ロイターによると、世界の自動車メーカーは今後5─10年で電気自動車(EV)とバッテリーに5150億ドル(60兆円)を投資する計画。EVへの移行を促進する計画だという。その、60兆円の内容は、車体の研究開発よりも、電池の生産と研究開発が大半を占めている。やはり、EVの要である電池は、当面Liイオン電池をベースにするようだ。電池製造開発のいくつかの例をロイターの記事より要約::::::::
●トヨタ自動車は7日、2030年までに電動車用電池の生産と研究開発に約1兆5000億円を投資すると発表した。
高性能な電池として期待される全固体電池については、20年代前半に実用化する従来の方針を維持した
現在主流のリチウムイオン電池に比べ、全固体電池は安全性や充電時間などに優れているとされる。リチウムイオン電池の電解質は液体だが、全固体電池は固体のため、ショートしにくく発火などのリスクが小さい。重量当たりのエネルギー密度も高く、大きさが同じでも走行距離を延ばすことができる。
●Volkswagen AG(フォルクスワーゲンAG)は世界最大の電気自動車メーカーとしての地位を確立するために、2030年までに欧州で40GWhのバッテリーセル生産工場を6カ所運用する計画を発表した。
これを達成するためにVolkswagenはスウェーデンの電池メーカーであるNorthvoltに10年間で140億ドル(約1兆5300億円)規模の発注を行ったが、これは計画中の6カ所の工場のうちの1つにすぎない。2025年にはドイツの第2工場でも生産を開始する予定だ。
Volkswagenはまた、中国、欧州、米国の充電インフラへの本格的な投資も発表した。欧州ではパートナーであるIONITYとともに急速充電ネットワークを1万8000ステーションに、中国では合弁会社であるCAMS New Energy Technologyを通じて1万7000カ所の充電ポイントに、そして米国では急速充電ステーションを3500に増やすことを目指している。
Volkswagenの大型トラックおよびバスのブランドであるScania ABも、EVシェアの拡大を計画している。水素燃料電池を選択した他の主要なトラックメーカーとは異なり「大型輸送部門の電動化は間違いなく可能である」と同社の代表者らは述べた。
バッテリーの寿命についてVWは、Hydrometallury(ハイドロメタリー)と呼ばれるプロセスにより、バッテリーを最大95%までリサイクルできると述べている。
●米ゼネラル・モーターズ(GM)は16日、2025年をめどに米国で電気自動車(EV)用の2つの電池工場を建設すると発表した。オハイオ州などで建設中の2工場に加え、リチウムイオン電池の生産能力を増強する。EVと自動運転技術への投資を25年までに総額350億ドル(約3兆8000億円)に3割引き上げる。
韓国・LG化学と共同開発したEV用のリチウムイオン電池「アルティウム」を増産する。工場の建設場所はこれから選定する。オハイオ州とテネシー州に建設中のLGとの合弁工場と合わせて、米国の電池工場は4カ所になる。
GMは投資拡大の理由について「これまでに発表したEVへの世間の反応が強かったため」と説明した。同社は20年3月にEVと自動運転技術に200億ドルを投資する計画を発表し、同11月に投資額を270億ドルに積み増した。2度目となる今回の増額により、投資額は直近の計画から3割、当初計画から8割近く増えることになる。
●米フォード・モーターも5月、25年までにEVに300億ドル以上を投資すると発表した。米国でのEV普及をめざすバイデン米政権の発足が引き金となり、米大手2社の投資競争が過熱している。
●Teslaが今後数年間に、電気自動車(EV)の製造とバッテリーに関する大規模プロジェクトを計画していることは周知のとおりだ。しかしこのほど、その費用が120億ドル(約1兆2600億円)に上る可能性のあることが明らかになった。Teslaが米証券取引委員会(SEC)に提出した2020年7-9月期によると、同社の設備投資額は2021年度と2022年度にそれぞれ45億~60億ドル(約4700億~6300億円)に上る予定だという。Teslaは現在、ドイツのベルリンと米テキサス州オースティンの2カ所に工場を建設中だ。