置き場はないし、エアコンが業務用で電気料金が倍くらいになるし、トイレはウォシュレットはないし、玄関の扉は事務所仕様だし、色々と設備は今のクオリティよりも下がるけれど、でも、なんだかとても好きになれそうである。
風も良く抜ける。

特段何もない広い道路の街並みや、あぁこの辺りに住んでいる人なのだろうという街の人。
別に地方者の私はここに何も所縁はないのだけれど、この辺りというのは私にとって肌馴染みが良いというか、落ち着く。
それとは相反するけれど、高揚もする。
なんだかよくわからないけれど、私はこの住宅街が好きで、東京らしからぬ雰囲気なのにも関わらず都心、というところがすごくお気に入りなのである。

ウッディ、キッチュ、モロッコ、が今回の部屋づくりのテーマ。
新しい家具は、木の匂いがきちんとしそうなものをネットで選んだ。
7月の終わりまでインテリアをゆっくりと作る暇はほとんどないけれど、新たな城を築きたい。
取り急ぎ、玄関の扉の事務所感からなんとかしたい。

今の住まいから自転車で10分という距離なので、夜にまた少し荷物を運びに出る。
引越し屋の段ボールが足りていないのと、ぐしゃっとなったら困るもの、例えば筆、例えばワイングラス、を注意を払いながら自転車を走らせる。
昼間の空気と打って変わって、晩夏の夜のような風が吹いている。

また今の場所に戻ってきて、荷造りをする。
どうやってあんなところに入れたか分からないのだけれど、高くて奥深い収納に押し込んだルクルーゼの鍋に手が届かない。

冷凍庫に霜がいっぱいついているけれど、これは移動の際に電源を切るとどうなるのだろう。
冷蔵室が水浸しとかになるのだろうか。
新居についたら乾燥ワカメが戻って増えていたらどうしよう。
昆布のがぬめって出汁を出していたらどうしよう。



後ろからめがね

2013-07-14 20:46:30 | 日記
私は好んで大勢の場所に行ったりはしないけれど、行ったら行ったで、結構喋る。
その場の人を楽しませようとも全く思ってないし、その場の人たちがうるさければうるさいほど私もうるさくなる。
そういうのは別に自分らしいような気がしていて、実の私と乖離していると思ったことはない。
四文字縛りのしりとりも楽しめる。

しかし、それが終わったあとの疲労感と言ったらなくて、お腹が空いているのかもいっぱいなのかもわからず、ぐったりと動けなくなる。
コーヒーも音楽も要らなくて、スマートフォンでネットサーフィンもできなくて、ただ動けない。

前日、仕事帰りが遅かったにも関わらず、ギターを弾いてしまったことと剥げ剥げになっていたマニキュアを塗り直していて十分に寝ていなかったこともある。

寝苦しいのだけは避けようと、エアコンのドライモードを付けっぱなしで、一人がけのソファとスツールに橋渡しになる。
そこで7時間、歯を磨いて化粧を落として、ベッドに移ってさらに5時間。
久しぶりに朝から予定がなくて、本当に久しぶりによく眠ったという感じがした。

朝起きるとお腹が空いていることがわかって、冷蔵庫に古い生卵一個しかなかったものだからそれを捨てて、引き出物のバームクーヘンを切る。
大きな一切れを食べたところで、今私はバームクーヘンが食べたかったのではなかったと気がつく。

大勢も少数も、大人だから大抵自分で選ぶことができる。
とすると私はやっぱり少数を選ぶ。
少数というか、基本的には私と誰かの2人の関係になってしまう。

昔からそうだ。
誰かと交われる希少性というのは、ただの点と点だと私は思っているから、複数人が集まるとその共有は難しくなる。

もういよいよ引っ越しが近いので、全然計画通りに進んでいない、というか、ほとんど進んでいない荷造りをする。
大きなゴミ袋を広げながら、要らないものをそこに投げ入れながら、荷を作る。
捨てるというのは、気持ちがいい、
そんなにいっぱい要るものなんてない。

しかし、昨日の疲れのせいか全くはかどらない。
バームクーヘンではないもの、何か辛いもの、スンドゥブが食べたいと思って外に出る。
遊園地の中にあるチェーンのスンドゥブ屋さん。
初めて入ったけれど、パンチのないスンドゥブだった。
辛さは1~6の、4ではあったのだが。

ただ、ようやく疲れが抜けてきて、遊園地内のショッピングモールを見て回る。
新居にのれんをかける場所があるのだけど、そこにかける布を探していた。
花の刺繍がされたストールを買う。

そうしているうちに外は土砂降りになっている。
置き去りの自転車を思いやる。
そのうち止むだろうと、ゆっくり店内を見ていてもなかなか止まない。
することがないので、ざーざー降りの雨が遊園地のアトラクションを濡らす様をしばし眺める。

引っ越しの翌日はけいこの還暦祝いだし、そのあとはフジロックだし、部屋はいつできるだろう。
そうだ、フジロック、と思い立って日焼け止めを買いに行く。
良くないと思いつつ、私は日焼け止めを常用しないので、買わないと手元にないのである。