Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

読響「オペラシティプレミアムシリーズ」第1回批評(No.2254)

2013-04-11 22:29:02 | 批評

「読響の新境地 = 室内楽付き演奏会 = オペラシティプレミアム」、「小林研一郎の新境地 = 弦楽器主体の『響き』重視の音楽作り


 読響が「注目の新シリーズ」を(密かに)開始した。「オペラシティプレミアムシリーズ」である。第1回には

  1. 特別客演指揮者 = 小林研一郎


  2. コンサートマスター = 小森谷巧



が起用され、小森谷 と ヴィオラの 生沼晴嗣 と チェロ の嶺田健 が「協奏曲ソリスト = シュトイデ」と組んで、ハイドン「ひばり」とモーツァルト「狩」の第1楽章を演奏した。18:30開始で20:58終了。小森谷、生沼、嶺田 の3名は出突っ張りで、弦楽器を引っ張っていたが、最後の最後まで緊張感が連なる素晴らしい演奏会だった。9割を越える聴衆が初めから最後まで聴いていた。

「現代の聴衆」が求める演奏会の1パターン = 読響オペラシティプレミアムシリーズ


の可能性が高い。第2回7/5以降も注目して追っかけて行く所存である。


 「批評」として、「第1部」の取り扱いが難しい。シュトイデ自身が「弦楽四重奏団」を率いているし、2番ヴァイオリンを弾いた 小森谷巧 も「弦楽四重奏団」を率いている。この演奏会は「即席弦楽四重奏団」であり、また、「第1楽章のみ」を2曲弾く。常設弦楽四重奏団ならば「設定として無い」と感じる。
 いつもの通り「聴いた通り」の批評とすることにした。「基準が変」と感じた方はコメント欄にご記入下さい。

モーツァルト「狩」K.458第1楽章が素晴らしかった!


 ハイドン「ひばり」は、きちんとした演奏だった。シュトイデの第1ヴァイオリンの「歌」を映えさせる演奏。ハイドンの意図通り、と感じた。
 驚いたのが、モーツァルト「狩」。「第1楽章のみ」を逆手に取ったかのような「集中力が延々と続く演奏」だったのだ! あの勢いで第4楽章までは、キツい。基本的には第1ヴァイオリンが歌う、が主だが、チェロもヴィオラも第2ヴァイオリンも出るところははっきり出る。「ひばり」とは全く違う立体的な構造がはっきり音となって聴けたことに感動!


 第2部は、序曲、協奏曲、交響曲 と言う「オーケストラ演奏会の典型」をベートーヴェン作品で埋め尽くした演奏会。「客席を指さすコバケン流」は序曲から満開!
 ・・・だったが、「音のバランス」がこれまでのコバケンとは全く違う!

「弦楽器の和音」を主体とし、次が木管楽器、金管楽器は「彩り添え」


だったのだ!
 勿論、「コバケン流」の味付けは濃厚であり、交響曲第5番「運命」第2楽章で、第2ヴァイオリンが朗々と響いて(第1ヴァイオリンさえ越える)調べを奏でた時などは、もう飛んでしまいそうだった><

 だが、「オケのバランス」は終始保たれ、協奏曲 と 交響曲 終演後は「ブラヴォー」ばかりが降り注ぐ、名演となった。

 ご自分の耳で確認されたい方は 明日12日文京シビックホール にて「運命」は演奏されるので、ご自分の耳でご確認下さい。

 テンポは遅目で「細部まで丁寧に描く」演奏。シュトイデ のヴァイオリンも含め、テンポに関しては、極めて統一感があった。
 2時間半の間、緊張を保ってくれた 読響 には感謝するばかりである。(休憩はわずか15分だけ><)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「演奏家の全貌」はとてつもなく大きい。誰が把握できるのか?(No.2253)

2013-04-10 19:02:10 | ピアニスト・佐伯周子
 昨晩酒を呑んでいたら、ショパン:ピアノソナタ第2番変ロ短調「葬送」第1楽章を 佐伯周子 が弾いている。5/11 のプログラムにも無いので、尋ねたところ、「次の日曜日に弾く」とのことだった。全く知らなかった><
 ちなみに当日は、新国立劇場 モーツァルト「魔笛」を聴きに行く予定なので、聴きに行くことも出来ない。思い起こせば9年前から、ショパン「葬送ソナタ」は随分 佐伯周子 は弾いて来ている。数回、会場でも聴いている。


 5/11 のプログラムもぶっ飛んだ。「そんなレパートリー持っていたの?」が偽らざる感想。ショパン「英雄ポロネーズ」だけは何度も聴いているのだが><


  1. プロコフィエフ(← 知らんかった)


