Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

主観と客観:ベートーヴェンの場合4(No.1733)

2010-02-17 21:16:34 | 批評

CDの「収録時間規格」が74分40秒強になったのは、「フルトヴェングラー指揮第9の代表盤の時間」


と言う説が巷間では信じられている。私高本も信じている。

1951年7月29日 バイロイト祝祭劇場録音盤(EMI) 74:40


である。
 LP → CD 時代の「超売れっ子」であり、『Philips + Sony連合』も「ソフト大集合」を目指すには、EMIやDGも巻き込む必要があったからだろう。


 ここで確認してほしい点が2点ある。

  1. 20世紀のド真ん中=1951年 では、「第9」は74分以上掛かっていたのが「名演」だった

  2. 1982年CD新発売当時でも、「第9」は74分以上掛かっていて当たり前だった


の2点である。私高本も「当然」と思っていた(爆
 楽譜は「ブライトコプフ旧版」しかパート譜は流通していなかった、と朧気に記憶している。これは「ブライトコプフ旧ベートーヴェン全集」とも違う箇所が多く存在しているらしい。

  1. 第2楽章トリオ : 「旧ベートーヴェン全集」=「全音符=116」,「ブライトコプフ旧版」=「2分音符=116」

  2. 第4楽章冒頭 : 「旧ベートーヴェン全集」=「付点2分音符=96」,「ブライトコプフ旧版」=「付点2分音符=66」


が主な相違点と、金子建志著「ベートーヴェンの<第9>」P85に明記されている。私高本は「オーケストラパート譜」は検証したことが無い。レンタル料を払うカネが無いのが原因である(爆
 ざっくり言って「ブライトコプフ旧版出版時」よりも「遅いテンポ」を1982年CD新発売当時までは「クラシック界が容認」を維持していたことだけは理解できるだろう。(根拠は別の問題として)


 古楽器(ピリオド楽器)派が、バッハやモーツァルトの演奏を通り越して「ベートーヴェン」に来たのが、金子建志著書に拠ると1987年2月録音の「ノリントン指揮ロンドンクラシカルプレーヤーズ」盤が最初、とのことである。このCDは初発売時に凄く評判になり、速攻で私高本も購入して聴き、驚いた記憶がある。「フルトヴェングラー盤」発売元の「EMI」録音である。この盤は「ノリントン自身」と「ジョーンズ」と言う学者が長いライナーノートを書いていたことも良い思い出の1つである。

「ベートーヴェンの作曲した当初の音楽を再現する」が基本コンセプト


であった。この「ノリントン盤」の方向に向けて、演奏も楽譜も「ベートーヴェンの作曲した当初の音楽」を目指すようになった!
 もう23年も前のことか! その瞬間に生まれた子供が来月3月に大学を卒業することになる! 私高本も「いつ死んでも誰も驚かない病状」にもなるワケだ(藁
 「ノリントン盤」を初めて聴いた時はまだ20代で元気だったんだが。

 その2009年末に「フルトヴェングラーもどき」で「第9」を演奏していたら、『ベートーヴェン作曲ではない!!』発言喰らうのは当たり前、と思う方が普通。マズアも西本智実も「不勉強」である。マズアの場合は「1987年以前に名声を築いていた」ので、その前からのファンに対して「以前と同じスタイルでの演奏を提供するサービス」の可能性は大きい。だが西本智実のデビューは1987年よりも相当後だった記憶がある。確か、私高本の「デイリー最盛期」にデビューだったハズなので、1997-1999年がデビューだっただろう。ノリントン盤から10年とか12年とかの年月が経過している。勉強するに充分な時間であり、批難されてもやむを得ない。
 内藤彰の表現がキツいことは認めるが、内容は至ってマトモなのである。


「新版楽譜」を読んで指揮する指揮者ならば、ベートーヴェン渾身の指示 = 第4楽章第431小節 『常に同じテンポで』は守って当たり前


なのである。マーラー交響曲第2番「復活」終楽章の「舞台袖のトランペット」を「予算不足」が原因で舞台上のトランペット奏者に吹かせたら、「ブーイング確実」である(爆
 ベートーヴェン「第9」の『ベートーヴェン自身の指示』も同じ重みがあるのだ。では、なぜ、「第4楽章第431小節」でテンポを上げる指揮者がいるのか?

  1. 1987年以前に名声を得ており、「今さらスタイルを変えられない」 → マズアの場合

  2. 新版楽譜を全く研究しないで「第9」を振り始めた


 この2パターンが考えられる。「2」はムゴい、って? 次号でさらに掘り下げよう。内藤彰が間違っているのか? アンチ内藤彰が間違っているのか? を。
コメント
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