海上保安庁が今月3日に測量船で海流の速さを観測したところ、黒潮は前回の観測(9月27日)よりもおよそ60キロ南下していて、さらに蛇行が拡大していることがわかりました。
黒潮の流れが変わると、船の運航や漁業に影響がでるほか、潮位の上昇によって浸水の被害が発生するおそれがあります。先月の台風21号では、神奈川や静岡などで高潮の被害が出ましたが、黒潮の大蛇行が潮位を上昇させる一因になったと考えられています。
黒潮の大蛇行は生活に影響するというが、その発生理由はわかっていない。ただ、反対向きの大きな渦ができるとその中間では流れが引き込まれるということで、推測が着き始めている。
2004年夏に生じた大蛇行の発生過程。4月から8月にかけての水位の分布を示します。水位が高い部分を右手に見るように海流は流れます。4月に九州沖で低水位を伴った蛇行が後に大蛇行へと発達する小蛇行です。小蛇行の南には、高水位を伴う渦が見られ、この「渦のペア」が強まりながら、大蛇行へと発達する様子が見られます。また、大蛇行の発生前から伊豆諸島付近では、黒潮が三宅島付近に位置していることが分かります。
通常、大蛇行が発生するときは、その前兆となる小さな蛇行(小蛇行)が九州南東沖で発生し、小蛇行が数か月かけて発達しながら東進し、東海沖に大蛇行が形成されます。人工衛星による観測から、この小蛇行は、九州の遥か東から西に移動してきた直径数100kmの渦(反時計回りの渦が寄与することが多い)が九州沖の黒潮に衝突することにより発生することが分かってきました。
伊豆海溝の位置に大蛇行があるので、海底の地形も影響しているのかも。八丈島や三宅島の下図でいうところの伊豆、・小笠原弦弧の東にあるので、無関係ではなさそう。