  2. バッハ/ブラームス(← 知らんかった。曲の存在自体知らんかった>< )


  3. ラヴェル(← 「クープランの墓」を持っているのは知っていたが「ラ・ヴァルス」がレパートリーとは知らんかった)


  4. ムソルグスキー(← 知らんかった>< )



が実状。
 練習を聴いていると、これが「うまい!」と言う瞬間が多い。昨日は ムソルグスキー「展覧会の絵」練習していたが、なかなか「濃い」表現。私高本が、読者の皆様に「きちんとお伝え出来るか?」は、何ともわからない。ショパンのように「何と言えば良いかわからん」になる可能性も大きい。

「演奏家の全貌」はとてつもなく大きい。評論家は「自分が理解できる範囲だけ」でしか批評出来ない


を明言しておく。
 読者の皆様も「自分の耳」を全面的に信じて、音楽を楽しんで頂きたい。

5/11 の 佐伯周子 いいぞ!


佐伯周子:東京芸術センター第100回定期演奏会


チケット希望者は、044-271-7027 ピアノミュージックジャパン まで


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これから聴きに行くコンサート(No.2252)

2013-04-09 21:13:19 | 演奏会案内
 久しぶりに ベートーヴェン と モーツァルトに集中する1週間となる。

  1. 小林研一郎指揮読響「ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲」他 2013.04.11 東京オペラシティ


      読響の新シリーズ「読響東京オペラシティプレミアムシリーズ」の第1回で、ウィーンフィルのコンサートマスター = シュトイデ を招いての ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」。このシリーズは 18:30 開演で、室内楽を演奏するのが「プレミアム」の魅力。シュトイデ と 読響弦楽器トップ(コンサートマスターの小森谷巧を含む)で ハイドン弦楽四重奏曲「ひばり」の第1楽章などを演奏する。
  2. 新国立劇場「モーツァルト:魔笛」 2013.04.14


      新国立劇場オペラで「日本人キャスト」で上演される唯一の演目 = 「魔笛」。演出は嫌味の無い良い演出。ヴァイケルト指揮東フィル。
  3. 住友郁治「ベートーヴェン3大ソナタ」 2013.04.15 東京文化会館小


      「ベヒシュタイン弾き」として名高い 住友郁治 がベートーヴェン3大ソナタ + 第19 & 20番 を弾く。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続:川崎ミューザリニューアル記念ブルックナー9番+テ・デウム批評(No.2251)

2013-04-08 22:06:31 | 批評

第1楽章は感動的な演奏だったが、続く楽章と「テ・デウム」の組み合わせ方が焦点が合わなかった スダーン + 東響


 第1楽章は、「ホルン11本の充実した響き」を中心に「ささやく場面」と「響き亘る場面」設定が鮮やかに描かれた。ブルックナー交響曲の中でも「第1楽章の規模」が最も大きい曲の1つだが、スケールの大きさを十全に描いた、と感じた。

第2楽章でのスダーンは、他のブルックナー指揮者とは真反対の「動機処理」、即ち『2小節単位で繰り返される同音反復の和音リズム』を数種類の異なるアーティキュレーション処理を施し、変化に富んだ演奏に仕上げた


 多くの場合「リンツから出て来た田舎くさい時代遅れの交響曲作曲家ブルックナー」と生前から21世紀の現代まで言われて来た原因の1つが、「スケルツォ楽章のリズムがあまりにも執拗なこと」である。
 スダーンは、アーティキュレーションに変化を付けて、野暮ったさを出さない。この処理は反面「リズム反復の面白さ」を後退させる。ベートーヴェン交響曲第7番以降の「ドイツ派交響曲」の伝統では、「同じリズムを繰り返す面白さ」を強調する指揮者が多い中、主張が強い解釈だった。具体的には、弦楽器の「音符の長さ」を微妙に変えていた。またそのため、ティンパニを相当に弱めに使っていたことも印象的。


 第3楽章アダージオ を「終楽章として」演奏しようとしたのか? 「中途楽章として」演奏しようとしたのか? が、はっきりしなかった。音のバランスとしては、ワーグナーテューバ4本に対して、ホルン7本使用で、「はっきりとホルンを目立たせる」方向の音作り。チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」の終楽章のように、いっぱいに「溜める」フレーズ処理の時もあれば、あっさりと進む処理の時もあり、統一感があまり無い感触。25分以上かかった楽章最後の箇所は、ややあっさり目だったので「中途楽章」の解釈が優っているように感じたが、(チャイコフスキー「悲愴」第3楽章終了時に多くの指揮者が行うように)左手で拍手を制することは無かった。特にフライング拍手も無かったのだが、スダーンが手を降ろすと拍手が結構大きく鳴った。


