

日産は社債発行を通して当面の事業運営に必要な手元資金を確保する。
日産は米国と欧州で合わせて1兆1000億円の社債を発行する。新型コロナウイルスの感染拡大によって販売が低迷、長期化も見据え、当面の事業運営に必要な手元資金を確保する。7月に4年ぶりに国内で起債したが、格付けが低いこともあり、発行額は700億円にとどまっていた。リスクマネーの引き受け手が多い海外で資金を調達する。
米ドル建てで80億ドル(約8480億円)、ユーロ建てで20億ユーロ(約2520億円)の社債を17日に発行する。ドル建て、ユーロ建てとも、本体としての社債発行は1999年に仏ルノーと提携してから初めてとなる。
内訳はドル建てが年限3年と5年でそれぞれ15億ドル、7年と10年でそれぞれ25億ドルを発行。利回りは3年債で3.04%、10年債で4.81%となる。ユーロ建てが3年で5億ユーロ、5.5年と8年でぞれぞれ7億5000万ユーロ。利回りは3年債が1.94%、8年債が3.201%になる。
日産は過去の拡大路線の失敗で業績が悪化し、4~7月に銀行融資などで約9000億円を調達した。日本政策投資銀行の1800億円の融資には1300億円の政府保証が付いている。
融資には返済が1年以内のものもある。今回調達する資金の一部は借り換えに充てて、返済までの期間を延ばす。コロナの長期化もあり、業績回復に時間がかかることを見越し、当面の資金繰りにメドをつける。
生産能力削減など構造改革費用も膨らみ、2021年3月期の連結最終損益は6700億円の赤字(前期は6712億円の赤字)と2年連続の巨額赤字となる。6月末の自動車事業の手元資金は1兆2670億円ある。
米格付け会社のS&Pグローバルは今回の社債格付けを「トリプルBマイナス」に、ムーディーズ・ジャパンも「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」としている。