「読響の新境地 = 室内楽付き演奏会 = オペラシティプレミアム」、「小林研一郎の新境地 = 弦楽器主体の『響き』重視の音楽作り
読響が「注目の新シリーズ」を(密かに)開始した。「オペラシティプレミアムシリーズ」である。第1回には
特別客演指揮者 = 小林研一郎
コンサートマスター = 小森谷巧
が起用され、小森谷 と ヴィオラの 生沼晴嗣 と チェロ の嶺田健 が「協奏曲ソリスト = シュトイデ」と組んで、ハイドン「ひばり」とモーツァルト「狩」の第1楽章を演奏した。18:30開始で20:58終了。小森谷、生沼、嶺田 の3名は出突っ張りで、弦楽器を引っ張っていたが、最後の最後まで緊張感が連なる素晴らしい演奏会だった。9割を越える聴衆が初めから最後まで聴いていた。
「現代の聴衆」が求める演奏会の1パターン = 読響オペラシティプレミアムシリーズ
の可能性が高い。第2回7/5以降も注目して追っかけて行く所存である。
「批評」として、「第1部」の取り扱いが難しい。シュトイデ自身が「弦楽四重奏団」を率いているし、2番ヴァイオリンを弾いた 小森谷巧 も「弦楽四重奏団」を率いている。この演奏会は「即席弦楽四重奏団」であり、また、「第1楽章のみ」を2曲弾く。常設弦楽四重奏団ならば「設定として無い」と感じる。
いつもの通り「聴いた通り」の批評とすることにした。「基準が変」と感じた方はコメント欄にご記入下さい。
モーツァルト「狩」K.458第1楽章が素晴らしかった!
ハイドン「ひばり」は、きちんとした演奏だった。シュトイデの第1ヴァイオリンの「歌」を映えさせる演奏。ハイドンの意図通り、と感じた。
驚いたのが、モーツァルト「狩」。「第1楽章のみ」を逆手に取ったかのような「集中力が延々と続く演奏」だったのだ! あの勢いで第4楽章までは、キツい。基本的には第1ヴァイオリンが歌う、が主だが、チェロもヴィオラも第2ヴァイオリンも出るところははっきり出る。「ひばり」とは全く違う立体的な構造がはっきり音となって聴けたことに感動!
第2部は、序曲、協奏曲、交響曲 と言う「オーケストラ演奏会の典型」をベートーヴェン作品で埋め尽くした演奏会。「客席を指さすコバケン流」は序曲から満開!
・・・だったが、「音のバランス」がこれまでのコバケンとは全く違う!
「弦楽器の和音」を主体とし、次が木管楽器、金管楽器は「彩り添え」
だったのだ!
勿論、「コバケン流」の味付けは濃厚であり、交響曲第5番「運命」第2楽章で、第2ヴァイオリンが朗々と響いて(第1ヴァイオリンさえ越える)調べを奏でた時などは、もう飛んでしまいそうだった><
だが、「オケのバランス」は終始保たれ、協奏曲 と 交響曲 終演後は「ブラヴォー」ばかりが降り注ぐ、名演となった。
ご自分の耳で確認されたい方は 明日12日文京シビックホール にて「運命」は演奏されるので、ご自分の耳でご確認下さい。
テンポは遅目で「細部まで丁寧に描く」演奏。シュトイデ のヴァイオリンも含め、テンポに関しては、極めて統一感があった。
2時間半の間、緊張を保ってくれた 読響 には感謝するばかりである。(休憩はわずか15分だけ><)