 「東響コーラス」合唱団員(女声86名、男声58名だと思う)と声楽ソリスト4名とオルガン奏者を入れるのに体感で5分くらい? 何だか「交響曲の続き」の感触は全く無いし、かと言って「休憩も無い」ので、「新しい曲」にも感じ難かった。

 「テ・デウム」の楽器編成について。2管編成でホルン4本の指定。それを交響曲第9番と同じメンバーで演奏したので、木管楽器は「1.5倍」、ホルンは「2.75倍」の編成。それを「東響コーラス」は標準編成(私高本が聴いた範囲では180名前後が標準なので2割少ない!)を随分下回る編成。
 スダーンも「合唱団の少人数」の処理に悩んだ様子。ブルックナー「テ・デウム」はソロも合唱もテノールに活躍の多い曲。ソリスト(キム)は目一杯歌い切ったが、合唱団は「in gloria!」のフレーズなどが、他パートに埋もれてしまった箇所も多く、残念><
 また、後に行くほど「声の疲れ」が合唱団にあり、「ソプラノの最後のハイC」は、東響コーラスとしては珍しいほど、輝きが薄かった。


 この演奏会で疑問に感じたことを列挙する。原因が大きい、と感じた順に書く。

  1. 合唱団員が人数的に「最善」を尽くす人数に大巾に満たなかった


  2. しかも、演奏会初めから「座って待機させる」スペースすら無かったので、第3楽章後に入場させ、「音楽の流れ」が完全に途切れた。根本原因は「Pブロック」に聴衆を入れたこと


  3. 第1楽章終了後に、「遅れ入場者」を着席させたが、2年ぶりのリニューアルオープンで会場案内が極めて遅く「音楽の流れ」が完全に途切れた



 この3点だと感じる。3年前のサントリーホール定期演奏会では、演奏会冒頭から合唱団員を着席して準備し、第3楽章終了直後に「テ・デウム」が開始されている。スダーンは「勝手が違ってしまった><」のでは無いだろうか?


「CD化が決まったブルックナー第6番の超名演」には諸条件が整わず到達しなかったが、第1楽章は素晴らしかった演奏会


と感じる。
 NHKが収録していたので、いずれ放映されるハズ。私高本 の批評が「ピントハズレ」かどうか? については、来場出来なかった皆様(全席完売!)もTVをご覧になってご確認頂ければ幸いである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川崎ミューザリニューアル記念ブルックナー9番+テ・デウム批評(No.2250)

2013-04-07 21:34:30 | 批評

全体像が定まらなかった スダーン指揮東響「ブルックナー:交響曲第9番 + テ・デウム」


  東日本大震災で「関東の音楽ホールで唯一崩落したホール = 川崎ミューザシンフォニーホール」が2年以上ぶりに「リニューアルオープン = 再開」した。開演前のロビーには(東響関係者ではなく)川崎市関係者が笑顔で応対していた。
 本日、聴いた&見た限りだと、崩落前とほとんど変わっていない印象である。音響も見た目も。「スダーン音楽監督の年」にオープンしたので、スダーン在任中に再開でき、スダーン指揮でリニューアルオープンを迎えられたのは、東響のとっても川崎市にとっても喜ばしいこと、と感じる次第である。


 開演前の風景から。ホルンは11本!!! ブルックナー指定が8本(内4本をワーグナーテューバ持ち替え)なので、5割近く増強であり、第3楽章アダージオに関してだけ言えば7割5分増強である。他は、1番トランペットと1番トロンボーンにアシスタントが付いた通常の16型で左から 1st Vn, 2nd Vn, Vc, Va である。合唱団と声楽ソリスト4名は登場していない。曲順は「交響曲第9番 → テ・デウム」である。
 交響曲終了後に「拍手しないで欲しい」のアナウンスも無いままにチューニングが始まってしまった。(以下続編に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シューベルト「楽興の時」は6曲の曲集だったのか?(No.2249)

2013-04-02 19:10:06 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト「楽興の時」は6曲の曲集だったのか?


 この点だけについて詳述する。結論から言えば「1曲抜いた形で出版されてしまった可能性が極めて大」である。


シューベルトは『史上初の「楽譜出版だけで喰って行けた実力派作曲家」』である!


 この事実は、誰もが否定出来ない。「デビュー当初」は「シューベルティアーデの友人たち」に支えられてのよちよちデビューであったが、24才。今の日本の状況で言えば「大学院修士課程終了時の新卒」と同じ年令である。「世間の荒波」には揉まれていなくて当たり前でしょ><
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする